【#006】現地での移動手段
大型のRVは取り回しが悪いため、目的地に着いた後でのこれを使った現地での移動は正直言って現実的ではない。これはここ、アメリカでも同じことである。ではこちらのRVersはどうしているのか?それにはいくつかのシナリオがあるのでここでちょっと説明しよう。
米国のRV
現地での移動手段を説明するためにまずは米国でRVと呼ばれているものについて簡単に触れる。それによって現地での移動手段は分かれるためだ。大きく分けてRV(Recreational Vehicle)と呼ばれるものには以下のものがある。
トラベルトレーラー(Travel Trailer)
フィフスホイール(5th Wheel)
トイホーラー(Toy Hauler)
ポップアップキャンパー(Pop Up Camper)
トラックキャンパー(Truck Camper)
クラスA モーターホーム(Class A M/H)
クラスB モーターホーム(Class B M/H)
クラスC モーターホーム(Class C M/H)
各タイプの説明はここでは割愛するが、大まかに言って1から4が牽引型、5から8が自走型となる。またその中で5のトラックキャンパーは居住部が牽引型と同様に取り外すことができることを念頭に入れていただきたい。
さて1-4の牽引型ならびにトラックキャンパーは主にこちらではフォードのF150やシボレーのSilveradoみたいなピックアップトラックをヘッド車(けん引するあるいは輸送する動力車)として用いられる。(この辺が米国でのピックアップトラックの人気の一つでもあると思っているのだが、これはまた別の機会にでも)だから現地での足としてRVを切り離した後にこのヘッド車を利用できるというわけだ。
その一方で6から8の自走型はその巨体がそのまま動力車となっている。だから別途、現地での足が必要になる。このあたりの違いがどのタイプのRVを選択するかのキーポイントになるかと思うのだが、これもまた今回のトピックから外れてしまうのでまた別の機会にでも触れよう。
自走型RVで現地の移動手段を運ぶ
自走型のモーターホームで現地での移動手段であるクルマを運ぶ手段は以下の3通りがある。
トレーラー(Car Trailer、Car Hauler)
クルマの4輪を全部、カートレーラー(4輪のついた台車でクルマ全体を積載できるけん引器具)に載せてしまう方法。持って行くクルマのタイヤやパワートレインへの負荷が最も少ない。またけん引車のけん引能力が許す限りならば載せるクルマの種類は問わない。ただトレーラーへクルマを載せたり降ろしたりするのが手間なので、こちらのフルタイムRVersには敬遠される。
ドーリー(Car Dolly)
けん引されるクルマの前輪あるいは後輪をドーリー(車輪のついた台車にクルマの一部を載せ、台車に載っていない軸を地面に接地させるけん引器具)に載せて、これを引っ張っていく。この場合、けん引されるクルマの前後どちらかの軸は接地しているのでタイヤなどが摩耗することになる。クルマの揚げ降ろしはトレーラーほど手間ではないが、それでもスムーズに作業するにはコツが必要なので、RVersにはあまり人気がない模様。ちなみに基本的に4輪駆動車はこの方法ではけん引できない。またこのドーリーをけん引した状態でRVはバックできない。
フラットトウイング(Flat Towing、Dinghy Towing、4-down Towing)
被けん引車両の4輪を全部接地させたままでRVにけん引させる方法。RVのヒッチ(けん引車にあるけん引用の穴)に専用のTow Barを取り付ける。また被けん引車にも専用のフェイスプレートを取り付けることでTow Barと車両をつなげる。利点は被けん引車の着脱が容易なため、RVersには人気の方法。その一方で被けん引車に専用部品を取り付ける必要があるのと、そのけん引様式ゆえに被けん引車の種類を選ぶ(つまりけん引されるクルマの仕様次第)ので敷居が高い。それとこの方式でもRVは被けん引車と一緒にバックはできない。
もちろんこれ以外にも別のドライバーがモーターホームと並走するという手もある。
我が家の現状
さて我が家の状況に目を戻してみよう。我が家のRVはClass A M/H、つまり自走式である。故に現地ではヘッド車で自由に出かけられるという手段はない。言い換えれば自分のクルマを上記の3種類、いずれかの方法で持って行かなければならないわけである。残念ながら現状ではまだこれらの手段を用意できていない。そもそもいずれの手法にしても結構な出費がかかる。ではどうすべきか?そう、現状できうる手段は自転車を持って行くことだ。まあ現地での足になるかといえば微妙だが、なにもないよりは良い。そして我が家には信頼に足る自転車が2台あるのだ。
