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新人看護師に必要な生き抜く術

看護師として12年、関西の中核都市のとある総合病院に勤務した。
退職した後も新人時代のことを夢に見た話は、こちらの記事でも書いた。

私自身は地方の看護専門学校を卒業し、その後に大規模総合病院に就職した。倍率の高かったその病院に受かったのは今でも何でかよくわからない。同じ学校から成績優秀者が受験していたけど、受かったのは留年を経験した成績がそんなによくもない私一人だった。

新人看護師の背景

看護学生・看護師の卵など、学生という身分から解き放たれることが気持ちよいと思う人と、新しい環境に馴染めないかも、という人がいると思う。

育ってきた環境も、学んできた環境も違う人たちが同じ職場で働く。
目指しているのは看護師として一人前に働けるようになるということ。
チームで目指しているのは、よりよい看護が提供できること。

冷静になってみればわかるのだけど、そういう当たり前のことさえも考えられなくなっている。

背景として慣れない仕事。慣れない考え方。これは一般の社会人でも起こりうることだけど、看護師特有の慣れない夜勤がつきまとう。

夜勤というものは思考能力も体力も奪う。夜勤中に猛烈な食欲に襲われ、お菓子を食べても空腹が満たされなかったり、夜勤明けでは逆に、胃が何も受け付けず、吐き気に襲われたりすることもあった。(準夜帯にポテチ食べてるからやというツッコミはなしで)

体調面ではもちろんのこと、夜勤前や夜勤後の生活リズムが掴めるまでは、無茶をしてしまう傾向はもちろんある。

それに加えて組織の考えがよくわからなかったり、よく見えなかったりする。
それを伝えようとしない風土もあると思う。

看護師って教えてもらって覚えるのではなく、見て覚える職人気質だったりする。

そういう時に指導を受けるのは先輩から。一番のネックは先輩との付き合い方だと思う。

新人看護師に求められること

新人看護師はそのような先輩とどう付き合っていけばよいか、これは新人という大きなくくりの3年目ぐらいまでの悩みかと思いきや、その後も長引いている人が多く、社会人として働くときの永遠のテーマとも言えると思う。

そんな中で、新人看護師としてどのように生き抜いていくのがよいか。先輩にもある程度かわいがられ、後輩からもある程度慕われていたらしい私の考える、生き抜く術について言語化したいと思う。

新人看護師の心構え

石の上にも3年ということわざもあるように、やっぱり3年ぐらいは続けて働きたいと思って就職していると思う。

でも先輩看護師がきつかったら。看護観が合わなかったら?そんな不安もあるだろうけど、まずは、続けられるところまで続けてみよう。大前提としてそういう気持ちは持っていてほしい。

新人看護師として生き抜く術とは

①まずは自分の思い込みを外してみる

新人看護師に多いのは思い込み沼から抜け出せないタイプ。
先輩=怖い、先輩=批判してくる生き物。
あの先輩私のこと嫌いだからこんな言い方キツいんや。そう思うだけでしんどくなってくる。自分にベクトルが向いているうちは、ずっと自分に対するバッシングと捉えかねない。

自分自身が悪いことをしていた、間違っていたなら素直に謝ったりする方が物事が進みやすかったりする。

ずっと足踏みしないためには、間違っていたことなどを謝って次に進む方が断然いい。

私がよくやっていた思い込みの対処法は、
もしそうじゃなかったら?と自分が思っていることを逆説的に考えてみるのがおすすめ。

上の例でいうと、先輩は私のことが嫌いなのだ→先輩は私のことが嫌いかもしれないが、嫌いじゃなかったとしたら?と考えてみてほしい。

あなたの成長を願って言っているだけかもしれない。

②先輩のタイプを分析する

先輩がどういう人間のタイプかよく観察すること。

なぜ先輩先輩、とこういう先輩だけのコンテンツがあるかというと、毎日患者さんの観察項目やケアについて話あうための'調整'というものが存在する。
その調整の前に十分情報収集する時間がないかもしれないが、その先輩のタイプに合わせて調整前準備をすることがオススメ。

