[創作論969] 世界で最も細い金属ナノワイヤー

世界で最も細い金属ナノワイヤーが開発されました。

グラフェンを始めとする2D材料は、優れた物理的および化学的特性の観点から大きな注目を集め、太陽電池やリチウムイオン電池、電界効果トランジスタなどへの応用が期待されています。
最近では、ワイヤー状またはチューブ状に直線的に並ぶ原子から構成される1D材料が注目されるようになり、特異な電気的および磁気的、光学的な性質により、超微細構造電子デバイスやバイオセンサ、触媒など広範囲な応用が期待されています。
既に、カーボンナノチューブが提案されて久しいですが、製造および制御が難しいことが知られるようになり、取り扱いが容易なナノワイヤーおよびナノチューブの探索が進められています。
研究チームは2D材料において用いられている手法、即ちファンデルワールス力による弱い結合を持った3D結晶から1D材料を剥離することに着眼しました。
さまざまな文献データベースからファンデルワールス力結合している78万以上の3D結晶群を抽出し、空間的な原子間力の計算アルゴリズムを用いて、1D構造を安定的にとり得るものを探すとともに、1D材料を3D母結晶から分離するのに必要なエネルギーを計算しました。
そして実験的な合成例はないものの、計算により可能性が見いだされた化合物として14個の最適候補を選択し、更に電子的挙動について詳細に計算することで、最終的に金属と半金属の4種類の材料を最も有望な1D材料として絞り込みました。
その中で金属ワイヤーCuC2は、2つのC原子と1つのCu原子から構成される直線状チェーンであり、絶対零度でも安定であり世界で最も細い金属ナノワイヤーです。
実験的に知られているNaCuC2、KCuC2、RbCuC2の3種類の母結晶から剥離できることを見いだしました。
研究チームは、それ以外にも興味深い材料を発見しており、その中には50年前に予想されたが観察例のない、励起子絶縁体の半金属Sb2Te2の他、Ag2Se2とTeSe3を見いだしています。
今後、実際に材料を合成する実験研究者と協力するとともに、実際の応用を想定して電荷輸送特性やその温度変化など、金属ナノワイヤーの詳細な特性について計算する予定です。


素晴らしい研究ですね。
創作活動でも、金属ナノワイヤーを使ってみたいですね。

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