海外ノマドの私が嫌いになるほど辛いベトナムで,日本人として働こうと思った意義と使命 未来のためにできること (追加)
海外ノマド生活を送る私は2021年~2023年3年間、ベトナムの大学で日本語講師をしていた。
そこでは日本語学科の大学生が研修生(インターンシップ)として日本に行き、日本の有名ホテルのインターンシップをしているのだが、その職場の悪環境や待遇などについて学生から直接色々知ることができた。
そして私は日本人として、オトナとして、「日本語力を向上させたい」と思う学生の思いを摂取する環境に心を痛め、そんな環境を少しでも変えたいと思った。
⭐️先日 #未来のためにできること
に応募したく1000文字でまとめてしまったが、書きたいことはもっとたくさんあるし、1000文字にしてしまうとなかなか上手くいいたいことが伝わらないと思った。
そこで改めて投稿することにした
辛いベトナムの生活の中、それでもそこに留まったのは・・・
私にとってベトナム生活は心身共にかなり辛いもので、最初の1年が終わって、次の2年契約更新も多少戸惑ったのは事実だ。
私がそれでもベトナムで働こうとと思ったのは、研修生(インターンシップ)として日本に行った大学生がものすごい酷い扱いを日本で受けて来て、そんな世界を少しでも変えたいと思ったからだ。
日本とベトナム間に見える問題を、日本側ではなく、ベトナム側から日本人として立ち向かってみようと思ったのだ。
若者の夢の摂取
私が日本語を教えていたベトナムの大学では、日本語力向上のために、日本語学科の学生が日本のホテルに研修で行くことができた。
私が教えていた学生もコロナ後に日本に行けるようになったが、彼らの話しからそのインターンシップはかなりの悪環境に感じた。
そして私は日本人として、オトナとして、「日本語力を向上させたい」「日本でインターンシップをしたい。」と思うベトナム人学生の思いを摂取する環境に心を痛め、そんな環境を少しでも変えたいと思った。そういう学生の思いや希望を摂取するような、そんなオトナを私は許せなかった。
一昔前あったリゾートバイトは
[スキーや海に行けて、ホテルで働きながらお金も稼げる]みたいなイメージだった。今でも求人を見れば
[宿,3食付き➕時給XXX円]
となるが、今は日本の若者はもの「リゾートバイト」にはあまり興味がないとも聞く。そこで
これが研修生だと時給はその県の最低賃金、そして、そこから宿代、食費が給料から引かれ、日本までの交通費、visa代も学生が支払うシステムになっている。
して、待遇面で「時給」と書かれているせいで、月の最低賃金も保証されず、オフピークには仕事はなくて、12ヶ月のうち2ヶ月無給だったこともあるそうだ。
なににせよ、わざわざベトナムから研修として日本に来て、仕事がない日には仕事をしない、ので無給になってしまうのは酷いと思う。その場合、学生の子たちはお金もなく、日本での生活すら困難になってしまう。
おまけに食事も粗末、冷たいお弁当やおかずの少ないお弁当しか支給されない。せっかく日本に来ても、日本食を食べることもないと最初の頃に言っていた。若い食べ盛りの大学生の食事にしてはとても可哀そうな気がした。
また、宿泊先からホテルまで遠く、5時から働くために朝3時過ぎに起きて4時のバスに乗って仕事をしていた。もちろん、様々な意見もあるだろう。
「研修だからいいじゃない」
「ホテルで働くのはそんなもの。朝が早くて途中休憩、夜も遅い」
日本は1日8時間労働、というのがちゃんと守られていないこともあるし、オンピークなら残業があっても仕方ないかもしれない。
「文句を言うベトナム人学生もいる。」
「バカンス気分の学生もいる。」
「働く気がない学生もいる。」
かもしれない(現にそういう学生もいる。)
そしてこの待遇や給料が当たり前と言う人もいるだろうか。でも単純に考えて欲しい。
「貴方は20歳そこそこの娘を外国のこういう環境に行かせるだろうか?」
バスもあまりない田舎のため、朝3時半起き、午後シフトの時は22時まで、その後またバスに乗って帰るのだ。
食事も冷たいお弁当
おまけに食事も粗末、冷たくておかずの少ないお弁当
日本は若者不足で、若い労働力を求めてアジア諸国の「「日本で働きながら日本語も上手になりたい。と言う学生の思いを摂取するような、そんなオトナを私は許せなかった。
技能実習生と大学のインターンシップ
ベトナムなどのアジアの新興国の技能実習制度はエージェントが実習生からも高額のお金を取り、勤務先からも紹介料をもらうシステムだ。現在これが問題にもなっており、こうした送り出し機関や、エージェントなど、が規制され始めた。
そして、それが大学に目を付けられたのだ。大学の研修制度、特に日本のホテルでのサービス業でも研修可能になり、日本語学科や観光系の学生が日本のホテルに研修に行けるようになった。そのお陰でベトナム人学生も日本へ研修として働けるようになった。けれど、ホテルもエージェントに紹介料を払い、やはりそこには誰かの利益が関係してしまう。
