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エッセイ・ミヤケの失敗談

これは一人のバカな男の体験談だ。

 高校三年生の僕は受験勉強に励んでいた。毎日放課後は学校の図書館に籠り、勉強をしていた。そんな中ある時から、高校一年生の時に仲良くなった女の子「カエデ」と一緒に勉強するようになった。僕らの関係は友達に近い異性の友情関係だった。その後、塾に誘われてカエデと同じ塾に入るようことになった。

 とても仲がいい女友達だったが、二人で過ごす時間が増え、お互い好意を感じた。と僕は錯覚していた。実際は僕は受験勉強から性欲に逃げてしまった。そして付き合い、僕の受験性活が始まった。
 連立方程式を解きながら、未知のセックスの解も同時に考えていた。言うまでもなく、勉強に集中する時間など無くなった。

 付き合って1週間程経ったある夜、カエデと一緒に塾から帰っている途中、
 「明日家に誰もいないから来ない?」
と赤面になりながら誘ってきた。一方僕は鼻の穴を大きくして
 「おん、いく」
と性欲を隠そうと必死で返事をした。

次の日、カエデの家に行くために自転車を走らせた。何回勃起したか覚えていない。家に着きインターホンを鳴らすと化粧をしたカエデが出てきた。パーカーに長いスカート、アットホームを感じ、唆られた。リビングに案内され、
 「映画見よう」
と誘われた。これが俗に言うNetflix and chill と言うことなのか。
映画が始まったが、僕はキスのタイミングを1時間ほど探していた。そのタイミングは突然やってきた。カエデが甘えるように体を預けてきた。
初めて触れる女性の体。
男の筋肉に包まれた体とは違い、小さく、柔らかい。
緊張で武者震いが始まり、口が乾く。
すかさず頬に手を当て、目を閉じてキスをする。
唇と唇が混じり合い、舌がプロレスを始めた。
今まで体験したことのない感覚だ。言うならば目を開ければ人間だが、目を閉じると生ダコの踊り食いのようだった。
 そのまま2階へ行き、カエデの部屋へ行った。初めて行く女性の部屋には興味を持たず、目の前の女体に集中していた。夕方になり陽が落ちたが、服や下着を脱がせると、また陽が登ってきた。
お互いの肌が触れ合い、首と頭の境目からアドレナリンが分泌されているのが分かる。
テンションが上がってきた。
本番が始まる。
闇雲に正解がわからないまま、本能に任せて腰を振る。
汗ばむ肌。
女友達のカエデから聞いたことがない声が部屋中に響き渡る。
見たことない女友達の姿に笑いが込み上げてきて、
 「なんしてんね〜ん!」
とセックス中にツッコミを入れてしまった。
その瞬間、時間が止まり今まで聞こえなかったコオロギの鳴き声が明確に聞こえるようになった。
 するとカエデは、難しい連立方程式を解いている顔をした。


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