![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/7087286/rectangle_large_type_2_42c5048a26e95fcbd86f428c7697e863.jpg?width=1200)
デザイン屋からお願いしたいこと。紙モノデザインを依頼するみなさまへ。
こんにちは。宣伝美術のわたくしです。演劇のチラシやパンフレットをつくっています。紙です、紙モノデザインする者です。
紙のデザインを依頼する方へ、デザイナーからお願いがあります。依頼する上で相手を、相手の仕事を尊重するのであれば絶対に守って欲しいポイント。
紙のデザインを確認する時は、紙に出して確認してください。
宣伝美術として経験したネタということで、舞台公演のチラシを例にお話しします。
演劇業界の打合せ・進行・確認の事情
どこの業界・どこの現場でもそうだとは思うのですが、現在、演劇業界で打ち合わせや確認に使われる主なツールはLINEとメール。演劇業界について言えばPCを持たずLINEもメールもスマホでのみチェックという方も一定数。
私の場合はPCにもLINEを入れ、企画進行中はLINE・メール共にスマホとPCでチェックできるようにしています。
データで確認できるポイントとは
デザインの方向性のみ。
極端な言い方のようですが、私はそう思っています。データの確認を担当される方が校正というものをよく知っていらっしゃる場合にはこの限りではありませんが、詳しくはない方とのやりとりになるケースの方が多い。
そういった場合は往々にしてチェックポイントの把握にまで至っておらず、デザインの方向性くらいしか認識できない。校正者としての目は持っていない、それが理由です。
ほぼ100%起こる見逃し・校正ミス
校正に慣れていない人がデータのみでチェックした場合、ほぼ確実に見逃しが起こります。一般的な舞台公演のチラシであればチェック項目は以下のイメージ。
冠・タイトル・名前・日時・金額・電話・住所・URL・ひらがな・カタカナ・漢字・数字・綴り・文字間・行間・大文字・小文字・全角・半角・表記の揺れ、など。
場合によっては「役者のプロフィール・年と演目とその表記の正誤を確認」といった校閲に近いことまで行わなければなりません。
これらすべてをデータ上でチェックすることがどれだけ難易度の高いことかはお分かりいただけるかと思います。紙でチェックをする場合でも一人の目では校正ミスが起こる可能性は高く、複数人の目を通すことが必要、複数人の目を通してやっとなレベルです。
また、デザインデータは画面上で見た時と紙に出力して見た場合では見え方がまるで違うものです。データでは問題なく見えたけれど出力してみたらズレていたとか、思っていた見え方じゃなかったということもあり得ます。
デザイナーが意識していること・前提
そもそもの話。デザイナーは「紙のツールを依頼されている」ので「出来上がった紙媒体」を念頭に置いています。
お客様がこの紙を見た時にどんな印象を受けるか・どう見えるか・持った時にどう感じるのか・どこに目がゆくのか・読みやすさはどうか・文字間や行間は適正か、など。
紙媒体を依頼されたデザイナーは「紙にして最適となるデータ」をつくっています。画面上で見るデータはあくまでサンプル。
持参にせよ郵送にせよ出力した紙を渡すことができる状況にあれば問題は無いのですが、それが出来ない場合には「LINEやメールには紙を添付して送れないから申し訳ないけど紙に出してチェックしてください」というものなのです。
この念押しを文字にして伝えるか否かはデザイナーによるところで、私の体感としては「記したところでお守り程度の効力だな」というところです。お願いしてもやってくれない人はいる。
「紙でチェックしない」が表す意思
紙のデザインを依頼したのに紙焼きでチェックしない。それはデザイナーの仕事を、デザイナー自身を尊重していないと受け取られてもしかたのないことです。
技術を軽んじる行為です。
プライドを傷つける行為です。
その時に声を荒らげるデザイナーは少ないかもしれません。ですが、そのデザイナーとのご縁はそれきりになる可能性があります。デザイナーは声を上げずに去り、自身が大切にしたい仲間には「その団体には注意した方がいい受けない方がいい。」と伝えるかもしれません。
それほど重大な話です。
どんなに忙しくても、どんなに信用していても、それで許されるという話ではありません。紙のデザインを依頼した以上、確認する時には紙に出して確認してください。
最低限の礼儀です。デザイナーに対して、ひいてはお客様に対して。
ちなみに。誤脱などのミスがあった場合には団体・企画制作・公演の信用・信頼に響きます。デザイナーにも少なからず火の粉が降りかかります。たとえ原稿が間違っていたとしても!チェックする側がスルーして校正ミスに繋がったとしても!(※これはデザイナー側でどこまで校正を引き受けるかにも関わる話でもある。また別の機会に。)
出力の設備を持っていない場合には
自分で出力する設備を持っていない場合はコンビニのマルチコピー機でプリントできます。スマホ用のアプリも用意されているから好みや都合に合わせて簡単に選び設定することができます。
ちなみに私はA4対応インクジェットプリンターしか持っていないのでA4実寸や細部まで確認したい場合にコンビニプリントを利用します。
仕上がりの用紙と厚さや質の違いこそあれ、校正として見る分には十分な質ですし、チラシとして触れた時のインパクトという意味ではクオリティーやバランスのチェックもできるはずです。
もしもわからないこと、気になることがあればそれは遠慮なくデザイナーに質問してみてください。きちんとしたデザイナーであれば一緒に最適な方法を考えてくれる・提案してくれることでしょう。それができないデザイナーであったなら「デザイナーなど辞めちまえ」です。
さいごに
あまりうるさいことは言いたくないけれど、よりよいものを作りたい、お互いが気持ちよく仕事できる環境を整えたい。そんな思いからこの記事を執筆しました。
これから自分が携わる作品や現場はもちろんのこと、ひとつでも多くの出会いが健全で建設的な場となるように願いを込めて。
長文にお付き合いいただきありがとうございました。
いいなと思ったら応援しよう!
![ろこ](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/22226472/profile_da55cd01d4831561527e2fab963f160e.jpg?width=600&crop=1:1,smart)