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「吉村昭の手紙」展
どんより雲から一転、澄み切った青空が広がる清々しい日、サクラトラム(都電荒川線)に乗りました。路面電車ってなんだかほのぼのします。荒川二丁目駅で降り、桜並木とは反対の方へ進むと「ゆいの森あらかわ」があります。その3階に吉村昭記念文学館はありました。
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こちらで、5月15日まで展示している「吉村昭の手紙」を鑑賞。吉村昭さんの小説は好きで何冊か読んでいます。最近読んだのは「高熱隧道」と「羆嵐」ですが、「羆嵐」の直筆原稿を見られて感激しました。また「羆嵐」の題材となった北海道・苫前村の熊による惨殺事件の資料を提供してくれた方への手紙も展示されていました。
吉村さんは筆まめだったようです。さまざまな著名人とのやり取りが展示されているのを興味深く拝見しました。吉村さんの直筆はイメージとはかなり違っていて、「わぁ、こういう文字をおかきになる人だったのね」と少なからず驚きました。細かく小さい文字。作品のダイナミックさが印象的なので、もっとおおらかな感じの文字を書かれるものと勝手に想像していたのです。
そして、なんといっても目玉は同じ小説家であり、妻でもあった津村節子さんとのやりとり。その大半はラブレターのようなもので、まぁロマンチック! こんな手紙をもらったら嬉しいに決まっています。吉村さんが津村さんとの出逢いに心底感謝している気持ちが伝わってきて、読んでいるこちらまで幸せな気持ちになりました。
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活版印刷で2種類ありましたが、どちらも魅力的な絵柄でした。