たいらの湯 創出までの物語 ④
学会での発表なども経験させてもらって
他部署での職員離脱もあって
今度は法人の幹部として
在宅部門を担当させていただく事になった。
やっぱ接客業ってこんな感じだよな〜と
在宅部門にはやはり楽しさを感じた。
ココで若かりし頃からの店長経験が活かせた。
跳ねっ返りのグレたバイトに仕事をやってもらうのと
ふんぞり返るお局職員様への対応とでは
少し違う技術が必要だったのは言うまでも無い。
が、数字を追い、人を育て、周りのバランスを整えて全体の成果へ繋げていくのはやっぱり楽しかった。
結果を数字で確認して裏付けを取った。
この法人では赤字事業を黒字へ持って行っても
天下りトップはその意味も分からないようで
俺は仕事をしなくていいんだと
デスクで鬼平犯科帳を読んでいた。
施設の入居相談員は呑んだくれ
酒気帯び運転で出勤して送迎に行き
お客様を乗せた状態で何度も事故を起こしていた。
そんな奴らはほっとこう
(すれ違う時だけ無言で睨みつけていました)
今後はこれまでに得た地域との輪を活かして
更なる地域貢献のフェーズに移行しよう。
法人の競争力強化と地域の空き家対策、自分で行くことが困難になった方を旅行にお連れして楽しみと生きがいを持つ。
そしてそれが健康維持に繋げていけたら。
そんな思いで計画書を書いていた。
H28国土交通省坂井氏の研究でも車椅子シニアの外出に向けた市場開拓への道筋がある。
そして同じ年。
介護保険外サービスの参考事例集も出た。
保険外でしょ!
って事でまずそういったサービスについて興味はあるのかを近隣のお年寄り家庭100軒にアンケート調査。
その回答をもって法人の取り組みとして行えないかと起案を提出。
回答は「設備費に金は出せないが車両や利用料補助など一定の支援は行う」だった。
ありがたや。
地元で一番のインパクトである温泉を活かすための設備資金や運転資金を公庫へお願いしてスタート。
自分の使いやすいカタチを
デザインアプリで一生懸命考えた。
ブランディングのために屋号とロゴを考えた。
目が届き、声が聞こえて、シンプルで
認知症の方にも安心な?そんな空間にしたい。
用地選定にも何十回も通った。
地元の土建屋さんに頭を下げる
「ココでしか出来ないコレをやりたいんです!」
めちゃくちゃアツイ方に出逢えた。
後から知ったが、この方の手掛けたお風呂が
この草津温泉において私の一番好きな場所だった。
本当に感謝しかない。
ホームページも自分でやってみた。
ちっさな規模だけど各種SNSの運用と
予約への流れ、各種決済対応手続きをカタチに。
抵当権の設定、土地建物所有権移転登記および
所有権保存登記、表題登記など
やれる事は全て自身でやった。
ほとんど寝なかった。笑
そして、なんの因果かこの時
法人の人材不足により短期入所部門は
一次休止となった。(理由は色々ある)
ココがいいキッカケとなった。
ある程度は外に振ることはできたが
私の管理していた部署と併用されていた方の内、
どうしても個別対応でないと困難が生じるであろうお客様を、保険外ショートとしてお預かりする事が可能になったのだった。
《続く》