博士学位申請論文公開審査会に参加して

同じ研究科、違う専攻の方の博士学位申請論文公開審査会に参加した。申請者は博士課程後期課程6年次で、研究室で一度もあったことがなく、審査会で最終から最後まで後頭ばかり拝見できた男性の方だった。

審査会は途中に10分の休憩時間を挟んで3時間ほどかかった。始めに研究倫理についての確認、その後論文の概要を15分で説明、さらに副査2名、主査1名の知見と質疑対応の順番だった。論文は映画評論のようなもので、ある監督の映画作品の中の音響はどのように物語っているのかについての分析のようだった。自分は専門外の素人だから、前半は論文のように映画を分析したら、映画そのものを楽しめるかと素朴に思っていた。後半は、審査員の質問に対して、申請者の方は、時に髪の毛を触ったり、椅子を揺らしたりするような仕草や、「えっと、、」「この論文ではひとまず、、」「要するに、」「答えになっているかわかりませんが、」のような言葉遣いの繰り返しを聴いていて、研究そのものは何なのかを考えさせられた。

自分は議論することが好きだ。いままでは修論についての発表は一回しかやったことがないけど、質問されたことにどう返せばいいのかと頭をぐるぐる回すときの緊張感が好きだ。また、先輩たちの発表に対して、先生たちは鋭く指摘するのを聴くのも好き。「確かに」「なるほど」と思わせられる指摘を聴けると、気持ちいい。すっきりした気持ちになるから。

しかし、いままでの修論指導のゼミや修論構想の発表で、指導教官や先輩たちに反論されると、どう返せばいいかわからなくて、反論されたのをそのまま受け止めることが多かった。後にそれを副査の先生やお世話になっている先生に話したら、反論されたときこう返せばよかったなとよく言われた。そう言われると、なんでその時自分はそれを思いつかなかったのと考えてしまう。反論してくる人とキャッチボールできないのはなぜなのかと思うと、やっぱり自分の考えが狭くて浅いからだと反省する。

だから他人の質疑対応を見るのが楽しみだ。他の人が投げられたボールをどうやって返しているのかを見ると勉強になる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?