聖剣伝説 VoM感想(ややネタバレあり)

私の聖剣伝説歴はガチとは言えないものの、そこそこ思い入れがある。子どもの頃、家族と共に2と3をプレイしていた。
特に3はパーティメンバーとクラスチェンジの兼ね合いで何周も遊んだ。
生活環境の変化や他のものに興味が移っていたのか、いや、協力プレイができなかったからか。LoMや4には食指が動かなかったのでスルーしてしまっていた。

その後GBAの1リメイクや近年発売の3リメイク(以下ToM) なんかはプレイしてきた中での新作である。
期待と不安を半々に感じながら、それでも予約をして発売日を待った。

そして発売日、プレイを開始。

2024年9月29日現在
steam版実績全解除
結果として、期待と不安を半々に感じたまま次を待つ形になる。


1.全体の感想


 手堅く作ってはいるものの、SFCやPS時代の古いゲームから地続きのシステム群がゲーム初心者には不親切、熟練者には他作品との比較で不便に感じる。
 また、ちょくちょく起こるエラー落ち、こまごまと残っているバグや詰めが甘いミスなどからデバッグを十分にできない or させてもらえない期待の無さが伝わってくる。
 往年のファンには安心感を与えつつも、最近のゲームを経験している新規層にアピールできたのかは微妙な出来だ。
 この作品をきっかけに再びシリーズが息を吹き返してくれたら良いのだが……

2.ストーリーの感想


 RPGのストーリーは良ければもちろん良いが、ダメでもゲーム自体が面白ければ良いだろうと思っているのでそこまで気にはしないのだが……
 『御子(生贄) に選ばる』ことが名誉であり尊い役目であるという認識が現代日本の感覚と絶望的に合わない。そのくせ序章でガッツリとその制度に対する反抗と見せしめが行われるのでなおさら主人公達の爽やかな旅路に気持ち悪さを感じてしまう。
 何なら道中で出会う敵役の方を応援したくなる始末である。
 プレイヤーにどういう反応を求めていたのかが気になる。

3.グラフィックの感想


 マナの樹やフラミーによる初飛行、クライマックスの映像など力の入ったところは圧巻だった。聖剣伝説でこういうのを見たかったというのをお出しされた感じ。個人的にはもうこれで満足だった。買ったかいがあったと思う。
 キャラクターのモデリングも良く、ToMで違和感が大きかった『セリフを送るとそれに合わせて場面も大きく飛ぶ』ことも対策してきている(動きを見せたいところはセリフを出さないという力技ではあるが) など、作り手の頑張りは伝わってくる。
 ただそれでも会話の内容とキャラの表情がいまいちリンクしていなかったり、人形劇のような印象を受けた。

4.戦闘の感想


 オフゲーならこれくらいやってくれてヨシ! という『極めるとバランス崩壊する』くらいのプレイヤー有利。個人的にはかなり好みな調整だった。強いキャラを使わなくても詰まず、難易度の調整をプレイヤー側ができる感じ。FFTのシドの無法っぷりが好きだったなら好きだと思う。
 クラスチェンジで衣装や性能が変わるのはわくわくするものの、熟練度とかではなく、レベルアップや探索で手に入るポイントを好きに割り振るシステムなのでなにかチグハグな感じ。覚えた特技は別クラスでも使えるので差別化されるのは武器種と属性、アビリティによる基礎性能の違いくらい。『すっぴんにしとくよりは良いか』くらいの感覚だ。熟練度制にすると序盤の育ったクラスばかり使ってしまいそうだし、使いづらいクラスを使わされる感も出てきそうだしで今作の仕様もありっちゃありなのだが……

 覚えた特技をリングコマンドに登録しないとNPCも使ってくれないのはしばらく気付かなかった。そして戦闘中は登録をいじれない。『なんか初期技とか偏った魔法ばっか使うなぁ』とか思ってたよ!
 TIPSあったかもしれないけど、たぶん最初期の方に表示されるやつだろうから完全に意識から消えてた。
 どう対策すれば良かったのかはわからない。

