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2020年3月から始まったリモートワーク 食を含むwellbeingが、この状況を楽しく能動的に過ごせる鍵になるんじゃないかと思ったので、開始当初から記録してきた在宅メシをまとめます
2020年3月から始まったリモートワーク 新しい生活の中で見たもの感じたものを写真と文字で記録しました
直面するのが辛くてふんわり見てみぬフリをして過ごし切ろうと思っていたのに、9月11日の終わり際にNYの師匠から「忘れんな」のメッセージを込めて、今年もこの写真が送られてきた。 当時ブルックリン在住だったわたしはその日、一つ目の轟音で目覚め、次々にルーフトップに駆け上がるロフトの住民たちの取り乱した足音で動悸を覚え、自分も引き寄せられるかのように皆と上がって行った。 抜けるような青空の下、向こう岸に繰り広げられる映画のような光景を、随分と長い間受け止めることができなかった。
観光地ではない桜の名所にて 明日には雨と流れるはかなくも美しいいのちのほとばしり
コロナ禍で漆黒の闇と化した駅前の飲食店通り。 そんな中、唯一深夜0時まで煌々と暗闇を照らすは黄金色のダブルアーチ。 賛否両論あるメガ飲食店だけど、この状況下においてなお不滅のひかりを放つその姿は、最後のよりどころのように目に映った。 それはまるで、四面楚歌の戦場で南無三!と死を覚悟した瞬間、上空に味方の援護爆撃機が現れたのをみつけた時のような心持ちだった… というのはちょっと盛り過ぎだろうか。 例え戦場に送り出されても、死ぬ予感などさらさら起きないどころか、ちょっと遠足気分
静寂の早朝 人気のない住宅地の散歩道で聞き慣れぬ音 ぼたぼたぼた… 最後まで持ちこたえた椿の花がいっせいにアスファルトに落ちた音でした 風でもなく、ネコでもヒヨドリのせいでもない じぶんがおわるときに終わることができるのはしあわせなことなのじゃないかと思った
とある日の、もう縁もゆかりもなくなった人との会話 ノアの方舟ではないけど、こんな情勢の下で古く不要なものが淘汰されて、人間活動のバーチャル化が加速されると、行き着く先に残るのは何でしょね? アート…アーティスト? 歌とか映画とか、諸々 他はAIがやりますよ、通訳もネゴも社交辞令もファシリテーションも、AI同士なら必要ないでしょう 外界や人同士の接触もないのに、感情の昂りも、衝突や葛藤もなくなって、そこから何か生みだせますかね? …生まれないでしょうね せめて自分が生き
3束じゃないと売らねえと頑なモードの八百屋店主 最近ちょっと組しにくい どうせ熱を通せばぺたんとなるでしょうと 安易に買った大量の菜の花 あんがい食べ応えあり 茎も蕾も立派なもの 春の嵐吹き荒ぶ昼は、会議の合間にばばばっと菜の花パスタ にんにくエシャロット鷹の爪 こく出しはツナオイル漬け ちょい苦の春野菜は 長かった冬のどんよりから目覚める準備に最適 わしわし食せばせめてわたしにだけでも春が早めにやって来てくれないだろうか 久し振りに電話して来た母 「今日は菜の花パス
茎が曲がって市場で買い手がなくて可哀想だからよ、俺が引き取ってきたんだ との理由で破格値で八百屋店主から授かったピオニー 不完全と浅はかに決めつけられた、この完全無欠な美しさよ 視界の端にありのままで居てくれるだけでしあわせ
耳が千切れるほど寒いガラス様の空気澄み渡る 三寒四温の朝6時半 帰り際に遭遇したTシャツ短パンの小学生男子 昭和の絶滅危惧種、令和の練馬にて生息確認 スネは粉吹いてなかった
関東へ出て初めて見知ったマグロのカマ サイズ感と独特な切り出しの形状から、初見一瞬で「宇宙戦艦ヤマト」と命名するも、未だ理解者現れずちょっと寂しい 玄界灘の潮風を受けて育った身としては、マグロそのものを口にする機会がほとんどなく、よって赤身やトロの刺しは特に血湧き肉躍ることもないのだけど、カマはなんか土俵が違うというか、whole different ballgame 大味で鉄っぽい風味が、血合いを含むアラ全般好きとしてはたまらん 骨の周りの肉がいちばん美味しいは真理 ア
この時間のこの通りは、いつも何処からか夕飯のいいにおいがして来る 昔「おかあさんのうた」かなんかで お料理していたにおいでしょの後は 「卵や木のにおいでしょ」だと信じて止まなかった 真剣に丸太に向き合って、仏が浮かび上がってくるのをじっと待つ仏師としての母 母の工房は削り立ての楠の生木のにおいがして… というような想像をしてた ふざけてなどいない そんなかあさんが居てもいいやん! 卵焼き作るだけがかあさん違うわ! と、当時まわりにからかわれて、何も言い返せずにしょげかえ
八百屋でロメインレタス一玉70円也 青物一玉買いの恐怖と向き合うには蒸しor炒め推奨 縦に一刀断ちしたら、切れ目を鍋肌に当てて焼き目付けて蒸焼き 差し味にグリーンのミニトマト 頃よきところで皿に救済 エシャロット(おつとめ品68円也、なくても可)、にんにく、鷹の爪、アンチョビをバターでじょわーしたら、適当に醤油をびゃー 本日はしめじ2パック50円也もソースに全投入し、第二の恐怖も同時解消 火入れで少しとろみがかったところでおもむろに野菜に回しかけ、胡椒ごりりレモンびび し
食べ慣れてこなかった釜揚げシラス 本州に住まう今になり美味しさに目覚める アーリオオーリオでじっくり泳がせた半カリ部隊と、仕上げに散らすふんわり部隊の二段攻撃 赤大根おろし 韓国海苔と七味とっちらかす ふんわり釜揚げシラスは何千もの命を頂いてる実感があるのに、クランチーになった途端にスナック感というか、命を喚起させないものに変わるふしぎ 生命力のほとばしりって水分なんだね っていうと身も蓋もないけど とりあえず女子は冬場は保湿しとこう
昨年夏バズった時、フライパン購入意欲がグラッと現状を揺るがしたる簡単レシピ、それがワンパントースト。 バターを熱したフライパンに卵液を流し、トーストパンを並べてひっくり返し、ガレットのように卵焼きを織り込んでチーズ挟んではい出来上がり、なキッチンハック。在宅勤務体制が新たな日常となりつつあり、おうちメシのネタが切れかけてたタイミングでの華々しい登場に、巷が一時ふんわり湧いた。 アメリカの調理系YouTubeオタクのわたしとしては、てっきりアメリカ発だと勘違いしていたけれど
江古田にキッチンオバサンという店がある。公園を向かいに通りから2段階段を下がり、ガラス張りのフランス扉を開けると、そこはほがらかで温かな雰囲気の淑女二人で切り盛りする洋食屋。 キッチンでのお二人の無駄のない動きと、水槽の亀を眺めるのが楽しみなので、ひとりで訪ねる時にはいつもカウンター左端。 揚げたての衣がピンピン鳴る大判の鰯フライ。 フツフツ泡立つチーズの波に、乾煎りされた海老の頭が芳ばしくたゆたう海老ドリア