数字の意味合いも経営者が説明の仕方を工夫することで大きく変わる
「新宿まで15分!」
昨年まで私が住んでいた調布で、新築物件やマンションを売りに出す時に必ず出ていたフレーズです。
調布を知らない人からすると、「23区じゃないんだぁ」とか、「多摩川のほうですよね」という感じで、都心からは遠いというイメージがあります。
新宿-調布間は約15km。歩いて帰るにはちょっと厳しいですが、京王線の特急や準特急に乗ると、あっという間に着いてしまいます。そこで、都心まで15分と聞くと、案外近いのではという印象に変わります。不動産業者がついつい15分を強調したくなるのもよく分かります。
さて、会社においても、銀行などに自社の数字を見せることがあるかと思います。
しかし、単に「前期の税引き前利益は100万円でした」と説明した場合、「なぁんだ、100万円“しか”利益が出ていないんだ」と相手に思われるケースも・・・。
しかし、同じ100万円の利益でも「2期連続赤字だったが、ようやく黒字に転じた!」という場合や、「前々期と比べて、売上は半減したが、同じ利益は確保できた!!」という場合、100万円の持つ意味合いは大きく違ってきます。
数字にお化粧して見栄えをよくするのは論外ですが、「数字にどのような意味合いを持たせるかは経営者の工夫次第」です。
今は経済環境が厳しく、なかなか良い数字が出にくい時代。自社が努力して出した数字をきちんと相手に理解してもらう説明力が求められています。
ところで、調布から新宿まで15分というのは、あくまで最速の話。朝のラッシュ時だと特急や準特急はほとんど走っておらず、急行に乗ってもノロノロ運転なので、新宿まで30分近くかかります。
このため、「新宿まで15分!」も最初の惹きつけとしては一定の効果があっても、最終的に個人が不動産を購入する際には決め手にならない気もします。
表面的な説明ではすぐに本質を見抜かれるので、注意しましょう。
なお、「社長専任の社外チーム」では、経営者の工夫の仕方についていろいろとサポートさせていただいています。一度ご相談いただければ嬉しく思います。