ではここからはRVによる自転車の運び方について少し触れよう。もともと所有する上述のハードテイルMTBをクルマで運べるようにThuleのDoubletrack 990XTというモデル、ヒッチに取り付けるバイクラックを持っていた。これはSUVなどのクルマのヒッチに取り付けるには適しており、昔、持っていたフォードのExplorerや今、乗っているシボレーのTraverseに使う上では何の問題もない。
だがこれをRVに取り付けて使うという意味では問題があるのだ。RVの場合、後輪からヒッチの距離が長い。言い換えれば後輪以降のオーバーハングが大きい。故にRV時の回頭時にヒッチに大きな慣性力がかかる。そしてSUVなどの一般車両用に設計されているバイクラックではこの慣性力に耐えられるように設計されていない(これはThuleのサポートにも確認した)。だからRV専用設計のバイクラックを入手する必要があった。
Thuleのラックは良いものが多いのだが、今回はYakimaのLongHaulというモデルを選ぶ。しっかりとRVに特化された設計品である。またもちろんだが、SUVにも流用可である。使用感としてはThuleのプラットフォーム型よりも振動が少なくしっかりと自転車が保持されている印象だ。
モーターホームにも取り付けてみたが、やはりしっかりとしている。また走行中にRVのリアカメラで確かめたが、まったく不安がないくらいにしっかり保持されていた。
このように現状ではMTBを持って行き、現地では必要に応じて足として使うスタイルになっている。まあ自転車は実用の為というか、現地でのレクリエーションという趣の方が強い。買い物などは現地入りする前にWalmartなどの駐車場の大きなスーパーマーケットで済ませるし、未だに現地周辺での観光などは行っていないのが今ある姿だ。
今後の選択肢
それでは今後のRVライフはどうしていくのか?当初はFlat Towingを視野に入れて検討していた。対象は我が家のSUV、シボレーのTraverseだ。このクルマのCurb Weight(ガソリン満タンの状態で人が乗っていないときの重量)が4,362ポンド、それに対して我が家のモーターホームのけん引能力は8,000ポンドである。ただここにはトリックがある。8,000ポンドというのはあくまで仕様であり、実際はもっと低い。というのはヒッチのトング重量が500ポンドと記載されている。詳しいことは省くが総けん引重量の10-15%がトング重量としては適切であり、ここから逆算すると総けん引重量は5,000ポンドが上限となる。またRV自体のGCWR(総統合重量、けん引物を含めた車体の総積載量)が23,000ポンド、RVのGVWR(車体の総積載量)が18,000ポンドであるため、改めてけん引できる重量はRV側の積載が最大の場合、5,000ポンドとなる。ちなみにこの間、RVの重量をCAT SCALE(トラックなどのガスステーションにあるクルマ用の秤)で測ってみた処、16,580ポンドだった。これは水・ガソリンをほぼ満タン状態、2名の乗員が乗った値である。まだ18,000ポンドよりも下回っているが、結構ギリギリである。いずれにしても5,000ポンドという上限は良い目安である。
この重さ問題もさることながら、TraverseをFlat Towing仕様にしても用途はこのRVでの旅行に限定されることになる。その一方で、カートレーラー(プラス、シボレーのCruze、ウチにある小型セダン、3,000ポンド未満なので2,000ポンドの重量のトレーラーを見つければよい)ならばRVにけん引してもらうだけでなく、Traverseで粗大ごみをけん引してゴミ捨て場に搬送したり、芝刈り機のメンテの為にディーラーに持って行くのに使えたりと用途が広がる。それを考えるとFlat Towingという選択肢の魅力が薄れてしまうのだ。特に現状ではFull-Time RVerを目指しているわけでもないから、着脱の利便性はあまり利点にならない。
いずれにせよだが、もう少し熟考する必要があるようだ。
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