離ればなれの花々へ/山戸結希 を言葉のみ抜粋。
21世紀の女の子
離ればなれの花々へ
For lonesome blossoms
赤:この花園に足を踏み入れたときから
青:私たちは終わりを知っている
黄:私たちは、花咲く頃のお嬢さん
赤:そうよ、あなたはいつか…
青:もうそろそろこの花園にはいられなくなる
赤:そろそろだね
黄:そろそろだ 一瞬の季節に愛されるために この花園に入れられた
赤:私たちは花の盛りの女の子
黄:笑っていたのに、泣きたくなるよ
赤:私が、私自身になってゆく
青:私たちは絶対に忘れてしまう日々を生きている
赤:消えてなくなってゆく、この今よ
黄:この今よ
青:この今よ
鐘が鳴り、三人の上からヴェールが落ちてくる
黄:ああ、終わるんだね
赤:初めてなのに分かっている。この花園は、必ず終わるということ。
「初恋と私の記憶」
黄:初めての恋
青:初恋
赤:私の星よ
黄:初恋という名の私の星よ
赤:私の道を照らして
青:ああ、初恋の終わりと同時に老いてゆく
黄:若い命を、置いていく
赤:必ず花が枯れるように、老いてゆく
黄:老いてゆくのだ
青:女だけが老いを知っている 負い?
赤:それでも、いい
黄:私はずっと、女の子でいい。
青:もはやお前は、女の子ではないといわれても。 "girl"
赤:私たちはもはや永遠に、女の子でしかないのだ。 "women's children"
黄:永遠に
赤:すべての命は、女から生まれる
青:永遠に
赤:すべての人間はそう、旅発つ瞬間から、女の子なのだ
黄:男の子も女の子も、女の子"women's children"なのだ
青:確かに、女の子"women's children"なのだ
赤:私たちはこれから、女の子へと向かう
黄:まだ命無き存在
青:ここはまだ、その前の世界
赤青黄:ああそろそろ、地球に生まれる。
「ああそろそろ、
地球に生まれるーー」
青:不思議だね。地球に生まれたらもう、戻ってこれないんだね。
赤:どこへ行こうか
青:私の道を歩むの。
「私の母という物語」
赤:物語るのに、地平線が動いてゆく
青:私の影が動く
黄:あなたのおなかが震える
「私の「母」という物語」
青:それでも足りない
赤:お母さん、こっちを向いて
黄:足りないよ、もっと愛してくれなきゃ足りない
青:こんなに暴れて、私って悪い子だ
赤:愛を求めることは、恥ずかしいことじゃないよ
黄:私たち、そうやって憐れんでいる
赤:この深い実感がわかないのか、お母さんはかわいそうだ
黄:愛の名のもの、私という愚かな娘に搾り取られる未来があって
青:愛などまやかしに過ぎない 少なくとも私にとっては 本物の愛を知らないの
赤:愛は幻想
黄:愛は夢
赤:だからこそ、○○私たちで作り出す
黄:ことができる
黄:愛はやまない
赤:愛は嘘だから
青:私たちは、無限の愛のさなかに生きることになって
黄:そして愛に手を伸ばす
赤:それが悲しみと同義だとしても
青:愛とは、分かちがたく愛なのだから
足もとがうつる
下半身
黄:いやだいやだ、はいってこないで…
赤:どうしてこんなに愛しているのに、痛くするの
黄:抱き合うだけじゃ、どうしても伝わらない心があるよ
赤:この先いくら交わっても、あなたは私をしらないままだ
青:私がこんなにも、あなたを求めているということに
黄:永遠に気づかないままだ
赤:その苦しみの上に、私が生まれるのか
青:私は自由な母になろう
黄:母の不自由を踏み台にして
赤:違う。母の不自由を抱きしめるために、私は 自由な母になろう
黄:お母さんに、何も返してあげられない
赤:こんなに、愛しているのに
青:知ってるよ。あんなにあんなに、愛されるのにね
黄:真実の恩返しは、私が立ち上がることだけだ
赤:そんなことがあっていいのか?
