カラスの雛は何故地面に下りちゃうのか?
2022/5/28の捨て雛の記事を投稿したが、何故捨て雛に至るのか?もお伝えしたいと思った次第である。
捨て雛になるのは「地面にいる雛」がデフォルトだが、時々樹上にいても捨て雛をされるので油断は禁物である。
カラスの巣立ちは決して格好がいい訳ではない。
巣のある枝を伝ってチョロチョロするのが巣立ちである。
アカゲラみたいに巣穴から勢いよく飛び出るようなことは決してない。
カラスの雛は十分に飛べない状態で巣立ち、枝伝いに移動しながら、羽ばたきの練習をして筋肉を鍛えるのである。
そうすることにより、飛翔が可能になる。
しかし、営巣地によってはそれが不可能な場合がある。
枝伝いができるということは、枝が十分に伸びていて、隣の木へ移動も可能だということだが、枝がない電柱のような街路樹も少なくない。
仮に巣立ちまで問題なく進んだとしても、枝がなければ雛の飛行練習の場所がないことになる。
しかし、雛はそんな状態だとも分からずに、移動してしまうのだが、枝がないから行き先は地面しかなくなる。
地面に下りるというのも本来なら自然なことだが、街路樹となると環境が違う。
「地面に下りても飛び上がればいいじゃないか?」と思うのが普通だが、先に述べたように、カラスの雛は十分に飛べない状態で巣立ってしまうのである。
飛べないと言っても平行には飛べるが、高く飛び上がる力がないのである。
しかも公園や街路樹は地面から約2mまでの下枝は切られていて枝がないのである。
下枝があれな枝伝いに高い場所へ移動も可能だが、枝がなければそれも不可能で地面をウロウロするか、幹にへばりつくしかなくなる。
そうなると、親ガラスは雛を守ろうと、必死になり、通常ならターゲットを絞って威嚇をするのだが、パニックに陥ると周りにいる者を全て排除しようとするのである。
これを「凶暴化したカラス」などと面白おかしく書き立てるマスコミがいる訳である。(マスコミも見てもらわないといけないので、タイトルは毒々しいが、きちんと原因や対処法が示されていれば問題はない)
親がパニックに陥っている状態の時に通報されて捨て雛に至る訳である。
つまり通報する人がいなければ捨て雛は起こらないということは一目瞭然だ。
札幌市のHPの記載内容への指摘があるように「カラスの雛がいたら通報して下さい」と誘導しているかのようである。
模範市民のように、この時だけは素直に指示に従う人が多いと言えるだろう。
通報しても構わないが、問題は受けた側の判断だ。
現地に行かずに通報者の話を信じてしまうのは非常に危険であり、その判断で生きる権利のある雛が捨てられてしまうのである。
通報する人の中には「かわいそうなので何とか保護できないか?」と思う人もいる。
以前は受付で「保護します」と伝えていて、これが誤解を生みだしていたのである。
保護と聞くと「飛行訓練をしてもらい、放鳥してくれる」と思うのが当たり前かもしれない。
しかし実際には捨てられてたと知って、鳴き出した人もいた。
私の所には巣立ち時期の相談が非常に多い。
親が騒ぐからと雛を捕まえて捨てられるのはかわいそうと連絡が来る。
親がいるのだから、樹上へ戻すのが理想である。
リングを装着して、親の様子を見ながらいよいよ雛を樹上へ戻す。
親ガラスはこの時は雛から目を離さないので、段ボールに雛がいることは分かっている。
雛を樹上へ戻す時は親が見ているのを確認しならがが理想である。
(はしごがあれば理想的)
ハシブトガラスの場合は目を離さないから大丈夫だが、ハシボソガラスの場合は、最後に雛がいた場所に執着する傾向が強いので、樹上へ戻す場合は配慮が必要である。
雛を樹上へ戻す際は、雛を落ち着かせてからの方がいい。
興奮した状態だとすぐに飛び降りてしまうことが多い。
飛び降りたらまた戻せばいい訳だが、負担は少ないに限る。
雛を安定した枝に止めて、背中を少し抑える感じにして、指でしっかりと枝を掴んでいるのかを確認する。
それが出来ていたら、あとすぐに雛から離れる方が良い。
親ガラスは興奮しながらも、必ず雛を姿を確認するので、それが見られたら大丈夫である。
こうして樹上へ戻せると親の威嚇も治まってくる。
もちろん、これを行った本人は威嚇され続けるが、雛が無事だという証拠にもなる。
似た人物への威嚇だが、このように樹上へ戻した場合はこれ以上危険な人物はいないという判断なのか、他の人への威嚇はほとんど見られないのである
これから札幌市内はカラスの巣立ちが盛んになる。
都会という場所がら雛が地面に下りてしまうのは避けられない場合が多い。
しかし全てを捨て雛で終わらせるのではなく、可能な限り対策を取ることって可能ではないだろうか?
捨て雛が盛んになる6月はやっぱり嫌いである。