[創作論975] 構造色を示すフォトニック材料
フルオロアパタイトを主成分とした、構造色を示すフォトニック材料が開発されました。
研究チームは、貝殻真珠層や骨などの生体硬組織(バイオミネラル)の形成メカニズムであるバイオミネラリゼーションから着想を得て、リン酸カルシウム無機結晶のフルオロアパタイトから、サイズの揃った棒状のフルオロアパタイトナノハイブリッドを人工的に合成し、2次元に集合させました。
ナノサイズの棒状ハイブリッドは室温の水中で合成でき、自発的に2次元に配向する液晶性を有しています。
フルオロアパタイトは、サメの歯などに見られ、生体親和性が高いうえ、耐酸性にも優れています。
合成したフルオロアパタイトナノハイブリッドは、歯のような白色をしていますが、特定の濃度に調製すると、液晶を形成し、青、緑、黄、赤などの色を発しました。
非常に鮮やかな色で、クジャクやタマムシのように、見る角度によって色が変わる性質があります。
また、この材料をゲルに固定化することも可能で、引っ張ったり押したりすると、色が変化することも確認できました。
クジャクやタマムシの羽などの鮮やかな色は、体表にあるナノ構造が光を散乱したり反射したりすることで現れ、構造色と呼ばれます。
色素や顔料とは異なり退色することがなく、環境への負荷も小さいことから、SDGsやカーボンニュートラルの観点からも注目されています。
研究チームは、構造色を持つフォトニック材料がサメの歯などに存在する成分から合成されたことで、環境にやさしい着色材になるだけでなく、微量タンパク質検知センサーや光学デバイスのほか、人工骨やインプラントへの応用などが期待できるとしています。
素晴らしい技術ですね。
創作活動でも、構造色をうまく活用してみたいですね。