5.探索の感想


 ToMに3次元前提のギミックが加わった感じ。ToMはあくまで2D作品のリメイクだったので、あまり大胆な高低差のギミックは無かった。
 ただ、進行度を調整するためだけに使う精霊を指定されてる感が強かった。特に風と水と闇のギミックは使い分ける必要を感じなかった。
 そしてマップが広いのはともかく、マップに表示されない収集品が多く、探索する楽しさより変な場所にあるクマミツとか白壺・アイテム(クローバーとニキータコイン)を見逃さないか神経質になるのが辛かった。別に多少見逃しても十分な量は手に入るのだけど。

 さて、このゲームの一番の問題点。序盤は特に気にならなかったのだけど、ファストトラベルの仕様はさすがに擁護できない。

 ◯→同マップ内の各ポイントへは戦闘中以外いつでも飛べる
 △→セーブポイントのメニューからは同大陸内の好きなマップの好きなポイントに飛べる
 ✕→別大陸には海路か空路で移動する必要がある

 特にブースカブーやフラミーを使わせたいがための大陸間移動が非常に億劫で、せめて各画面偏移がシームレスだったならと思わずにいられない。

 1.アイテムを使う
 2.ロード
 3.フラミー登場ムービー
 4.空を移動して目的地へ
 5.目的地内の降りたい場所を指定
 6.ロード

 SFC時代のロードがほぼ無かった時代ならまだしも、現代でこれは……
 ブースカブーならさらに海岸へ向かうのと降りたマップのセーブポイントから改めて目的地にファストトラベルする手間がかかる。
 終盤の大陸を跨いだサブクエストを消化する時はいちいち手間だし、大陸を移動した先でついさっきまで別クエストで行っていた場所のクエストが新たに見つかったりと地味にストレスが酷い!
 そのサブクエストも各大陸に移動しないと発生しているかの確認すらでき……できないよね? そこはちょっと自信ない。もしかしたら確認する方法あった?
 とにかく、フラミーで飛べるようになったら既存の場所はファストトラベルでも良かったのでは……?

6.キャラクターの感想


 正直、今の時代に意外性のあるキャラは居ない。クセがなく加入さえしてしまえばあとは物わかりの良い、言ってしまえば『作劇上都合が良い』キャラばかりだった。
 特に最初から仲間に居る、でもメンバー外のゲスト扱いの……
 もうこれだけで『あっ……』となるキャラが特に意外性もなく『あっ……』となり、少しの間だけ暗い雰囲気になって何事も無かったかのように旅が再開する。そしてところどころで蒸し返されてプレイヤー共々主人公を曇らせる。
 瞬間最大風速は強く、かといって引きずられてもしんどいのでしょうがないんだけど、もうちょっとなんとかならなかった?
 しかもストーリーでも触れた生贄設定のせいでどういう情緒で受け取れば良いのか不明なまま話が進んでいく。どうせ目的地に着いたら……とも思うし、後出しでそうでも無かった感じにもなるし。
 喪失感があるような無いようなよくわからない心持ちのまま地味にダメージが入るやりとりやイベントが流れていく。
 もうちょっとなんとかならなかった??

 あと↑に比べればささいなことで、主人公の種族以外ケモ耳尻尾 or 植物要素が入っているのだけど、植物以外は種族ごとの特徴とか活かされた話も特に無かったし……その多様性必要だった?

・最後に


 長々愚痴を書いてしまったが、欠点が目立つだけで方向性やクオリティとして悪くないのは確かだ。
 このアニメと写実の中間くらいのモデリングは日本人好みだろうし、幻想的な景色の描写も素晴らしい。
 システムはブラッシュアップすれば良いし、キャラやストーリーも次作に期待で良いと思う。
 ……次が出てくれれば。

 ほんとお願いします。

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