異世界の扉
タンスの扉を開けば
その中は見たことも行ったこともない
異世界に続いている
タンスの中に隠れて
気配を消そうしたけれど
異世界に引き込まれそうにな戦慄を感じた
扉は異世界との結界だった
こちらとあちらを守っている
互いに身動きできない世界が音を潜めている
これに気づく時間は短い
好奇心が五感を勝るこどもの時間だけ
恐れの誘惑が手招きする
闇夜のような光のない世界で
息をひそめて目を慣らし
覗き見しようにもいつも開くわけではない
異世界の結界は
こどもとオトナを隔てていた
早く潜るか遅く潜るか意思が迷う
仕掛けられた冒険の時間
張り詰めた糸が心臓から全身に伸びたとき
異世界の光が見えた