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【コスモ女子交流会】星空に思いを馳せよう~星座が伝える物語~
第3回交流会「"夏の大三角の織姫と彦星~ブラックホールを添えて~" 」
2020年7月7日(火)にコスモ女子のオンライン交流会が開催されました。
今回は”交流会”という形で、身近なテーマから宇宙や天体観測に興味を持つきっかけとなれば、という思いから開催したイベントです。
そのテーマは「夏の大三角の織姫と彦星~ブラックホールを添えて~」。
"星空案内人"という資格を所有され、「室内で星空を楽しむ」をコンセプトにし、リピーターが続出のプラネタリウムイベントを主催されている、岩﨑聡さんを講師にお招きしました。
7月7日の”七夕”のイベントに合わせて、夏の大三角である織姫・彦星にまつわる神話をベースに、そこに関わるブラックホールとの関係など、星空の魅力をたっぷりと語っていただきました。
「織姫と彦星伝説」の意外な教訓
7月7日といえば、「七夕」ですね。毎年、願い事を書いた短冊を笹の葉につるし、星に祈る方も少なくないのでは。この習慣の由来として、「織姫と彦星の伝説」があります。
織姫と彦星が天の川を渡って1年に1度だけ会えるという、なんともロマンチックな星伝説。そもそも、織姫と彦星とはなんでしょう?そしてなぜ1年に1度しか会えないのでしょうか?
岩崎さんに、その内容を詳しくお話しいただきました。
まず、七夕伝説は牛郎織女(ぎゅうろうしょくじょ)という、中国発祥の物語です。(1)
天空で一番偉い神様「天帝」には「織女(しょくじょ)=織姫」という娘がいました。
織姫は神様たちの着物を織る仕事をしており、天の川のほとりで毎日熱心にはたを織っていました。遊びもせず、恋人もいない織姫をかわいそうに
思った天帝は、天の川の対岸で牛を飼っているまじめな青年「牽牛(けんぎゅう)=彦星」を引き合わせ、やがて二人は結婚。
しかし二人は結婚してからというもの、毎日仕事をせず遊んで暮らすようになりました。
織姫がはたを織らなくなったため、神様の着物はぼろぼろに。彦星も牛の世話をしなくなったことで牛はやせ細り、病気になってしまいました。
これに怒った天帝は、二人を天の川の両岸に引き離してしまったのです。
二人は悲しみのあまり毎日泣き暮らし、仕事になりません。
かわいそうに思った天帝は、「二人がまじめに働くなら」という条件で年に1度、7月7日の夜に会わせると約束をしました。
こうして毎年7月7日の夜は「織姫と彦星が会える日」という七夕伝説になったのです。
七夕伝説は、1年に1度しか会えない恋人同士の話というだけではなく、
「まじめに働くことの大切さ」や「怠けずに精進すること」も同時に伝えてくれているのかもしれません。
織姫と彦星の見つけ方と夏の大三角
織姫と彦星に代表される夏の大三角の見つけ方を伝授する岩﨑さん。
こと座の「ベガ(織姫)」、わし座の「アルタイル(彦星)」、そしてはくちょう座の「デネブ」という3つの一等星で構成されるのが夏の大三角です。
7月の東の夜空を見上げたときに、一番高いところでひときわ輝いて見える星「ベガ」が目印。
ベガからこぶし2個分くらいのところに位置しているのがはくちょう座のデネブ。
はくちょう座は、十字型のような形を手掛かりに探すと良いそうです。
そして、ベガとデネブから等距離のところにある明るい星が、アルタイル。アルタイルを頂点とする二等辺三角形が見えたら、夏の大三角です。
3つの星はすべて一等星。これは肉眼ではっきり確認できる明るさなので、晴れた日の夜空を見上げてみてはいかがでしょうか。
きらめく星の集合体、天の川
織姫と彦星を隔てる天の川。1年に1回しか会えないなんて、いったいどれくらい離れてるの?
その正体は、ベガとアルタイルの間に輝く、無数の星の集合体。
その距離なんと、16光年も離れているんだとか!1光年は約9兆4,600億kmなので、16光年とは151兆3,600億km!
地球一周の距離がおよそ4万kmなので、わたしたちの想像がとても及ばないような距離です。
織姫と彦星は、とてつもない遠距離恋愛をしていました。私たちの生活にあるような、東京・大阪間の遠距離恋愛とは比べものになりません・・。
そう思うと、二人が出会えることは本当にロマンチックなことですね!
未だ謎多き天体、ブラックホール
そして、交流会のサブテーマでもあるブラックホール。
ブラックホールとは、これまで数式の中で発見された理論上の天体だったそうです。しかし、実際の天体の中からは候補が中々見つかりませんでした。
そんななか、1971年に世界で初めて発見されたのが「はくちょう座X-1」!はくちょう座の首あたりに存在します。
ブラックホールは重力が非常に強く、光さえも吸い込んでしまいます。そのため、中々撮影ができなかったようですが、2019年7月にJAXAが世界で始めてブラックホールの影を撮影することに成功しました!(上記写真参照)
今後ブラックホールの研究がさらに進み、謎が解明されていくことを期待したいですね!
さいごに
日本人なら誰もが知る「織姫と彦星」のお話にはじまり、星座にまつわる様々な神話、ブラックホールにいたるまで、岩崎さんに夏の星空を余すところなくご案内いただきました。
輝く星のひとつひとつにドラマがあると思うと、夜空を見上げるときに感慨深いものがありますね。
改めて、宇宙の話題は私たちの身近なところに、たくさん眠っていることが分かりました。
7/22(水)は超小型衛星の第一人者として知られる、東京大学の中須賀 真一(なかすか しんいち)教授をお招きして「今後の衛星ビジネスの展望」について、超小型衛星の今後の利用方法や開発エピソードを考えていく時間になります。
コスモ女子では、「宇宙が大好き!」な方から、「宇宙にちょっと興味がある!」という方まで、多くの方に宇宙の魅力をお届けできるよう、今後も幅広く宇宙にまつわるイベントを開催、発信していきます。
宇宙業界を女性の力で盛り上げていくために、宇宙が好きな女性のやりたいことを一緒に叶えていくために今後も活動を行っていきます。
宇宙に興味のある女性の皆さん、ぜひコスモ女子として一緒に盛り上げていきましょう!
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参考文献
(1)川田 耕:中国における七夕伝説の精神史,173(56)
講師プロフィール
*岩﨑 聡 氏
大阪府東大阪市出身。
近畿大学理工学部理学科物理学コース素粒子実験研究室をご卒業後、専門商社の技術職に就職。星カフェに行った際に、自分も伝える側になりたいと思い星空案内人の資格を取得。その後、星空プラネタリウムイベントを一年半に渡り、毎月主催。プラネタリウムイベントの内容は、星座の成り立ちや神話、四季により変化する星座の案内と解説など多岐に渡る。都会にいながら全天の星座をみれる!とリピーターも多数。「みんなで宇宙へ」という目標をかかげ、イベント活動などを行なっている。