全ては繋がっており、隔てはない―学問の分野も然り。リベラルアーツ的学び
催眠療法の歴史をテキストとしてまとめている時、今中世を執筆しているのだが、フランツ・アントン・メスメルを調べていたら、司祭であり、シャトー・ディフに投獄されたアッべ・ファリアという人物が浮上した。
仔細はまだ知らないが、投獄されている間にも自説のテクニックを使って着実に自分自身を訓練したというような面白い記述もある。
ちなみに催眠とどう関係があるのかというと、この人はメスメルの提唱していた動物磁気による治療法を、これの仕組みは動物磁気の存在ではなく暗示によるものだ、と気付いて先駆的に科学的研究を始めた人であるという。
ご存知だろうか。
アレクサンドル・デュマの大作「モンテ・クリスト伯」の中(前半部分)に、同じく陰謀加担を疑われシャトー・ディフに投獄され、その中でも自己コントロールをしっかりと鍛え維持しながら、その後投獄されてきたこの小説の主人公エドモン・ダンテスの偉大な教師となったアッべ・ファリアという登場人物がある。
モンテ・クリスト伯は実家にいた頃(しかも随分以前なのだが)、愛読していた時期があり、英語を勉強するために電子英語辞典の中に入っていた英訳版モンテ・クリスト伯(原語は仏語であるので)をも少しずつでも一生懸命読み進めていたほどの愛読書であった。
とはいえ、流石にもうブランクがあり、ダンテスが復讐していった相手の名前などももう頭に出て来ないのだが、このファリア司祭という登場人物に関しては、非常に印象深く考え深く残っていた。
しかも、どんなに少なくとも日本語版では「ファリア司祭(神父だったかもしれない)」という表記がほとんどであったのだが、昨日この人物名に行き当たったとき「Abbe」だった、という記憶が一気に噴出してきた。
そしてこの共通点の多さ。デュマは、きっとこの人をモデルとしたのではないか。完全に同姓同名にしてしまうとはなかなかやるが(実在のファリア死後30年程経ってから出版された小説であるとはいえ、この時代は珍しいことではなかったのだろうか…)。
しかも、メスメルを調べている中でこの名前がふっと出てきた瞬間、私の脳裏に(小説の方の)シャトー・ディフのファリア司祭が一気に噴出してきて単なる一致と思う以上に強烈な興味を抱いたのは…(実在の方のファリアもシャトー・ディフに投獄されただとか諸々を知ったのは、興味を持って調べ出した後のことだった)
やはりデュマの文章(…を誰かが翻訳した文章…)を通じて、何か脈々と流れ打つ電流か…いや動物磁気か(笑)、繋がり伝わるものがあったのか。
何せ……テキスト制作という面においては、寄り道して調べることが増えたわけであるから…(しかも日本語の資料だけでは足りないので、英語その他の言語の資料との照らし合わせや部分追究も多い)。
ちなみにモンテ・クリスト伯の方のファリア司祭は、獄死してしまう(確か、この人が獄死したことでダンテスの脱獄が可能となった設定ではなかっただろうか…)
こうしていろいろなことが、あらゆる角度方面から、全てがどんどんどんどん繋がっていく。
また、文学的な角度からも繋がったことがとても面白く興味深い、これはこれで文学方面からしてわくわくすることでもあるわけだが、催眠の観点、歴史的観点からしてみても、知り合いや直接の周りの人たち以外の存在すらも知る術のない、インターネットもメディアもないこの時代に、高名な医師でも科学者でもないこのアッべ・ファリアという人物に、小説の登場人物のモデルとしてデュマが目を付けたということ。
まあ、催眠の面で目を付けられたのかどうかはわからないが、いずれにしても、それだけの存在感、影響を感じさせる人物であった、ということになるのである。
これは、世界や歴史における催眠と言うものの位置づけ、という角度において、考察の余地のある材料ではないか。
こんな材料が出てくると、大きく総合的に見た時に、あらゆるものごとの見え方の角度が変わって来たり、角度が広くなって見えてくる。
ちなみに、このメスメルのところで更に面白いことは、私は催眠の歴史を初めて勉強するより前から、なぜだか不思議なことにフランツ・アントン・メスメルという名前を知っていた。
なぜだか音楽史の中に、しかもモーツァルトの歴史と関係のあるところに記憶がある。
…モーツァルトのパトロンだったのだ。
しかもそれだけでなく、メスメル自身、当時一時的に流行ったグラス・ハーモニカという楽器を自分のセラピーセッションの最後によく演奏していたという。
音楽療法も取り入れていたのだ(本人に自覚はなかったろうが)。音楽療法とも繋がってきた。
そして、モーツァルトと深い親交のある(協奏曲までプレゼントしている)音楽家の治療を行っている(ちなみにこれにより大事件に発展しメスメルの人生の大きな転機にもなったのだが)。
催眠療法のセミナーを立ち上げていくための、その中でも単なる催眠の導入の導入に過ぎない催眠の歴史のテキストを、しかもまだ執筆を始めたばかり、序盤の序盤である。
一度開くと止まらない。
これだから面白い!
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そんなわけで、本日は別に何らかの考察でもなんでもなく、
ただの私の日記である。
…が、
そんなわけで、
一見ただのデスクワークになるのではないかというただの歴史と思いきや、
そんな非常に奥深くどこまでも面白いものが詰まっている催眠療法の歴史を、潜在意識のひみつ・催眠療法の基礎知識や技術と共に、共有させていただくセミナーをどんどん展開していく予定である。
(…アレクサンドル・デュマの話をする予定はないのでこの発見はこの記事限定であるが…)
ご興味のある方は、ぜひ続報をお待ちいただきたい。
そして、現在も催眠療法はまだお待ち頂くが、臨床家の視点から見て必要と考える心理理論の基礎や、交流分析、NLP、各種カウンセリングについて、身体のメカニズム、他にも骨格調整の技術など催眠療法とも非常に親和性の深い内容をセミナーとして展開している。
これらは、催眠療法を学んでいく上でも学びやすくなり、更には基礎催眠を学ぶ段階でも深いところまで学び取れる受け皿を育てることにもなる。
催眠療法には入らない人でも、対人支援、臨床を目指す人たちには必須、必ずお役に立ちあなたを揺ぎ無い大船のように土台として支えていくものを展開している。
更には、既に受講生の方々には来年からのものにもご興味がある場合はできるだけ更に受けやすくなる体制を敷くことを検討している。
個々に極力寄り添い一番必要、適した方法を希望し選んでいただくためにも、個別相談可能な体制をとっているので、ご興味があればぜひ一度、遠慮なくお気軽にお声がけください。
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