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君がいなくなったこと。

君がいなくなってから、1年が過ぎた。
あまりにも急な報せで、僕は全然上手に受け止めきれなくて、訳が分からなくてどうしようもなくなってしまって、だから君の住んでいた街まで夜行バスで出かけて行った。
君の住んでいたであろう街は、土地勘のない僕には、運転免許を持たない僕にはたどり着けそうになくて、でもイベント好きの君なら歩いたに違いない街を歩いた。

君とこの景色を見ることが出来たかもしれない。
君とこの場所で笑っていたかもしれない。
君とこの駅で「またね」って言えたかもしれない。

そんなことを考えながら、僕の町にはない喫茶店で君に手紙を書いた。
どこにも届かない、誰にも出さないあの手紙も、きっと君に届いたって思ってる。
あの手紙に僕は、「僕たちが君に泣いて欲しくないと思っているのと同じだけ、君も僕たちが泣いていたら我慢ならないと思う」と書いた。
だからお互いたくさん楽しいことをしましょう、幸せをいっぱい見つけましょう、と。そしていつか会えた時、笑って愉快な素敵な宝物を、いっぱいいっぱい見せ合いっこしましょうって。そう書いた。

その気持ちは、今も変わっていません。
あなたにまた会いたい。その時には笑ってはしゃぎたい。いつもそうだったみたいに。

だけどひとつだけ、変わりました。
私はあの手紙に、「それまで待っててね」と書きました。
あれだけ撤回します。待ってなくていいです。待たないでください。
今いる場所を堪能したら、好きなタイミングで、またこっちに生まれてきてください。それで こっちでまた、宝物をいっぱい見つけてください。それを全部、見せ合いっこしましょう。
あなたがあなたじゃなくたって、私、きっと分かるから。
あなたが知ってることも、知らないことも、たくさんたくさん話したい。
あなたの話もたくさん聞きたい。そしてあの頃と同じように、ただ笑って、それじゃあまたねって手を振りましょう。

「死は認めてもらえたってことだと思う」と言った人がいました。
「神様がもういいよって言ってくれたから、次のステージに行けるんだと思う」って。
君は他人の悪口を言わない、いつも一生懸命で全力な人だったから、その素敵さを神様が認めるのも早かったんだと思う。きっとただそれだけのことだって。
いくつも先のステージに、どんどん歩いて行ったらいいよ。そのどこかで僕たちは必ず会える。だってこんなに会いたいからね。
その時を、楽しみに待っています。


ね、君。今日も元気でしたか。楽しいことはありましたか。悲しい気持ちも大事にできそうですか。
そうであることを願っています。どうぞ穏やかに、毎日が続きますよう。
僕の好きな人が、よく眠れますように。

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