私が言われて嬉しい言葉
新年が明け、取り戻すかのようにnoteを読むワタス。
そしたら「時間ができたら書こう!」と思っていた企画記事が今日締切だという。慌てて書く準備に入った。うぇい。
自分なりに嬉しい言葉を考えてみたのだが、これといったものが思い当たらない。言われて嬉しいというよりは「ホッ」とする言葉を聞くことが多い。私のパフォーマンスについての感想や料理を食べた時の感想も、言われて率直に感じることは「ホッ」とする気持ちである。
純粋に私が「嬉しい」と感じる言葉。それはなんだろう?
その時、ふと私が教えているボーカルレッスンの生徒さん達のことが思い浮かんだ。
私のレッスンは生徒に対して決して厳しくはないが甘くもない。スタンダードジャズソングの中に”Pick yourself up” という曲がある。歌詞の内容は
「地面にあごがついたって 立ち上がって 埃を払って 最初からやり直そう。失敗したって自信を失わないで 立ち上がって埃を払って はい もう一度」
というものだ。英語の発音がなかなか出来なくても、私から提示されたフレーズがなかなか飲み込めなくても、細かいリズムが一向に取れなくても「はい、もう一度最初から」と何度も何度も一緒に繰り返す。その日出来なくても、寝かせれば不思議なくらいスラスラ出来てしまう日もある。煮詰まったように見えても、何度も繰り返した鍛錬は知らないうちに身についている。少しくらいピッチが外れても…というぬるい感覚に優しく喝を入れ、自分の音に集中させる。いつの間にか、細かい音にまで神経を巡らせることが普通になる。
私と生徒の二人三脚で一曲を仕上げていく。
私はそれぞれの生徒にすべて異なった*fakeを提示する。私はその時生まれたfakeをすぐに忘れてしまうが、生徒はしっかり覚えて私の作ったfakeを自身の歌として覚えていく。そうして仕上がった曲は、改めて聴いてみるとすごくイカしたものになっていたりする。生徒に「このfake、ちょっと自分で変えたりしたの?」と聞けば
「いいえ。先生に教わった通りに歌いました」
と返ってくるではないか。ちょっと嬉しい。生徒が私のfakeに満足しているのも、客観的に聴いてみてなかなかいいfakeだったことも、全部嬉しい。
生徒さん達はライブ出演したり、セッションに参加して切磋琢磨してジャズに向き合っている。その姿はとても頼もしくも可愛くもある。(それが私の親くらいの年齢であっても)みんな私にとっては愛する子供のような存在だ。
その生徒さん達から、時々こんな言葉を聞く。
「先生、先日セッション仲間から歌がうまくなったって褒められました」
この ”みんなから上手くなったと褒められました”という言葉を聞くと、私は嬉しくて嬉しくて「うぇーい」と道行く人全員にハイタッチしたくなる。なんなら国旗を背負ってグランド一周したい気持ちだ。これほど純度の高い嬉しさってあるだろうか。自分が褒められるよりもずっとずっと嬉しいのだ。
生徒が成長している。それを周囲が評価している。
私にとって、こんなに嬉しいことはない。
これが私にとって一番 ”言われると超嬉しい言葉” である。
そうして生徒さん達が、音楽を楽しむことを覚えていく姿を見るのも、私にとっては踊躍歓喜なのである。