青:振り向くな
黄:振り向くな
赤:絶対に、地球に行ったら、絶対に
青:生まれた世界をよくするために、生まれることを誓おう
赤:地球をよくするための、最善の道は、
未来の子供たちが、
黄:自由で幸せであるような道、
赤:そのためには
青:つまりは、これから誰かを愛し、子供を産む女の子が、自由で、幸せであること
赤:自由で幸せな母を否定する、女の子"women's children"はいないのだから
黄:そうすると、自由で、幸せなその子供が、この世界に増える。
赤:私たちは、自由で幸せな母の姿を夢見て生まれる。
青:お母さん、頼んだよ
黄:私を世界一夢見がちな女の子にしてね
青:私の大切な人に、似せてね
赤:どんな場所に似せてくれても、いい
青:いびつなあなたの肉と骨
赤:あなたを、愛しているから。
黄:あなたにそっくりに生まれます
青:あるいは、全然あなたに似ていないのは、
赤:あんまりあなたに似ていると、まだ自分自身を愛していないあなたに、
青:また愛されないんじゃないかと、怖かったから。
黄:あんまり似ているのが怖いから、
赤:どうか似せ過ぎないように、
黄:あなたの愛した人の要素を少しもらおうと思います。
赤:だから、本当にあなたが彼を愛しているのか、私にはすぐわかる。
黄:どうか、素晴らしく狂おしい愛の果て、私を見つけてください。
青:あなたを大切に触れる人と、私を見つめてください。
黄:お母さん、あばあちゃん、おばあちゃんのお母さん
青:19世紀、20世紀、そして
赤:無数の母の無念を晴らすために、私は生まれて生きてみたい
青:お母さんに、偽りなき女の子の姿を教えてあげるよ
黄:映画が誕生して、120年が過ぎた。
赤:つまりたった一人の女の子が死んだ季節。
黄:その女の子の命を弔うような21世紀
青:真実の映画が、生まれるだろう
赤:私たちは、21世紀の女の子
黄:21世紀に、三原色が注ぎ込まれたならば、
赤:21+3=24
青:一秒に24回嘘をつく芸術が完成する
赤:映画に、命の三原色をもたらす
黄:色とりどりの嘘をつこう
赤:そして初めて裏方の黒が生み出される
「そして初めて裏方の黒が生み出される」
黄:裏方には全部の色が入ってる
青:みんな集まると黒になる
赤:ああ暮れていく
黄:指先まで真っ黒よ
赤:暗闇の世界はこんなに孤独
黄:孤独な人間しか、世界を変えられないのだから
赤:そうだよ、だから もっと孤独になるんだよ
青:誰かと手をつなぐと、もっと孤独になるんだよ
黄:一人で居る孤独よりも、みんなでいる孤独の方が、ずっと儚い孤独なのだ
青:お互いを知らぬ孤独より、お互いを愛しつくす孤独の方が、ずっと尊い孤独なのだと
赤:それなら私は、世界で一番孤独な花になりたい
黄:私は群れ合ったりしない?
青:私は他者を許さない?
赤:わかってないなあ。人と出会って初めて人は孤独になるんだよ
黄:人と助け合って初めて、それでも救われない孤独を知るんだよ
青:誰よりも、孤独になりたいの
赤:地球で一番大きな孤独が欲しいの (=地球上にいるすべての人と出会いたい)
青:この地球のどこに生まれても
黄:世界で一番、世界にそっくりの芸術を作ります
青:愛も言語も、宗教も政治も巻き込んで、
赤:美しさを求めます。
青:総合芸術
赤:第七芸術
黄:最後の芸術を試みます。
赤:初めてなのに分かっていたの
黄:この花園は、必ず終わるということ
青:そして新しい春が来る
赤:ああ、風が吹く
黄:離れ離れになってゆく
青:この花園に、足を踏み入れたときから、
赤青黄:私たちは終わりを知っている
黄:この花園を飛び出した時から、
赤:私たちは始まりを知るだろう
青:離れ離れの花々へ
黄:離れ離れの花々へ
赤:離れ離れの花々へ
赤:いざ、孤独の道をゆこう
青:誰よりも孤独であることを試みよう
私よりも孤独な花に出会おう
黄:私たちはみな孤独であることを知るために
赤:私たちは、21世紀に生まれよう
赤青黄:そして光が見える
「スクリーンへと」
黄:ああ、もうすぐうまれなくちゃ
青:地球に生まれなくちゃいけない
赤:絶対に、命にならなくちゃ
青:お母さんの所に行かなくちゃ
黄:ねえ、私何か忘れてる気がするの
赤:一回一回、忘れ去られていくね
青:一回一回、思い出すために
赤:そして見事に思い出すことができる
赤:私たちは何度でも
青:何度でも 命が生まれる
赤:ああ、生まれるよ
黄:ああ、もうすぐに生まれるよ
青:ああ、今すぐに生まれるよ
赤:私という命が、この世界に生まれます
黄:いつか地球に生まれたら
青:絶対に
赤:新しい映画を撮ろうって思っていたんだよ
青:たった一人の母に捧ぐ
黄:たった一人の女の子に届けよう
赤:21世紀の女の子のための映画を
「21世紀の女の子のための映画を!」
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