そして、なんと、実はベトナムの大学でも(先生が個人で)紹介料をエージェントからもらうそうだ。これはベトナム人だけではない。日本人講師もだそうだ。聞いたところ大学でも(先生が直接)「いくらもらえますか?」と聞くらしい。おまけに、日本から定年退職してベトナムの大学などで働く人が、ベトナムでの給料がそこまで高くなくても、このシステムでさらにお金を貰っていた人の話も聞いた。
そう言う話しをたくさん聞いて、そしてこのお金の流れのシステムを元々知っていたので、なんとかこのシステムから学生を抜け出させたいと.私はベトナムで暫く働く決意をしたのだ。
世界を変えることはできない。
私が一人で動いても、世界を変えることはできない。ベトナムと日本の関係を変えることはできない。でも自分の学生をこんな酷い目に合わせないようにすることはできるだろうと、授業数も多い中で、一生懸命働いた。
学生も研修で日本に行くし、まだ日本語能力、コミニケーション力もそこまで高いわけではない。だから、給料自体が安いのはどうしようもないが、待遇だけはそれなりにちゃんとしている環境をお願いできるエージェントさんを探して、なるべく間に入っているエージェントがなくて、コミッションの摂取が少なくなるように、少しでも学生が良い環境で働けるように、自分で動いた。
良い環境でインターンシップ紹介してくれるエージェントさんを探して、直接大学でやりとりができるようにし、学生が参加費用無料で研修に行けるように先生の紹介料なく、学生負担を抑えるようにした。
そして、先生なら当たり前かもしれないけど
全員の履歴書チェック
面接練習
などなどして
大学や先生がもらえるマージンをみんなの飛行機代に回したのだ。そして、日本のエージェントさんからは
「お金の話をしなかったのは御校だけです」
と言われた。私は…自分が海外にいるときにかなり辛い体験をしてきたこともあって、結構良い人…と言うか、弱者の見方でいたいと思っているんだと思う。そして、講師、先生という職業でいる以上、彼らの「保護者」であり、彼らを守る立場にいると思っている。教師が聖職だなんて思っていない。決して、ただただ正義を貫こうとは思いわない。けれど、20歳そこそこの若い子が日本に行って辛い体験をするのは心が痛むのだ。
そして、このインターンシップに行って辛い思いをしたベトナム人学生の話を聞いて、日本人として、オトナとして本当に恥ずかしかった。お金は大事だ。仕事をしていたら利益を考えるのは当然だ。
私もずっと海外にいて、学生が長かったもんで、オトナに結構酷い扱いを受けて来た。英語ができるから、フランス語ができるから「ちょっと手伝って」と翻訳や通訳アテンドをお願いされたり、ご飯奢るからとタダ働きさせられたり、して来た。学生だから、少しでもお金になることはしようと思ったし、経験になるので、色んなことがしたいと思った。
けれど、学生と言っても、仕事をしてから改めて留学をしたので、多少経験や年齢も上だった。そして、英語とフランス語を使いながら仕事とみなしてもらえないまま、多くのタダ働きもさせられてきた。他企業とのアポ取り、ホテル予約、電車予約…「フランスに住んでいるから」「フランス語ができるから」「英語ができるから」でもそれもちゃんとした能力なのだ。これが専門でアテンド通訳として雇われたら数倍貰えるのだ。
だから、ある程度どこかで折り合いが付けられるように、日本語力はまだまだの学生も多いが、それでも日本へ研修として、仕事だけではなく、日本文化を体験させてもらえたり、日本に研修に行く時には誰でもが平等で行けるように自己負担なく行けるようにしたり…。少しでもベトナム人学生が本来あるべき「研修」ができるようにと思っているのだ。
そのために私が授業の後にミーテイングをしたり、彼らの求人のアレンジをしたり、みんなの履歴書を修正して、面接の練習をしたり…ベトナムにいるときには実は寝る時間以外はほぼ何かしら仕事をしていた。そんな先生の苦労は学生は知らず…。大学にいるときは、私も日本語学科の先生たちも自分たちがエージェントからお金をもらおうなんて気持ちが一切なかったのだ。
私は決して「良い人」ではない。けれど自分が海外に住んでされたひどい扱いや、海外で学生をしていて苦労をしたこと、苦労はしないといけないかもしれないが、辛い思いお金で生活に困ったりすることは辛いと思う。そんなことを自分の教え子にはさせたくない、大学生であるが自分は先生であり、彼らを守る立場にいる、とそれだけは思って仕事をしていた。
そして、もしもそれが成功すれば、その動きが他の大学や他の組織にもちゃんと浸透してもらえれば…。そう願ってベトナムでは寝る時間以外は働いていた、という記憶しかない。
同じ想いのオトナがもっと増えていく良い未来のために…