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人生と車生

日本では古来、「九十九神(つくもがみ)が宿る」という言葉がある。
この「気持ち」は長く愛おしみ、大切に扱うことで物にも結局は私たちの生活を「守ってくれる」のだと感じる。

 久しぶりに、愛車を動かさないといけないと思い近くの公園まで。
愛車といっても、もはやビンテージの域に入ってると思われる25年の老車である。私と共に血気盛ん?!な頃を走ってきた。

 私がこの車に決めたのは、30年も前、欧州旅行の際に当時はドイツのアウトバーンは、無制限だったが、1車線はバスや小型車が走行し、時速120Kmはでていた。2車線目は中車のリミッターのある日本車、米車等。3車線目をポルシェ、BMW、ベンツが其の車線横を軽々と追い抜いていく。時速は180Kmは超えているのだろう。
バスの上から見るとサンルーフを開けて片手で運転してる人もいた。日本車は車体が送風で震えていたのだ。
其の時に、やはりドイツ車は安全で強固なのだと実感した。家族の安全には変えられないと奮発して今の車にしたのだ。
しかし、会社員であった時代は殆ど、土曜、日曜日にしか乗らずに未だ走行距離が38,000Kmだからびっくりされる。これまでディラーの担当者も何人か担当替えになっていった。
以前は車検のたびに「そろそろ買い替えされては」が、今は「大切にされてますね。少しでも長く」と買い替えのお誘い文句は一切ない。
流石に、ガタが来ていたり電気系統が止まったり、まるで「老人介護」をしてるような感じだが、大きな故障もなく都度修理さえしていればまだまだ大丈夫な感じはある。
そして、街中では生き返ったように颯爽と走ってくれてる時には涙さえ出しそうになる(走行中は危ないのでじっとガマン)特に高速では本領を発揮してくれる。


東北旅行

20年以上前に、9日連続休暇を取り友人と2人で東北旅行にこの車で行った。
11月だったので東北は雪が降るかもしれないとチェーンを購入、事前に着脱練習もして旅に臨んだ。
朝の8時にさいたまを出発して一気に北上して青森の十和田湖に着いたのは15時だった。
途中はとても快適で、普段の日でもありドライブには最高だったがやはり、東北は雪が降ってきた。
高速はチェーン規制でしっかり練習してきた甲斐があり10分で付けて快適走行。
真っ白な静かな銀世界を走るのは幻想的で、エンジン音のみ。ホワイトアウトにならないように願いながらただ走った。時々谷底あたりに家の灯りがわかるような感じだった。
しかし十和田湖周辺は豪雪になってきたのだ。その日の楽しみの宿泊地「乳頭温泉」は山奥にありチェーンでも走行不能で、地元の人に聞いても、行っても帰ってくる坂道が危ないといってタクシーさえも怖がって来てくれない。
しょうがなく、湖畔のホテルを急遽予約して泊まったのだ。
それからは、青森ー盛岡ー遠野ー釜石ー平泉ー奥州ー福島と下って東北を旅した。
高速や長距離にもびくともしない安心して旅ができた、守り抜いてくれた。やはり大した車だと褒めてあげた。
この旅が、よかったので半年後には、北陸方面への旅を決行したのだ。

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物にも魂は宿る

毎回、洗車は自分の手で手洗いをする。だんだん歳のせいか大変な感じだができなくなった時がこの車ともお別れの時だと思っている。
其の際に調子や状態も見るのだが、「いつもありがとう」「よく頑張ってくれてるな」と声をかけてあげる。運転の前にも「宜しく頼むぞ」帰ってきた際には「お疲れ様。ありがとうな」
車と言えども、生きているんだなと感じる。「物」にも言葉が分かり「気」を持つことができるのだと思うのだ。
 日本では古来、「九十九神(つくもがみ)が宿る」という言葉がある。この「気持ち」は長く愛おしみ、大切に扱うことで物にも結局は私たちの生活を「守ってくれる」のだと感じる。

走れるところまで、長距離は無理かもしれないけれど、この車がもう限界です。と言うまで、自分らしく一緒に人生を車生を走っていこうと今日も声をかけながらハンドルを握っている。


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