【コスモ女子勉強会】中須賀先生から学ぶ!宇宙×〇〇に見出すビジネスチャンス!
コスモ女子では、講師の方をお招きし、宇宙に関する勉強会を定期的に開催しています。(前回のイベントの様子はこちら)
今回は年々発展している宇宙産業やビジネスに関して最先端で活躍されている、東京大学 航空宇宙工学専攻教授の中須賀真一先生をお招きし、お話を伺いましたので、その様子をお伝えします!
世界の宇宙ビジネスの変化
現在、日本の宇宙産業のおよそ92%は、政府主導のプロジェクトとなっています。
しかし、現在民間の宇宙産業も活発になりつつある、ということはコスモ女子勉強会でも繰り返し学んできました。
カリフォルニア州に本社を置く「SpaceX社」では、合計12000機の衛星を打ち上げる事業が行われており、既に1500機ほど打ち上げられています。
また、SpaceX社は「Crew Dragon」と呼ばれる輸送機によって、ISS(国際宇宙ステーション)へ2名の宇宙飛行士を送る実験にも成功しています。
ゆくゆくはわたしたち民間人をISSへ安全に送り届けるための、大きな一歩となる実験です!
このような例をはじめとして、近年宇宙産業は大きな変化をむかえています。
それは、高コストで大型の衛星ではなく低コストで小型の衛星中心になってきていること、民間主導のプロジェクトが増えてきていること、の2つです。
世の中の流れが小型で低コストな衛星へ変化していったことで、政府だけではなく、ベンチャー企業や都道府県、大学、新興国も宇宙産業へ参入できるようになり、宇宙に関わるプレイヤーが大きく増えることになったわけですね。
小型宇宙開発の先駆け!重量1kgの超小型衛星の打ち上げ
さて、そんな変化のきっかけとなったのは、実は日本なのです。
時は2003年。日本は世界で初めて重量1kgの超小型衛星の打ち上げに成功します。
5機の小型衛星を世界で同時に打ち上げたものの、きちんと動いたのは日本の東大と東工大のものだけでした。
部品はなんと秋葉原で購入したものなんだとか。
予算は実に300万円!当時、数百億かけての制作が普通だった世の中ですから、これは破格も破格です。
しかも、当時から18年が経過した今でも動いています。
この出来事をきっかけに、日本中の大学を始めとして、世界中で小型衛星の開発が活発になっていきました。
中須賀先生にはこういった活動を通して、宇宙開発の敷居を下げ、宇宙で何かをやろうと考える人の数を100倍にしようという想いがあります。
様々な人が宇宙開発に関わることで、今までにないアイデアが出てきて、より一層、宇宙産業が発展していくことを望まれているのですね。先生の熱い想いを感じました!
わたしたちコスモ女子の日々の活動にも気合が入ります…!
宇宙×〇〇で新しい価値をつくろう!
このように、宇宙開発における民間のビジネスはどんどん広がりをみせています。
先生にご教示いただいた例の中から、いくつかご紹介いたします!
①搭載スペースビジネス
「ほどよし」という衛星を打ち上げた際、10×10×10cmの空間を用意し、そのスペースを民間企業に使ってもらったそうです。
宣伝に使ってもよし、実験に使うもよし、記念に使うもよしと、衛星内のその空間を自由に使用できるというものです。
様々な応募がありましたが、一番うまくいったのは、ハローキティ40周年を記念して実施された「キティちゃんと宇宙からメッセージ!」キャンペーンでした。。
ハローキティのフィギュアを置き、その奥に自由に表示させられるメッセージ板と地球が見える窓を用意し、20秒ほどのショートクリップが撮影できるようになっています。
もちろん、地球が動いている様子を見ることができます。
キャンペーンは大成功、世界中から取材があったそうです。
②月の開発
アメリカが2024年までに人類の月面着陸を目指している「アルテミス計画」に、日本も参画しています。
このプロジェクト1つでも、閉鎖環境での循環として宇宙での植物栽培、着陸技術、月の水の探索、無人ローバの開発、月でのGPS、月での輸送技術、月の砂を用いた建造技術など、民間が参入できるネタが多くあります。
閉鎖環境での植物栽培は宇宙だけでなく、災害地での食料確保等、地上でも活かせる技術もあり、こういった技術の進歩が非常に重要です。
アイディアを政府に提案することで、新しい事業がスタートしている例です。
宇宙に直接かかわる(GPS等)の産業や、宇宙の周辺の産業、つまり「宇宙×〇〇」の〇〇にビジネスチャンスを見出せると中須賀先生はおっしゃります。
大切なのはストーリーで、それをどう作るかが肝要になってくるのだそうです。
わたしたち1人1人のアイディアやひらめきが未来の宇宙技術の大きな発展につながると考えると、ワクワクしてくると同時に、アイディアをアウトプットすることが何より大切なのだと実感します!
さいごに
今回の貴重な機会を通して、宇宙ビジネスの現状やその具体例、今後発展するであろう分野に至るまでを学ばせていただきました。
なにより中須賀先生のお話が分かりやすくておもしろく、スルスルと入ってくるように学ぶことができました。
中須賀先生、この度はありがとうございました!
わたしたちコスモ女子は、2022年度に女性中心のチームで人工衛星を打ち上げるという目標を掲げ、日々活動しています。
今回の勉強会を通して、わたしたちの行動が未来の宇宙技術の発展に繋がる一部なのだと改めて実感し、勇気をいただきました。
これからも宇宙に関するイベントや勉強会を始め、日々活動していきます!
今後とも、コスモ女子の活動をお見逃しなく!
●講師プロフィール
中須賀真一(なかすか しんいち)先生
1961年大阪府生まれ。1983年東京大学工学部卒、1988年東京大学博士課程修了、工学博士。
同年、日本アイ・ビー・エム東京基礎研究所入社。1990年より東京大学講師、助教授、2004年より航空宇宙工学専攻教授。
日本航空宇宙学会、SICE、IAA等会員、IFAC元航空宇宙部会部門長、UNISEC元理事長、およびUNISEC-GLOBAL委員長。
超小型人工衛星、宇宙システムの知能化・自律化、革新的宇宙システム、宇宙機の航法誘導制御等に関する研究・教育に従事。
世界初のCubeSatを含む超小型衛星13機の開発・打ち上げに成功し、この分野で世界をリード。2012年より内閣府宇宙政策委員会委員