次元のうろ
催眠術にかかったような感覚はいまだ続いていて、今まで美味しく感じていたものが美味しくない。
自らの力で不安や怒りの周波数を断てるって言われても、今だって何でその周波数を断てたのか自覚してないから、自由自在にその力は発揮できないでいる。
あの怒りの後、考えていたことは
『侵してはいけない領域を越えてしまった。
タビトはもうお終いお終い。
越えてはいけない領域を越えたものに慈悲はもう必要ない。仏の顔も三度まで。』
これが頭の中を何度も何度も駆け巡っていた。口には出してないけど、自分ではないみたいな口調だった。
『スイが戻ってくる。
居なくなった他のガイドたちもみんな帰ってくる。
戻ってくる。戻る。』
確信していた。
朦朧とした頭の中で私ではない誰かが話しかけてくる。
その後、不穏な周波数は断たれていた。
その日の夜、何ヶ月ぶりに野菜を口にした。
身体中に生きたエネルギーが染み渡る感覚があった。今まで止まっていた器官に電源が入ったみたいだった。
と言っても、タビトはまだ引き剥がされないままこびりついている。
なので、いまだ乱れやすい日は続いている。
ただ少しずつ開きはじめている。
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