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人を判断するとき、私たちはどこを見ているのか?

みなさんこんにちは! こしあんです。

みなさんは自分や同僚が仕事で失敗したとき、まず最初にどこに原因があると考えますか?

実は、私たちは他人が失敗した原因を過度に本人の性格や能力などのせいにして、誤った判断を下すことがあります。
これを心理学では基本的帰属錯誤と呼んでいるのですが、この錯誤を引き起こす要因の一つである「行為者ー観察者効果」というものがあります。

今回は、日常生活でもよく見られる「行為者ー観察者効果」についてのお話です。


【普段からよく見られる基本的帰属錯誤】

突然ですが、みなさんは好きなドラマや映画がありますか?

よくある話ではありますが、ドラマに出てくる俳優さんは用意された台本に沿って演技をしていますよね。
実際には、ドラマと俳優本人の性格は”全く関係していない”ことはみなさんもご存じのはずです。

しかし、私たちはその俳優さんの”実際の性格もドラマで演じている役と同じである”と考えることがあります。
悪役が見事にハマってしまったばっかりに、嫌われてしまった俳優さんや女優さんもいるのではないでしょうか。
そのため、悪役を演じた俳優さんは街中で白い目で見られたり、「本当はいい人なんですね」なんて言われたりします。(笑)

このように私たちは、普段からイメージによって人を判断しているとも言えます。


最初にも書きましたが、このような基本的帰属錯誤を引き起こす要因の一つとして「行為者ー観察者効果」と呼ばれるものがあります。

例えば、狭い場所で複数の人が座り込んで何かの作業をしています。
あなたは道具を取りに行こうとして、座り込んでいる友人の後ろを通ろうとしました。
そのとき、急に友人が立ち上がったため、避けきれずぶつかってしまいます。
あなたは友人のお尻に勢いよく押し出され転んでしまいました。

さて、あなたはこの時の友人の行動をどのように説明するでしょうか。

不注意や周りを見ていない、おっちょこちょい、鈍感などいろんなことを考えるかもしれません。
しかし、ここで立ち上がったのがあなたであった場合、あなたの説明はどう変わるでしょうか?

先ほどの友人を説明する時とは違ってくるはずです。
「後ろを通るときは声をかけてもらわないと困る」とか、「作業場が狭すぎるのが悪い」といったことに注意がいきがちです。

このように、自分が観察者であるときは、相手の行動を相手の内的原因(性格など)に帰属しがちであるのに対し、行為者であるときには、自分の行動を説明するのに外的要因(作業スペースなど)を強調してしまいます。
これを「行為者ー観察者効果」と呼んでいるわけです。

簡単に言えば、他人が失敗したときはその人の性格などのせいにして、自分が失敗したときは状況のせいにするということです。

同僚や部下が仕事で失敗するのを見たとき、「あいつ、おっちょこちょいだからな~」と失敗を内的原因に帰属しているなら、もし自分が同じ失敗をしたらと想像してみるといいかもしれません。
そして、その言い訳を実際に書き出してみて、自分の言い訳が外的原因を強調しているのであれば、「行為者—観察者効果」が出ていると思っていいのではないでしょうか。

すべてを状況ではなく、内面的な問題にする人はそう多くはないと思いますが、この問題はみんなが陥ってしまうことなので注意が必要です。


【社会的推論】

私たちは、このように自己や他者を含む様々な社会的事象に関して推論をしながら生活をしています。
しかし、だからといってこの「行為者—観察者効果」がいつも見らるわけではありません。
自分の失敗を常に状況のせいにして、他人の失敗をその人の責任と考えているわけではないということです。

人間は面白いもので、自己奉仕的(高揚)バイアスというものを持っていて、自分の成功体験や失敗体験の原因帰属について、自分にとって好ましいことはその原因を内的に帰属し、自分にとって好ましくないことはその原因を外的に帰属させます。

つまり、よくできたときは「自分の能力が高いから上手くいった」と考え、悪い結果のときは「初めから不利だった」といって状況のせいにします。
あまりにもこの考えが行き過ぎると危険ですが、自分の自尊心を守るために必要なことだったりもします。

また、帰属錯誤は相手に不利に働くだけではなく、例外的に有利に働くこともあります。
例えば、恋人や親友などの好意を持った相手の行為について原因帰属を行なう場合には寛大になりやすいことがわかっています。
成功したときは内的な原因帰属になり、失敗したときは外的な原因帰属を行ないます。

もし、他人の行動を説明するとき、その人の失敗を過度に本人の性質に帰属している場合、基本的帰属錯誤に注意しなければなりません。
そんな時は、自分が同じ失敗をしたときの自分の言い訳をぜひ観察してみてください。

原因が状況にだけあるような言い訳を思いついたら、あなたはもう錯誤の真っただ中にいるのかもしれません。(笑)


今回はここまで

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それではまた次回お会いしましょう。

※この記事は主に私のアウトプットを目的に書いているものです。
参考にした資料(主に読んだ本)をもとに考察したもので、私の主観が多分に含まれています。
そのため、参考にした論文とは結論が異なる場合があります。
あくまで、一つの意見として見るようにお願い致します。



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こしあん
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