[創作論966] コラーゲンマイクロファイバー
コラーゲンマイクロファイバーの高速紡糸技術が開発されました。
コラーゲンマイクロファイバーの紡糸技術としては、紡糸原液をノズルに通して凝固液中に送り、繊維として巻き取る「湿式紡糸」が長年研究されてきましたが、凝固過程のコラーゲンを延伸しようとすると切れてしまうという問題点がありました。
このため研究チームは、コラーゲン水溶液を細い流路からエタノール浴へと押し出し、それによって形成される紐状コラーゲンゲルを乾燥してマイクロファイバー化する工程の中で、押し出し速度よりも高速で巻き取り、エタノール浴内でマイクロファイバーを伸ばすことに成功しました。
従来の方法では、1時間に数十メートル紡糸するのが限界で、さらに凝固液に含まれる薬剤を除去する必要がありました。
しかし、今回の方法では、繊維を引っ張る度合い(延伸倍率)を高くすると、紡糸速度もアップし、条件によっては1時間に200mの紡糸も可能になります。
延伸前のコラーゲンマイクロファイバーの直径は47μmですが、22μmまで細くすることが可能で、生体内コラーゲン繊維(直径 10~20μm)に近くなります。
また、延伸によって整列したコラーゲン分子がそのまま線維化(ナノフィブリル化)するため、表層から内部までコラーゲン線維が一方向に整列します。
さらに乾燥時のコラーゲンマイクロファイバーの弾性率は延伸倍率とともに増加し、実延伸倍率3.3倍で4.3GPaに達しました。
乾燥状態だけでなく、生体と同様の湿潤環境下でも極めて硬く、数百本のコラーゲンマイクロファイバーを束にしたテスト人工腱は、適切な化学処理を施すことで、人間の膝前十字靭帯の3分の1から2分の1に達する弾性率と破断強度を示しました。
生成したコラーゲンマイクロファイバーを用いた人工腱の移植が実現する可能性があり、コラーゲンマイクロファイバーを基材とした医療機器の開発につながると期待されています。
素晴らしい技術ですね。
創作活動でも使ってみたいですね。