「するなと言われるとしたくなるのが人の性」、だからこそ知っておいて欲しいこと。
こんにちは!
こしあんです。
今回は、「やっちゃダメだ」と言われると、なぜ人はそれを実行してしまうのか?
「開けるな!」と言われると開けたくなる、「行くな!」と言われると行きたくなる、「押すな!」と言われると押したくなる。
そんなとき私たちの心の中で何が起こっているのか?
というお話です。
【シロクマのことは考えるな】
知っている人も多いと思いますが、「シロクマのことは考えるな」というフレーズを聞いたことがないでしょうか。
ロシアの文豪トルストイのとある逸話からヒントを得て、1985年に後にハーバード大学教授となる心理学者ダニエル・ウェグナーが行なった実験です。
実験は、「これから5分間、シロクマのことは考えないでください」と指示を出すだけです。
これだけ?
と思うかもしれません。
でもその結果、「考えるな」と言われた被験者たちは、かえって気になってしまい、頭からシロクマのことが離れなくなるという現象が起こりました。
似たような経験に「早く眠らなきゃ」と考えてますます眠れなくなるといった事があります。
この現象をウェグナーは「皮肉なリバウンド効果」と名付けました。
心配性の人が、悩み事を考えないようにすればするほど頭から離れなくなってしまうというものです。
ちょっと変わったパターンでは、起きているときは憧れの人のことを考えないようにしていると、その人のことを考えているときに比べ、その人の夢を見る確率が高くなるといった結果もあるようです。
そして、この「皮肉なリバウンド効果」によって、「開けるな」と言われれば開けたくなり、「外出を控えるように」と言われれば外に出たくなったりします。
ではこんな時どうすればいいのか?
ということを紹介したいと思います。
【危険な自己コントロール】
この皮肉なリバウンド効果は「考えないようにする」ことで余計にそのことについて考えてしまうというものですが、対策としては自分の中で芽生えた感情や考えを無理やりコントロールすることを止めれば効果は薄れていきます。
実際、脳の活動に関する実験で、参加者が「頭の中で考えないようにしていることについて話してもいいですよ」と言われると、今まで頭から離れなかったものが、あまり意識にのぼらなくなることが確認されています。
これは、一人で悩んでいる人が、誰かに話を聞いてもらったら少し楽になったりすることと似ているような気がします。
悩みや心配事を忘れよう忘れようとして、一人で考えているとかえってそのことを思い出してしまいメンタルに悪影響を与えます。
でも、「これは人に相談してもいいんだ」と考えると意外にも気にならなくなるのかもしれません。
なので、「外に出たい」という気持ちや考えを無理やりねじ伏せるやり方は逆効果になる可能性があります。
だだし、だからといって「外に出たい気持ちを押し殺すことは間違いだ!」といって外に出ることは違います。
あくまでも感じたとおりに行動する必要はないと理解したうえで対処することが大切です。
例えば、ダイエット中にも関わらず、仕事で疲れたとき甘いものが欲しくなったりします。
最近ではコンビニで美味しいスイーツが簡単に手に入る時代です。
これを目にしたとき、「今はダイエット中だからダメ」、「今までのダイエットが台無しになってしまう」と考えてしまいますが、その思考を抑え込もうとしたり、追い出そうとすればするほどコンビニのスイーツが欲しくなってしまいます。
前に説明したように、頭の中からスイーツを追い出すのは間違いです。
そうではなく、「あ、シュークリームがある、新商品だ」といったところで思考をストップしましょう。
深く考えず、スイーツがそこにあるという事実を受け入れます。
「食べたいな~」、「おいしそうだな~」と感じるかもしれませんが、感じたとおりに行動する必要はまったくありません。
また、このような「考えないようにする」や「感情を抑え込む」といった行為は様々なところで研究され、わかってきたことがあります。
例えば、自己批判的な考えを頭から追い出そうとしたとき、この問題に冷静に向き合ったときよりも、自尊心が傷ついたり、気分が落ち込んだりすることが確認されています。
また、思考を抑圧すると心的外傷後ストレス障害(PTSD)や強迫性障害(OCD)などの深刻な不安障害の症状を悪化させてしまうことが研究でわかっています。
【ダメだと言われると余計にやりたくなる心理】
ロンドン大学セント・ジョージ校の心理学者ジェームズ・アースキンは、「考えるな」と言われると人はなぜ「実行」に移してしまうことがあるのかを調査しました。
アースキンは参加者の女性らを研究室に招き、2種類の同じような味のチョコレートの試食のテストを行なっています。
まず、チョコレートが運ばれてくる前に、女性たちを3つのグループに分けます。
一つは、チョコレートについて思っていることをなんでも自由に口に出していいグループ。
