009. プレクーリング (冷却戦略の話)
この記事のお題は“どうやって冷却するか?”についてです。
暑熱順化トレーニングに取組んだ結果として冷却機能が高まったとしても、冷却戦略の観点から他にも出来る事があります。
プレクーリング=運動前に一時的に深部体温を下げる
レースや負荷の高めなワークアウトを行う前にプレクーリングを実行するメリットは既に広く知られており、法則も非常にシンプルです。
“運動開始前に深部体温を下げることで深部体温上昇による必然的なパフォーマンス低下を遅らせる”
実際には水風呂やアイスベストなどもプレクーリングとして使われていますが、最もお手軽なのはアイススラリー・アイススラッシュを飲む方法かもしれません。
アイススラッシュのレシピ
最近では“アイススラリー”も市販されていますが「ボトルに氷と水分を入れて“ガシャガシャ”」して自作する事も出来ます。
1回の摂取量として推奨されているのが「体重1キログラム当たり7~8グラム」が適度とされています。以下のリストを参考に自作してみてください。
自作スラッシュ作成のご参考に
いつ飲むの?
“プレ”クーリングなので運動前(や休憩中)が摂取のタイミングになります。
飲み方は「ちょっとずつちょっとずつ」の方が「一気飲み」より効果があると言われていますし、500mlほどの冷たいモノを一気に飲むのは得策ではない事は簡単に想像できます。
15~30分ほどかけて少しずつ摂取するように心がけて下さい。
プレクーリングの最適化(トレーニングメニュー例)
ぶっつけ本番でレース前にスラッシュを使ったプレクーリングを実行するのはオススメ出来ないので、トレーニングでプレクーリングの練習をしてみて下さい。
深部体温・パワーやペース・心拍数などをモニタリングすればスラッシュの摂取量・タイミングを最適化するのに大いに役立つでしょう。トレーニングでスラッシュを摂取しておけば消化器系のトレーニング(冷たいモノを飲む練習)にも繋がります。
下記にトレーニング条件を3例ご紹介します。再現性を高めるためにインドアで実施することが望ましいです。
ワークアウト
【内容】
〇 ウォームアップ15~30分
〇 20分 x 2本
※強度はバイクFTP または テンポラン(最大心拍80%) / レスト5~10分
〇 ダウン10~15分
【 条件 1 】
〇 プレクーリングなし
〇 パワーやペースは一定に保ち深部体温と心拍の変動を確認
〇 RPE(自覚的運動強度)を記録しておく
【 条件 2 】
〇 プレクーリングとしてウォームアップ中にスラッシュを摂取する
〇 【 条件1 】の翌週に実施
〇 パワーやペースは【 条件1 】と同等に保ち深部体温と心拍の変動を確認
〇 RPE(自覚的運動強度)を記録しておく
〇 消化器系に問題が無いか?も記録しておく
〇 終了後に【 条件 1 】と【 条件 2 】のデータを比較する
【 条件 3 】
〇 プレクーリングとしてウォームアップ中にスラッシュを摂取する
※摂取方法(量やタイミング)をワークアウト02.から変化を加える
〇 【 条件 2 】の翌週に実施
〇 パワーやペースは【 条件 2 】と同等に保ち深部体温と心拍の変動を確認
〇 RPE(自覚的運動強度)を記録しておく
〇 消化器系に問題が無いか?も記録しておく
〇 終了後に【 条件 2 】と【 条件 3 】のデータを比較する
< ポイント >
【 条件 2 】でお腹の不調などが確認された場合、量を減らす・摂取を分散させるなどを工夫してみて下さい。もし不調が無かった場合、摂取量を20%ほど増やしてプレクーリングの効果が増すか?などを確認してみて下さい。
次回のテーマ
次回のCORE Body Temp 日本公式 noteでは、もう少しだけ”冷却戦略”について綴ろうと思いますのでお付き合い頂けると幸いです。
関連リンク
【CORE Body Temp Japan】公式ウェブサイト (日本語)
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