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虹の立つ丘
あの日は朝から不思議な天気だった。
長く降り続いた雨のせいで気温は下がり
秋の肌寒さが際立っていた。
そうかと思えば、いきなりさーっと晴れて
雲をどかし太陽が空を覆った。
まだ水蒸気が空気中にあふれていたので
傾いた太陽を背にして
虹が立ち上がった。
その虹はそこら中で見られたそうだ。
虹は幸福を運ぶ前兆だという。
半円を描いた虹はどこが端で
どこに掛かっているかわからない。
そこが憧れを強くする。
分解された光が地に足をつけたように
立ち上がった端を見た。
虹の端が見えることはさらに幸運だけど、
虹が立ち上がった場所に行けども虹は逃げる。
幸福はむやみに追いかけるものではない。
自ら幸福になるための努力なしには得られない。
虹使いそう教えてくれた。