意見を求めてくるタイプなら、自分なりの意見を用意してから調整に挑む。
話を簡潔にして欲しい人、せっかちな人なら、要点だけまとめておいてから話をする。
逆に論理的に話をしてほしい人なら、順序立てて、病態→症状→観察項目の順に言うだけで、クリアできるハズ。
ちなみに私は論理的タイプだった。順序がバラバラだとわかっていないとみなし、その人にかかる調整の時間が長くなっていた。なぜなのか、が繋がらないと調整の意味がないと思っていたから。
大体この3つがオーソドックスな先輩タイプ。
あと一番ややこしいのが、気分屋な先輩。そういうタイプが一番めんどくさい。今日の気分を毎日、下手したら数時間おきに観察しておかないと、地雷を踏む。どういう状態かを読んでいないがために地雷を踏みに行き、爆発させている新人をよく見かけた。そういう先輩は往々にして飲み会好きだったりする。コロナで飲み会のない今は結構対応が難しい。

③ドクターとの関わり方

学生時代は何の後腐れもないので、医者は学生に手を出すことが多い。
うちの病院も関西の有名大学卒の医者が多いために、新人や学生とでき婚するパターンも少なからずあった。

でも気をつけて欲しいのは、医者との何やかんやはどこかから絶対に流出する日がくる。その相手が新人(1年目)とわかると先輩達の目線が厳しくなるのが女の世界の怖いところ。でも事実として何度も似たような光景を目にしたことがある。

医者と結婚したくて婚期を逃していると解釈せざるを得ない先輩がゴロゴロいるのも事実。

1年目で壮絶バッシングをされてもいいと思うならば、アリだけど。

なるべくなら、1年目の間は色恋には関係ないですぜ、というようなパフォーマンスでいいので、そういう風に見せておく方が無難。

私自身も1年目の夏ごろに彼氏ができたけど、その後も職場ではずっとひた隠しにしていた。2年目になってバレた後、独身の先輩からの風当たりはかなりキツくなった。相手が医者じゃなくても嫉妬に狂われ、調整のときに毎日キツいこと言われる。色恋なんて知らないわ〜という雰囲気を出しておく方が懸命だとわかった。

数年後にその先輩も結婚し、めでたしめでたしだったのだけど。

先輩側の意見としては、仕事も一人前にできないのに何してるん?という感じだろう。看護師免許を取得しても1年目は仕事が一人前とみなしてくれない世界に足を踏み入れた自分の責任でもある。

新人と呼ばれなくなる日

とは言っても、この1年さえ乗り越えれば、また新しい人が入ってきて、あなたももう新人じゃなくなる。つまり先輩になる、ということ。

この1年は最低でも我慢してほしいというのが私からのエール。

でももう心を病みそうになる。病気になりそうになる。死にたくなる。
などの気持ちが出るのであれば、辞めてもいいじゃん。そう思っている。

辞めてもいいじゃん

心を病むまで仕事をするべきではない。と思うから。

そして私のように看護師辞めても何かしら医療に携われる日もくるし、医療現場にいたという事実が、また次の場所で花開くこともあると思う。

それと辞めてもいい、と自分で思えるだけでも、もう少しやってみようかなというきっかけにもなるのが不思議。

辞めてはいけないと思っていると、続ける道しかないと思って追い込まれる。その追い込まれる感じがよくないと思う。

実際、専門学校が同じで、寮生活も同じく送り、とても頭がよくて、仕事もできる、実習もさらりとこなしていた何の問題もない同級生が、1年目のときに壮絶な先輩からのいじめにあい、1年目の途中で辞めていた。これは私にとってはとても衝撃だった。どこでも生きていけるタイプの人だったから。

なのでその子が1年足らずで離職することには納得できた。職場との相性の問題もあるだろうし、目をつけられたなら、もう辞めてもいいと思う。

幸いその子は、就職前に内定をもらっていた別の病院に1年目の間に再度就職希望を出し、2年目からはそちらの病院で働いた。

そういう事例もあると思うだけで、少し楽になる気がする。

看護師というのは尊い仕事

白衣の天使、といわれると中身はおっさんですぜ、と思っていた。
でも私自身は看護師が天職だと思っていたし、患者さんの話を聞いたり、退院後の生活が楽しく送れていると知れただけでも嬉しかった。

今でも年賀状をやりとりしている患者さん家族もいる。
そういう個人的なつながりは良くないと言われるのだけど、それがまだ許される時代だった。

患者さんの笑顔や言葉が新人時代の私を支えてくれていた。
患者さんも新人に対してはやけに優しくしてくれる人も多かった。

総合病院で11年、その後ブランクを経て診療所で1年、合計12年の私からの新卒看護師へのエール。

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