「 箔押し11回押しでつくる 『 本好きの下剋上 』 聖典ノート 」
こんにちは、コスモテック現場の前田です。
香月美夜先生による小説、シリーズ累計900万部突破（ 電子書籍含む ）の 『 本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜 』（ 以下、『 本好きの下剋上 』 ）の特別仕様のノート製作に、コスモテックと 鈴木製本有限会社 の鈴木さまと共に挑ませていただきました。
製作のご依頼は 『 本好きの下剋上 』 の出版社 TOブックス さまよりお声がけいただきました。
※ 記事内の写真・文章は校正時（テスト）のものです。
本番加工時に若干の仕様・デザインの変更がある場合がございます。最終形態は TOブックス さまのオンラインストアをご覧くださいますようお願いします。
◉ まるで魔導書のようなノート
TOブックス さまとの最初の打ち合わせの段階にて 『 本好きの下剋上 』 第5部 「 女神の化身11 」 の表紙イラストに描かれている、 「 魔道書のような重厚感あふれるノートを製作してみたい！ 」 とのご要望をいただきました。 そこから、よりくわしく TOブックス さまと加工の仕様を詰めていくと…
箔押し加工部分はなんと表紙の全面に！ さらには使用する箔の種類は数多く、「 これはかなりの加工の工程数になりそうだ！ 」 と私は気合いが入りました。
そして、なんと！
最終的に決定した箔色は全11色にものぼりました！
しかも、1冊のノート内に11色の箔！
そして加工は箔色ごとに全11回に分けて箔押し加工していきます。
一つの表紙の中で箔押し加工に11色もの箔色を使用することはなかなかありません。TOブックス さまと打ち合わせをしながら、「 いったいどんなノートに仕上がるのだろうか……？ 」 と、胸が高鳴り、私は加工が待ち遠しくなりました。
◉ 箔押し魔石のご提案
箔色11色となる今回の表紙加工では、落ち着いた色合いのマット調の金箔、大柄に宝石をカットしたような模様の入ったホログラムゴールドの箔、そしてなんといっても 『 本好きの下剋上 』 の表紙イラストにも描かれていた、本に嵌め込まれた宝石を表現した9色の箔押し魔石が目を引きます。
要所にわたり、製作でこだわりがぎっちり詰まっている
この9色の箔による宝石表現は、TOブックス さまから 「 箔押し加工で宝石に近い箔表現を実現したい！ 」 というご要望をいただき、ウェブストア コスモテックサンプル直売所で販売したこともある 『 箔宝石 』 シリーズで使用している 「 彩光腐食版 」 での加工を TOブックス さまにご提案させていただき、採用いただきました。
「 彩光腐食版 」 とは箔押し加工で使用する金属製の版の表面に微細な凹凸を腐食することで繊細なエンボス模様をつくりだし、通常の箔押しとは一味も二味も違った箔押し表現をすることができる特殊な金属版です。
箔押し加工した宝石部分に 「 彩光腐食版 」 によるエンボス模様が加わることで、見る角度によって箔の煌めきがキラキラと変化し、まるで宝石のように見えます（ 「 彩光腐食版 」 の柄はコスモテックの 『 箔宝石 』 で使用している柄とは異なります ）
よく見ると金属版の表面上に細かい凸凹の柄が見てとれる
「 彩光腐食版 」 の柄であるエンボス模様は、種類が大変豊富なため、デザインに合わせてさまざまなエンボスパターンを組み合わせることで箔押しによる表現の幅をより広げることができるのです。
今回製作した箔押し魔石の 「 彩光腐食版 」 のパターンは1種類。
宝石をカットしたような独特のエンボス模様が入っています。そして実は、ここにはちょっとしたこだわりのポイントがあります。
一見するとどの宝石も同じ模様に見えますが、製版会社さま（ 金属版をつくっていただいている会社 ）に模様の位置を絶妙に調整していただいているため、同じ模様でもよく見ると微妙に異なった模様に見えるのです。
● の版にも彩光腐食を加え、柄は同じではありながらも、
パターンの模様位置を一つ一つ調整している
「 彩光腐食版 」 による色彩豊かな宝石表現は今回の製作において大きな注目ポイントです！
◉ 一点一点全てが手作業
この版を用いて、表1から表4にわたって全面マットゴールドの箔押し加工
11回におよぶ箔押し加工は箔色ごとに金属版が異なるため、箔の色を変えるごとに金属版を箔押し機の熱板に付け変えて、箔をノートの表紙に綺麗に定着させるための調整をその都度おこないました。
特に最後の11回目に加工するホログラムゴールド箔は宝石9色部分との見当合わせ（ 位置合わせ ）がとてもシビアで緊張しました。
この版では、表1から表4にかけて全面ホログラムゴールド箔押し
今回の製作では全面箔に使用した大きな金属版は2つ
ホログラムゴールド箔の柄も宝石を彷彿させるものを使用
魔石をよく見ると繊細な 「 彩光腐食版 」 のパターンエンボスによって
宝石のブリリアントカットの雰囲気を醸し出している
ホログラムゴールド箔を宝石9色の位置に合わせて箔押しするというのも難しい加工なのですが、その前段階で宝石9色の位置が正確に合っていないと最後のホログラムゴールド箔の位置を合わせることができなくなってしまいます。
そのため、宝石の位置合わせが特に重要なポイントになり、すべてを手作業で、そして目視でよく確認しながら、正確に加工の位置を合わせました。
神経を集中し、一つの表紙内に全11回の加工を繰り返す
前述させていただいた表紙の図案そのままの荘厳な雰囲気ただよう、超豪華特別仕様の 『 本好きの下剋上 』 聖典ノート。ぜひ、お手に取って見ていただきたい逸品です！
TOブックス さま、今回加工のお手伝いをさせていただきまして、ありがとうございました！ そして、製本で多大なるご尽力をいただいた鈴木製本有限会社の皆さまによる丁寧な手仕事による製本もぜひご堪能いただければと思います！
【 Credit 】
出版社 ： 株式会社TOブックス
加工 ： 有限会社コスモテック
製本 ： 鈴木製本有限会社
※ 記事内の写真・文章は校正時（テスト）のものです。
本番加工時に若干の仕様・デザインの変更がある場合がございます。最終形態は TOブックス さまのオンラインストアをご覧くださいますようお願いします。
【 箔押し加工 】
有限会社コスモテック 現場リーダー 前田瑠璃
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