ふたたび、放浪画家、山下清さん
前回、山下清さんのnoteをUPしてから2年が経った。
先日、17年ぶりに新宿で開催されている「生誕100年山下清 展」を観てきた。
大勢の観覧者で賑わっていたが、今年一番楽しみにしていた展覧会である。
展示作品は貼り絵(切り絵)を中心に、水彩画、ペン画、焼物、油絵等多岐に渡った。
17年前と展示数は余り変わってはいなかったが、前回は、この貼り絵の緻密さに驚愕したのだが、
あれから作品集、日記著作、映画等多くの書籍や映画、ドラマ化を読んで、観てきていた。
今回は何より原画のスケール感と細密さに再度感動した。
「桜島」「長岡の花火」では水面ギリギリのラインはまさに1ミリ以下の小さい千切り絵で表現している。
清は中指に糊を付けて親指、人差し指で驚異的なスピードで貼って言っていたというが、このサイズに張り込むのには尋常な集中力ではない。
大サイズでも約2〜3ヶ月で完成させていたと言うから凄いです。
写真を撮らない時代に放浪、旅の中の記憶で家や学園に帰宅してから作業していたというが、1〜2年の膨大な記憶がストックされていたと言う。
私も絵を描く者としては再度描き起こす時は再び旅に出ていて記憶も蘇りハイな感じになる。
晩年はビデオカメラも持参して旅していたと言う。
他には花の油絵も見事だ。皿に描かれていたがこの人は観察力がある分デッサン力、画力は天賦の才能なのだと改めて思った。
そして海外、ヨーロッパへの渡航でますますその才能が開花して行く。
その色彩感、スケール感、技術的にも円熟期を迎えた作品で見応えがある。
山下清さんと安野光雅さん
山下清さんは惜しくも49歳で亡くなったが、ほぼ同時期に2020年に94歳でお亡くなりになった安野光雅さんがいるが、この画家も旅の画家と呼ばれ、その作品は今でも美術館でいつでも観ることが出来る。
山下清さんも早く「山下清美術館」が出来ていつでも観ることができれば良いのにと思うのであるけど。
しかし、山下さんといい安野さんといい旅の風景の絵と言うものはどうしてこうも人の心を感動させてくれるのであろうか?
そして、
山下清さんが今の100歳まで生きていれば今の時代をどう絵に表現していたのだろうかと想像してしまいます。
「な、なんで みながいそいでこんなに あるいているのかな?のんびりときれいなものをみれば、戦争なんかはおこらないのになぁ。」
山下清さんの絵を観てると今の時代、日本人が忘れて来たものを思い出させてくれる。そんな絵画なのかもしれない。
「ぼ、ぼくはおむすびだけが好きなんじゃないんだなぁ。おいしいものはなんでも好きなので。とくにたらこ、いくら、納豆が好物なのです。おわり。」〜山下清 調
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