もう一つは、「チョコレートのことはいっさい考えないでください」と指示を出したグループ。
最後に何も指示を与えなかったグループです。
最初のうちは、思考の抑圧に効果があるように見えていたそうです。
それは、チョコレートのことを考えないようにしていた女性は、他の女性に比べチョコレートのことを考えた回数が少なかったためです。
ある実験では、平均したところたったの9回しかチョコのことを考えていませんでした。
一方、チョコレートについて頭に浮かんだことを自由に話すように指示された女性たちは52回もチョコのことを考えていたそうです。
普通に考えれば、チョコのことをたくさん考えていた女性の方が、チョコレートが欲しくなっていっぱい食べるような気がしますが、実験ではまったく逆の結果が出ています。
研究者は、参加者の各女性のまえに個別包装のチョコレートが20個入ったボウルを二つ置きます。
そして、チョコレートに関する調査用紙が配布され、参加者は部屋にひとりきりになってアンケートに答えるのですが、このとき、アンケートに回答するためにチョコレートはいくつ食べても構わないと言われます。
結果は、試食テストのまえにチョコレートのことを”考えないように”していた女性は、他の女性よりも2倍近くチョコレートを食べていました。
その中でも、ダイエット中の人や思考を抑圧しがちな人ほどこの「皮肉なリバウンド効果」が強く出ていたそうです。
また、別の調査では、ダイエット中の人はダイエットをしていない人よりも食べ物のことを考えないようにしていることがわかりました。
これは、先ほどのチョコレートの実験から言えば、食べ物に対する自制心が弱くなっている状態だと言えるのではないでしょうか。
(だって、考えないようにすればするほど欲しくなってしまいますからね。)
【思考を押さえつけるのではなく、行動を変える】
考えや欲求を追い出そうとしたり、抑えつけようとしたりすればするほど、私たちはその行動をとってしまう可能性があることを説明しました。
では、具体的にそうならないためにはどうすればいいのか?
その答えの前に、1つの実験を紹介したいと思います。
ある大学でキスチョコが入った透明な箱を100名の学生に配布します。
そして、その箱を48時間持ち歩くように指示を出します。
もちろん箱のチョコもそうですが、他のチョコもいっさい食べないように釘をさします。
一部の学生には、食べたくなった時は気を紛らわしたり、食べたいと考えてしまった自分を戒めなさいと指示を出します。
「食べたいけど、食べないように言われたし、食べたいなんて考えちゃダメだ。我慢しよう」といった感じです。
違うグループにはシロクマの話を聞かせ、アドバイスをしています。
チョコレートを食べたい気持ちを無理やり追い出すのではなく、チョコレートを食べたくなったことを素直に認め、チョコレートについて感じたことをすべて受け入れること。
思ったとおり、感じたとおりに振る舞う必要はないことと、思考はコントロールしなくても行動はコントロールできることを伝えます。
結果は、思考を無理やりコントロールしようとしなかったグループは、チョコレートを食べたいという欲求が一番少なかったことがわかりました。
このことから、外に出たいという欲求や思考が出てきたときは、それを否定したり、追い出したりするのではなく、いったんその気持ちを受け入れることが大切です。
そして、その思考や感情はコントロールできないとしても、あなたの行動はコントロールすることができます。
そのことを思い出してください。
これは、マインドフルネスに似た考え方かもしれません。
最後に
確かに、あまり外に出ないように言われて、家の中でだらだらしていたら、何もしていなくても疲れてしまいますよね。
何かしたいと思うけれども、何にも思い浮かばないという人もいるかもしれません。
でも、これを機に自分の生活習慣を見直すのもいいですし、新しい趣味を見つけることもできます。
自分の知識を増やすために本を読むのもいいし、運動だって室内でできるものはたくさんあります。
しかも運動は脳や身体、メンタルに良いという研究結果がたくさんあります。
家の中でうろうろするくらいなら、その場でスクワットをした方がいいでしょう。
家でなら変な目で見られても家族だけで済みます。
これを突然人通りの多いところでやったりすると「あの人どうしちゃったんだろう」と心配されるかもしれないので注意が必要です。
あなたのなかに、もし頭から離れないようなことがあるのなら「シロクマのことは考えるな」というフレーズと「皮肉なリバウンド効果」をちょっと思い出してみてくださいね。
今回はここまで
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それではまた次回お会いしましょう。
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