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アスタリフトジェリーの真実【後編】:ジェリーの狙いと革新技術の全貌
皆さん、こんにちは。コスメ学長です。スキンケア分野で20年以上にわたり、処方開発や基礎研究に従事している現役の化粧品技術者です。(Xアカウント:https://x.com/CosmeGakucho)
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前編では「アスタリフトジェリーの真実【前編】:富士フイルムの挑戦とジェリー創世記」と題し、富士フイルムのヘルスケア分野への参入からアスタリフトシリーズ誕生に至る経緯と、初代ジェリーの誕生までを紹介しました。
後編となる今回は、シリーズを代表する傑作「アスタリフト ジェリー アクアリスタ」に焦点を当て、その独自の理論と先進技術を深掘りしていきます。
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アスタリフトジェリーのテクノロジーを深堀:形状記憶ジェル
アスタリフトジェリーが多くの人を魅了する理由のひとつは、やはりその独特な「形状記憶ジェル」と呼ばれるテクスチャーではないでしょうか。
スパチュラや指ですくうと、一時的に表面が削れたように見えますが、しばらく放置すると、まるで何事もなかったかのように、なめらかな表面に戻るという面白い挙動を見せてくれます。触ったことはありますか?
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この特徴的なテクスチャーは、富士フイルムが採用した特殊なポリマーによって作り出されています。このポリマーは水の中でネットワーク構造をつくってジェル状となりますが、その特殊な構造が「形状記憶」のような振る舞いを可能にしています。
一般的なジェルでは削られた部分はそのまま見た目に残りますが、形状記憶ジェルは、崩れた構造が時間とともに自然に再生され、元の滑らかな表面に戻るのです。これにより、毎回「新鮮な状態」を体験できるため、消費者は使用するたびに楽しさやワクワク感を感じることができます。
もともと塗料の分散剤として利用されていたこのポリマーを、化粧品業界で初めて採用したのは実は資生堂でした。資生堂はこのポリマーの特性を活かし、形状記憶ジェルのようなこの挙動をぷるぷるとしたコラーゲンに見立て、「ハリ」をコンセプトに掲げた美容液を開発・発売しました。
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商品名:エリクシール コラゲニッシュリフトEX N
メーカー:資生堂
内容量:50g
価格:¥5,250(税込み)
発売時期:2005年9月21日
富士フイルムはこの技術をさらに進化させ、アスタリフトジェリーに取り入れることで、美容液に対する期待感を一層高めることに成功しました。
富士フイルムの独自技術によって生み出された形状記憶ジェルは、単なる「面白いテクスチャー」ではなく、使うたびに「新しさ」を感じさせ、視覚的にも触覚的にも心地よい体験を提供しました。
この革新的な技術は、アスタリフトジェリーを象徴する特徴となり、機能性と楽しさを兼ね備えた製品へと進化しました。
次に、このジェリーに使用されているポリマーについて、図を使って簡単にご紹介しましょう。
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この形状記憶ジェルの特性は、増粘剤として使われるポリマーの独特な構造から生まれています。このポリマーは「水に溶ける部分」と「水になじまない部分」がつながった構造を持っています。
水に溶かすと、ポリマー全体として水に溶けようとします。そのとき、「水になじまない部分」はできるだけコンパクトにまとまろうとします。この力によって、ジェル内部には「花びらが寄り添うような構造(フラワーミセル)」が形成され、その中心を起点にポリマーのネットワークが作られ、ジェル状の美容液ができあがるのです。
つまりこの構造が、形状記憶ジェルを作り出す重要な要素となっています。この仕組みを、一般的な化粧品のジェルと比較して、図を使ってわかりやすくご紹介しますので、ついて来てくださいね。
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