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久美子は主人公だけど主役じゃない。


これから綴るのはただの独り言。頭の中に思い浮かんだ言葉を適当に書くだけ。

別に誰かに向けて言ってるわけでもないただの独り言ですから、単にたまたま私の近くの席にあなたが座っていたというだけの事なので聞かなかったことにしてもいいんですからね。


…よし、粗方間引けただろうか…いいでしょう…(雑なイントロ)

《放送以降ずっと考えてたこと》

あの12話以降、Twitterでの賛否溢れる意見も時々目に入ってはなるほどな〜とか思いながら、ずっと頭の片隅から離れることなく色々なことを考えてた。

まず前提としてここに模範解答はあっても正解は存在しないということを踏まえた上で、

今回のこの再オーディションの意味と久美子達の気持ちを過去の自身の部活動の経験とも照らし合わせながら


最終回を見届ける前の現時点での見解をここに残しておこうかなって書いてるのがこのブログです。


まず結論から述べておくとこのシナリオの作り方自体にはめちゃくちゃ納得してる。ここの賛否は部活動の経験者だったかそうでないかで

感想や意見が分かれたところはあったんじゃないかな〜って思ったりもした。いや知らんけど。(魔法の捨て台詞)


・昔の経験と重なったりとか

少しだけ自分の身の上話になってしまうが、私は中高の6年間は陸上部で(長距離メインだった)

礼節は重んじれど大会や練習ではあくまで対等な関係っていうような空気感で過ごしてきていて、

それで大会なんかも、特に秋の駅伝シーズンになると、うちは田舎の学校だったから駅伝に出るのには基本的に人数不足になるので、足りないメンバーは他の部活からなるべく速くて走れるやつを引っ張ってかき集めて、

+αで補欠やサポートができるような体制を整えて、ちょっとでもいい順位を目指すって流れが主流だった。

秋冬が基本的に大会がなくて暇な野球部やサッカー部(あとたまにバスケ部)の足自慢の強者たちが助っ人で入ってきてくれるのが恒例で、

でもこの助っ人達が時々エース級にめっちゃ速い奴がいたりして、

そんな凡人くらいの実力と才覚しかない自分からすると中々メンタルに来ることが起こるんですよね。そうもうシンプルに練習の中で実力とか素の馬力差を見せつけられるんですよ。

それでもやっぱり負けたくないから練習終わってからも居残って走り込みの量を増やしたりとか

かくかくしかじか試行錯誤はするんですけど…やっぱりダメな時はどうしてもあって。えぇえぇほんとに…辛酸を舐めさせられましたわ…(突然の時崎狂三)

スタメンの枠は限られているので純粋に区間ごとに設定された距離に対する適正と、あとはこれまでの練習の成果とかも多少選考基準には入れて評価はするんだけど

やはり最終的には直前の演習レース(最終審査的な感じ)でのタイムが速かった順にメンバーが決められていくので

そういうどうあがいても数字が嘘をついてはくれない世界ゆえに最初から忖度の余地なんてほぼなくて…


あくまで実力主義でねだるな勝ち取れっていう姿勢は一貫してましたね。

今でも覚えてるのは中2の時に先輩と走れる最後のシーズン…やるぞやるぞ…!!


っていう意気込みに反して思うように走れなくなった時期があって、それに連なってメンタルもボコボコになり…(病院で検査したら貧血手前だった。ひと月くらいかけて鉄分多めの食事で改善はした。)

それでも何とか本番までに間に合わせようと頑張ったけど結局助っ人メンバーやひいては後輩にも枠を取られ、その年は選手として出られなくて、

大会メンバーの発表があった日はちょっとだけ引きこもってひたすら当時ハマったばかりのBUMPの曲を夜な夜なエンドレスで聴いていた。

しかし私は陽キャの振る舞いを模倣できる陰キャ…(ホンマか?)そうなった場合は各選手にサポーターとして付き添って、応援だったりウォーミングアップの手伝いとかをすることになるんですけど

内心はめちゃくちゃ悔しい気持ちでいっぱい…


しかしそんな所は1ミリたりとも見せまいと鍛え上げた(?)ポーカーフェイスを発動させるわけじゃないですか、

それはもうマジであの時オーディションで負けたのに間髪入れずに啖呵を切った久美子黄前ちゃんの心持ちだったよ。(後で語るけどアレはほんとにすごいと思った)


