捨て雛に思うこと
札幌市が行っているカラス対策に関して数人が疑問を投げかけてくれた。
https://carasblog.net/sapporoshi20220512.php
私は札幌市民なので、札幌市のHPを繰り返し見るということはなかった。
毎年毎年、カラスの巣立ちの時期になるとゆううつで気分も最悪な状態が続くののである。
しかし、今回こうして他県の人が見ておかしいと感じて指摘してくれて、私の感覚がおかしい訳じゃないと安心した次第である。
札幌市のカラスに関するHPを見て行くと、カラスと共存をしていて保護ではないが静観して欲しいと、理解を求めている一方で「親ガラスの威嚇が激しい場合、子ガラスを捕獲することにより、威嚇を収めることができます」とある。
確かに守る対象がいなくなれば威嚇をする理由がなくなるから大人しくなるだろう。
でも正直あまりにも安易だし、本当に威嚇なのかの確認もなく業者が捕獲して山野へ捨ててしまうのである。
捨て雛を廃止することは無理なのは理解しているし、私は一度もそのようなことは要求はしていない。
私が行政に求めるのは以下のことである。
:市民からの通報を鵜呑みにしないで、必ず状況を職員が確認をする
:現場に行ってすぐに捕獲ではなく、様子を見てから判断する
:雛を捕獲せずに可能な限り樹上へ戻して様子を見る
大まかにこの3つである。
樹上へ雛を戻す行為を札幌市は「保護に該当するのでできない」という見解である。
疑問に感じて環境省へ問い合わせたら「本来は樹上にいるはずの野鳥が、何らかの理由で下りてしまい上がれないのなら、手助けをして現状復帰をするだけで、保護には該当しない」という見解だった。
そのことを札幌市に伝えると「環境省は環境省、ここは札幌なので札幌のやり方で行います」とのことだった。
条例がある訳ではないけど、担当部署の決め事だということだろう。
それを否定するつもりはないが、可能な限り税金で捕殺を控えたいと思うのが行政かなと思うけど、違うのだろうか?
札幌市は10区に分かれていて、カラスの事は各区土木センターが担当している。
カラスは生き物だけど、公園管理の一環で対応している訳である。
巣の撤去も20年ほど前は本当に目も当てられない状態で、種別などという言葉はなく、取り放題に近かった。
私が何度も話し合いを申し出て、即撤去ではなく看板を増やしてもらい、様子をみて対応してもらえるようになった。
その時の担当者が「じゃ、ちょっとやってみましょうか!!」と言ってくれた時のことは忘れることはない。
不満のある人がいるのは当たり前だが、かなり理解が進み、今では撤去をしない区もある。
その分、担当者は何度も足を運ばないとならないし、苦情主に怒鳴られることも増えたと思われる。
各区土木センターがこんなに大変な思いをしてカラス対策を行ってくれていることに対しては感謝しかないのである。
では何故、捨て雛が問題になるのか?という疑問が生じてくる。実は捨て雛は、各区土木センターではなくて、その上の部署が担当している。役所はという機関は「横つながりがない」と言われるが、カラスの担当になると縦つながりもないのである。
土木センターで看板を設置して色々と対応をしてくれて、やっと雛が巣立ったと思っていたら、あっさりと捨て雛される事もしばしばある。
せめて土木センターに連絡でもあればいいが、それすらないと聞いている。
「やっとと思っていたのに、雛を捕獲されて何だかがっかりです」とポロっと本音を言った担当者がいた。
土木センターにも多少の温度差はあるが、私が頻繁に関わってるところでは威嚇があると市民から連絡が来たら、まずは近くで様子をみて、それから自分たちが側へ行き、威嚇の有無を確認する。
威嚇があっても、状態によっては静観をする場合もある。
多分、この対応が理想的というか正しいのだと思う。
昔は雛の捕獲も職員が行っていたが、札幌市は外部委託大国だから今は外部委託の業者が行っている。
巣の撤去が減少すると捨て雛が増えるのは想定内ではある。
しかし、余りにも余裕のない対応になってしまっていないだろうか?
保護になるから雛を樹上へ戻せないというのなら、ボランティアでも募って監視の目を増やせばいいのではないだろうか?
そういうことも今後考えてくれたらいいのにと思うのである。
私は行政に喧嘩を売るつもりもないし、そんな気力も体力も残っていない。
クレーマーのように業務に支障が出るくらい、しつこくするつもりもない。
カラスの威嚇は本能であり、雛を守りたいという親なら当たり前な行動である。
それを凶暴とか言い出したのは恐らくマスコミで、襲うのは事実だから報道するのは問題はない。
しかし、その理由などは一切語られることがなく、見た人に凶暴だと刷り込まれてしまったのだと思う。
長年の報道のツケだと言っても過言ではない。
正しい生態を同時に報道してくれていたら、ひょっとしたらここまで凶暴だとか、偏見の目で見られるようなことはなかったかもしれない。
またゆううつな6月がやってくる。
雛の巣立ちをのんびりとほほ笑んで見ていられる日はくるのかな?
6月の札幌と言えば一番過ごしやすい季節で普通は楽しいはず。
でものんびりとしている裏側で、捨て雛をされていると思うとやっぱり6月は嫌いだ。