
あの有名妖怪も裏の顔を知るとやっぱり怖いというお話
いらっしゃい
また遊びに来てくれたんだね
怖い話が聞きたいの?
じゃあこれはどうかな 友達のあまめちゃんから聞いた話
鹿児島県にあるK郡K町でのお話。
むかし里帰りで帰った際に祖父から聞いた。
じつはこのK町はとある妖怪の故郷として有名だ。
その妖怪とは一反木綿。ゲゲゲの鬼太郎でもお馴染み妖怪だ。
しかし祖父から聞いた話によるとあの有名なフォルムとは少し違っているようだ。
祖父の祖父が子供の頃に体験した話ということなので、おそらく明治時代ぐらいの話かもしれない。
彼(高祖父)は当時十代手前で遊びたい盛り、家の手伝いも忘れて野山を駆け回っていたそうだ。
秋の日は釣瓶落としとはよく言ったもので、その日彼は友人数名と夕暮れまで遊びだいぶ遅くなっていた。
黄昏時で前後を行く友人たちもシルエットしか見えないような状況。
そんな中事件は起きた。
先頭を歩いていた1人が「あっ」と声をあげる。
どうしたのかとみていると何かを拾い上げた。
それは片方だけの草履。
友人は「今これが上から落ちてきた」と言った。
しかもまだ温かい。
誰かイタズラで投げたかと思い振り返ると、最後尾を歩いていた1人がいないことに気づく。
あいつどこいった?とそいつの名前を呼びながら辺りを探したが見つからなかったそうだ。
慌てて家に帰り家族で探したがその日は見つからず、翌日再び捜索することになった。
夜が明け捜索のため事情を知った村中の人が集まった時、その中の1人がこんなことを言い出した。
昨夜風呂に入って外を眺めていたら一筋の光が空から降りてきてた。
目を凝らしてみるとそれはゆらゆらと揺れながらずっと上から降りてきている。
長く白い布がスルスルと地面に向かって垂れてくる感じだったという。
それはゆっくりと垂れてきて地面につくや否や一瞬でスーッと空に帰っていったと。
その話を聞いた時誰かが、「そらにひっちゃれたんじゃねどかい(空に落ちたのではないだろうか)」と言うと、その子の母親は泣き出してしまったとのことだった。
この地域では時折神隠しが起こっていて、列の最後尾の人が突然いなくなることがあったらしく、そのことを「空にひっちゃれた(空に落ちた)」と言っていた。
結局、いなくなった子はその村から何キロも離れた海で見つかった。
溺死ではなく高いところから落ちたことが死因だったらしい。
じつは祖父の子供の頃も空から垂れる布を目撃したことがあって、その時は遠目に白いものがゆらゆらと踊っているように見えたそうだ。
あの布にまかれると空にひっちゃれると思い祖父は近づかなかったらしい。
今で言うUFOによるアブダクションや都市伝説に出てくるくねくねにも似ている気がする。
この話を幼い頃に聞いていたので、私は今でも最後尾を歩くのが苦手だ。
どうかな?
怖かった?
また遊びにおいで
あっ、帰り道、空に落ちないようにね