こうして何があっても、


例え電車でただ着席しただけで何もしていないのに予兆なく胸ぐらを掴まれ恫喝されても挫けな

化け物メンタルの陰キャが産まれていくわけなんですけど、それはまた別の話…

まぁそんな実体験があったからなのか今回の、いやこの再オーディションに至るまでの

久美子が来てからの北宇治高校吹奏楽部が歩んできた過程やそれまでのやり取りなんかがあまりにも等身大でリアル過ぎて

そこかしこでひたすらに共感できる部分しか無さすぎて杉下右京になった。ワタシトシタコトガ…


・オーディションの意義

私はまだ原作未読状態でここまで来たので、基本的にはたまたまTLに流れてきた最低限の情報だけしか知らないです。


っていうのを踏まえた上でオーディションの話を進めます。

原作だと久美子がソリに選ばれるのですが、聞くところによると再オーディションもすることなくわりとすんなりとソリに決まっているみたいな、


アニメで言えば冒頭のメンバー発表でもう久美子のソリ、確定ッッッ…!!!してる描写になってるらしく、

それを知った時は正直もしこれを原作に忠実に描いちゃった場合、確かにうぉぉぉさす主人公…!!!土壇場で魅せてきた…!!!みたいに思うのは思うはずなんだけど…けど…


おそらく同時に「あれ真由ってそんな簡単にソリを勝ち取れるようなレベルの奏者だったっけ…?」という疑念も浮かんでいたような気がする。


そもそも1次オーディションの描写だって関西大会の時も久美子個人のモノローグだけでほとんど無かったから、


実際に久美子の演奏が真由の演奏に対してどういう点で優れていて、選ばれる運びになったのか、

このままだと少し不明瞭に感じてしまうところは少なからずあったと思う。視聴者の大半もユーフォニアムというニッチな低音楽器の善し悪しが判別できない人の方がほとんどのはずだし、

やっぱりソリストとしてどっちが選ばれるべきなのか、白黒つける場面を加えるのは話が引き立つのであれば自分はありだったと思う。少なくとも自分はそういう気持ちがあった。

後出しだから何とでも言えると言われればそうなんだけど

やっぱりアニメをここまで観てきて、ここでありふれた展開に持っていかれてしまったら

絶対何かしらその展開に対して引っかかる部分が生まれていただろうなって今はそう思う。(今更だけど決してバットエンド厨とかではないぞ…!)


そして1期の対比とも取れるような同じ場所での再オーディションで、ただし今回は前回の反省から

人で判断しないようにブラインドで演奏し音のみで判断してもらう限りなく公平な審査になるような形で勝負した。


そしてこの提案をしているのがどちらかと言うとチャレンジャー側の久美子っていうのが、

彼女がどれだけの覚悟と矜恃を持ってオーディションに臨んでいるかが痛いほどに伝わってきちゃう所でもあった。


久美子の2年までの北宇治吹奏楽部での成績は以下のようになっていて

1年生
全日本吹奏楽コンクール 銅賞

2年生
関西吹奏楽コンクール 金賞
(関西代表不選出)


そんな今年の目標は全国金賞。自分達にとっては"いい演奏"が出来ていると思っていても

審査員はあくまで音の正確さや技術、表現力といった部分を評価するので、そこに感情による評価は介在しない。

こんな背景を抱えた上で臨んでいるソリだっていうのを私達は知っているけど、言うまでもなく向こうはそんなことは知らないわけで…

2人の演奏に大きな差はないとされているけど、金賞のためには1%でも1点でも高く評価してもらえるような、

今まで以上に相応しい演奏をしなければいけない。そんな決意のもとに行われた部内の再オーディションなんだと思う。


それに去年はそもそも全国にも行けてないし、吉川パイセンにも部長を任命された際に来年は全国金賞を取りなさいと想いを託されているので


そこに懸ける気持ちはもはや語るに落ちる。

・ちょっとメタい話


部全体で掲げた目標を達成するために…そんな"最高の演奏"をするために、結果を追い求めると必然ではないにしてもどこかで理想と乖離してしまうこともある。


主人公補正、ご都合主義、そんなキレイな物語へのお助けカードを切り捨ててまで脚本含む制作陣が表現したかったことは何なのか…

ある程度答えは出てるけどやはりこれから始まる最終話を見ないことには答えは出せないというか野暮な気がするのでここでは言及しないでおく。


でもその前に、私はTwitterで「主人公補正とかでもいいから勝たせてやれよ」みたいなのを見た時にめちゃくちゃ引っかかりを感じた。

主人公、物語で1番フォーカスが当たっているから確かにそうなんだけどそれは少し違うなと思う。

その引っかかりの正体は

“黄前久美子は物語上の『主人公』だけど舞台装置上の『主役』ではない。"

ブログにつけたこのタイトルを少し長ったらしい言い回しにするとこんな感じで、きっとこの解釈が多分あってると個人的には思いたい。


別にこれは悪口でもなんでもなくて、そもそも彼女は主人公っぽい要素を削り落とされて生まれたキャラクターだと思っているからだ。

主人公に必要な要素って色々あると思うけど黄前久美子はいわゆる主人公補正とかそういうのはかけられないタイプだと思う。


単に部長だからというわけではなく物語が始まった時からどこか常に俯瞰で全体を見ていて、どデカい野心がある訳でもないごく普通の女子高生。

麗奈のように高家の血を引いてるわけでもなく、部長としてもリーダーらしいカリスマ性と言いますか、そういうオーラを纏って周りを引っ張るようなタイプではなく

周囲が支えて立ててもらってるイメージの部長って感じの印象が強いかな…って。けど困った時や悩み事は最初に頼りにしたいっていう、年長者相応に頼りがいは出てきましたよね。(親目線)


