
努力だけではなれない西郷でなく、努力すればなれる大久保を目指す
「努力すれば大久保にはなれるが、努力だけでは西郷になれない」
以前西郷隆盛に関する特別番組を見ていた時、ゲストの一人がコメントされていました。
大久保とは西郷隆盛と並ぶ維新三傑の一人である大久保利通。西郷とは同郷であり、タッグを組んで、明治維新を成し遂げた英雄の一人です。
西郷と大久保は、最後に大きく対立したこともあり、何かと比較されます。特番では、西郷は月照和尚と入水自殺を図ったが、自分だけ生き残ったこと、また、上司の不興を買い、二回も島流しの刑にあったこと、などをあげて、通常の人ではありえない経験を経ているため、「努力だけでは西郷になれない」と発言されていたのです。
今の時代からすれば、大久保の人生もかなり劇的ですが、幕末当時の人物の中でも、西郷隆盛の人生はまさに異色中の異色であるのは間違いありません。
さて、歴史であれ、ドラマであれ、実際の人生であれ、多くの人は劇的なものに対して魅力を感じます。それゆえ、西郷隆盛と大久保利通であれば、圧倒的に西郷人気の方が高いです。
また、ビジネスでも「負債40億円から復活を遂げた」という話の方が、「借入金500万円から業績を回復した」という話よりも、多くの人の関心を引きます。
けれども、大半の人は、二度も島流しの目にあったら、そこで自分の人生を諦めてしまいます。また、一気に40億円もの負債を抱えてしまっては、どうすることもなく、立ちすくむのが関の山です。
つまり、劇的な人生は、他人事として見たり、聞いたりする分は大いに興味が湧きますが、いざ自分がその立場に立たされた時に、西郷のように達観した境地になれるかと言えば、かなり難しいのではないでしょうか。まさに、「努力だけでは西郷になれない」のです。
そう考えれば、我々が目指すのは、努力だけではなれない西郷隆盛ではなく、努力すればなれる(かもしれない)大久保利通ではないでしょうか。
深層価値観であるコアコンセプトを深掘りする際、その人の子供時代のことや、若い頃のお話を聞かせていただきます。さすがに西郷隆盛以上に激動の人生を歩んできた人は、今までお会いしていませんが、一人ひとりの人生は、まさに山あり、谷あり。それぞれに個性的で、感慨深いものがあります。
言い換えれば、一見平凡そうに見える人生も、第三者から見れば、すごく魅力的な側面があるということ。そして、それ以上のドラマ性をあえて求めることは、ビジネス上の意義はありません。差別化という言葉に惑わされて、ありもしない特徴や要素を無理やりひねり出しても、ほとんど意味がありません。
自分のコアコンセプトに沿って、地道に努力を重ねること。
大切な自分の人生は一度切り。活かすも、殺すも自分次第です。自分の努力でやれることに自らの力と時間を注ぎましょう。
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