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対後手四間右銀急戦

今回のテーマ

筆者は普段将棋AIを使って研究をしているが、どうも研究した手順を実戦で思い出せない。そこで、ブログ形式でアウトプットすることである程度の記憶の定着を図ることにした。

今回のテーマは、後手四間飛車に対し最近主に若手棋士の間で多く採用されている右銀急戦である。

テーマ図

今回の内容は下図からとする。

図1は▲35歩まで

この図に至るまでの後手のバリエーションとしては、ミレニアムや金無双型を含みにした△72玉型や△32銀型なども考えられる。

テーマ図以下、△32飛▲68金寄(図2)と進む。
▲68金寄では▲68金上も有力。

図2は▲68金寄まで

▲68金寄以下の分岐

図1以下、後手としては
①△54歩
②△64歩
③△14歩
が考えられる。

①△54歩には▲55歩とさらに歩をぶつける。以下
(1)△同歩には▲同銀で▲44銀を狙っていく。
(2)△35歩には▲54歩△36歩▲58飛△42角▲24歩△同歩▲23歩(図3)が一例。

図3は▲23歩まで

いずれも銀が存分に活躍しそうな展開であり、先手ペースか。

②64歩には▲34歩△同銀▲38飛△45歩▲33角成△同飛▲55銀(図3)で、▲64銀の含みがあるため先手指せる。

図4は▲55銀まで

③△14歩がキズを作らずに待つ最有力手で、公式戦でもよく指されている。
△14歩に対しては▲66角(図5)が有力。

図5は▲66角

この手の主な意味としては、
①▲34歩△同銀▲38飛△45歩のときに▲34飛が利く(△66角が王手にならない)
②▲77桂~▲89玉からミレニアムの発展を含みにする
③端にプレッシャーをかける
の3つがある。
特に①に関してはほぼ将棋が終わってしまうレベルの狙いなので、後手としては何か対応しなければならない。

▲66角以下の進展

▲66角に△35歩


▲66角に対して、まず△35歩▲同銀△45歩(図6)は最もシンプルな進行。

図6は△45歩まで


以下▲33角成△同飛▲34歩△同銀▲44銀△32飛▲24歩△43銀▲同銀成△同金▲66角(図7)の進行が高橋佑-中村亮(2024.9)。

図7は▲66角まで

最後の角打ちがぴったりでこの変化は先手有利。

▲66角に△64歩

△64歩は有力手。以下▲34歩△同銀▲38飛に△65歩(図8)▲77角を利かすのが急所で、以下△45歩の時に▲34飛が無効になる(△77角成が王手のため)。

図8は△65歩まで

△45歩以下、▲33角成△同桂(△同飛は▲55銀で先手ペース)▲55銀△37歩▲28飛△25桂▲21角△31飛▲65角成(図9)と進んだのが
長谷部-中村亮(2024.11)。

図9は▲65角成まで

図の局面はどちらにも主張があり難解だが、個人的には馬が手厚そうなので先手持ち。

▲66角に△42金

△42金も部分的によくある手で有力。今度▲34歩△同銀▲38飛は△45歩▲34飛△46歩▲44銀に△47歩成(図10)が利いて大変。

図10は△47歩成まで

ちなみに▲34歩△同銀に▲55銀は有力らしい。

実戦例としていくつか確認できたのは△42金に▲77桂。
これは次に▲89玉からミレニアムへの進化を狙っている。
▲77桂に対し後手は△45歩と反発してくる(図11)。

図11は△45歩まで

図の局面は大きな分岐点で、
①▲33角成△同金▲45銀
②▲55銀
のどちらも有力。

①▲33角成△同金▲45銀は、以下△35歩▲55歩△52飛▲34歩△32金▲24歩
△同歩▲同飛△23歩▲28飛(図12)が一例(深浦-谷合(2024.7))で比較的穏やかな展開になり、互角。

図12は▲28飛まで

②▲55銀は先手の銀が不安定に見えるが、▲34歩や▲24歩~▲37桂の援軍があり問題ない。
▲55銀以下△35歩▲24歩△同角▲44銀△52銀▲37桂△46歩(図13)▲45桂△47歩成▲65桂△64歩▲53桂左成△57歩(図14)が稲葉-西田(2024.12)。

図13は△46歩まで
図14は△57歩まで

以下▲33歩△12飛▲42成桂△同飛▲53桂成△22飛▲62金△58歩成が一例で難解。

△45歩の局面で▲33角成と▲55銀のどちらを選ぶかは棋風でだいぶ分かれそう。

▲66角以下の進展をある程度把握できたところで、筆者の集中の限界が来たので今回はここまでとする。

感想

検討中の細かい変化や形勢判断などを言語化していく中で、ある程度各局面への理解も進んだ気はした。
ただ、時間効率の面ではかなり劣るため、ブログ形式でのアウトプットを今後も継続するか(できるか)は不明。


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