だからまぁ…とにかく普通の人よりも少しユーフォニアムが上手いこと以外はすごく平凡な女の子なわけでして。

これが少年漫画みたいな話作りのスタイルだったら久美子もちょっと才能の片鱗が垣間見えるタイプの主人公で

演奏の方も上手くなっていって、こういう競い合う場面になると土壇場で覚醒して…みたいな未来はあったかもしれません。

でもこれがなかったお陰でって言うと変だけどこういう背景で物語を紡いでいったからこそ、アニメで観た時にすごい見応えのある場面になったと思うし


大吉山での麗奈との会話シーンで超絶絵コンテによる神作画が生まれたんだと思うと、制作陣にはホント頭が上がらないし


ここに込めた意図を我々視聴者側は改めて考える必要があると思う。


そこでさっきの話に戻るけど

「響け!ユーフォニアム」という舞台装置における黄前久美子の役割は、物語の『語り手』が1番近いのかなと。

これはこれまでのアニメでの演出だったりナレーションや心情のモノローグが基本的にというかほぼ久美子視点で語られていたり(あと「そして、次の音が…」ってセリフも1話たりとも譲らなかったところとか)

正直この辺は意図して強調されてると思う。

これは1期から今日に至るまで、黄前久美子がどういう立ち位置の人物なのか


というのは随分前から答えは出ていたと思う。改めて言うほどの事でもないのかもしれない。

でも一応主人公らしく、周囲との関わりを通して精神的には成長していく…そんな終着点に行き着くんだろうなとはなんとなく感じてる。これは数多の作品を観てきたアニメオタク的な目線での、ただの経験則でしかないけど。

じゃあ対する『主役』は誰なのかって言うと

言うまでもないけど高坂麗奈しかいないだろう。

ただ3期においてはもう1人『主役』たりえる人物、黒江真由の存在も忘れてはいけなくて

前者はともかく後者は誰にでも分かってもらえるような具体例で挙げると劇場版のワンピースFIRM REDのウタみたいな、

映画のように限定的にストーリーに深く関わってくるようなポジションのキャラクターである。

12話になっても過去の出来事とかパーソナルな部分にあまり詳しいことは触れてこられなくて、彼女のことを好きになってもらう前に何かとヘイトを買ってしまった所はあるかもしれないというか

本心を隠しすぎてるが故にみたいな…言葉足らずで何かと損しがちなところが正直ちょっと自分と似てる気がした


実際のところ彼女はなにも悪いことはしてないし

むしろ転入したばかりで部の方針に対して、えぇ〜マジかよ…とか絶対心の内では思うとこはあっただろうに


建前は部内の人間関係とかの調和を大事にしたいけど、それでも演奏に、音楽に嘘はつけないという自身の内なる信念は揺らがなくて、

だからこそオーディションを通して部のために全力を尽くしてくれる運びにはなったのだからむしろ称えてあげるべきだとは思うんだけど…


ただどれだけ考えても13話を観てみないことには最終的な判断を下せない気がするので、この辺で一旦セーブしておこうかな。


(今出てる短編集とかで彼女の魅力を引き出してくれてる事を祈ってる)


たぶんここだけ読めばいい説

ここまで大体1週間かけて(これはホント)少しづつ思いつくばかりに長々と駄文をまぁよくもこんなに書いてきたけど

「響け!ユーフォニアム」という作品は部活を通して、高校生のたった一度きりしか味わえない青春の尊さ、その中で生まれる選択の価値について考える作品であるのかなと。


学生、ひいては10代の時にした経験ってなんでも全てが特別になるというか…

それは今後数十年あるであろう残りの人生に深く関わってくる貴重な財産になるんだけど


与えられている時間はあまりにも短くて、とても貴重なモノだから、時には選択を迫られることもあって

限られた時間の中で選び取って進んでいかないといけない。

そんなかけがえのない時間をアニメらしい表現で

尚且つあえてリアルに表現したからこそ、グッとくるものがあったんだと思う。


久しぶりにアニメでちゃんと考えさせられたというか、こんなに昂る感覚になったのはゆゆゆ観てた時以来だったかも

たまに漠然と観ちゃうこともあるからマジでめちゃくちゃいい機会だった。ありがとう京アニ。




とりあえずこいつを書いてる1週間前の自分にはバイバイして最終話見届けてきます。


かしこ

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