研究の成果
「ついに完成したぞ。」
科学者は、研究室の一角に築かれた大きな装置に手を置いてそう呟いた。
「やりましたね博士!これで時間は止まり、世界は私たちのものとなるわけですね。」
助手が笑みを浮かべ言った。
「うむ。そこで、起動のスイッチはここまで開発に協力してくれたお前に押してもらいたい。」
「なんと、私が押して宜しいのですか!それでは…」
人差し指がスイッチに触れる。装置は大きな音をたて、やがてそれは止んだ。
時が止まった。二人の研究は成功したのだ。
全てが凍りついた解けることを知らない世界で緊張と希望を孕んだ四つの目が装置を見つめている。研究の成果を知ることはない。