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Whisky Tasting Note vol.3_スプリングバンク12年 カスクストレングス(バッチ25)


前置き

個人の趣味で飲んだウイスキーのテイスティングノートを記録しており、それらを記憶に残しておくため、そして好みの味を探っていく助けとするためにウイスキーに関する情報と個人の主観を記載します。なお、Tasting noteは私が実際にテイスティングをしたもののみ書いていきます。

スプリングバンク12年 カスクストレングス(バッチ25)について

同名蒸留所のリリースするカスクストレングスで最も有名なラインアップです。毎年数量限定で発売され、日本ではリリース後大抵即完売しています。私は個人輸入で入手しましたが、日本では基本的に店頭には並ばないので手に入れるのは中々難しいようです。(実情として、酒屋さんはまず懇意にしている飲食店向けに卸し、彼らに不要と言われて残ったものが次に個人消費者向けに回るが、特定の懇意にしている個人に販売されることが多い)度数は57.2%と非常に高いですが、アルコールの強度より、熟成度やうまみを感じる設計となっています。樽出し原酒を加水せずにボトリングするのがカスクストレングスですが、このバッチの樽構成は70%がバーボン樽、30%がシェリー樽です。

ちなみに、こういったカスクストレングスはバッチ(リリースタイミングを表すロットの番号)によって構成原酒の割合が多少変わるので、バッチが変われば味も少なからず変わるとされており、同じ名前のオフィシャルボトルでも違う味わいになることは多々あります。例えば、グレンアラヒー10年もカスクストレングスのボトルとして有名ですが、バッチ10と11では味が異なります。(ラベルも違います)

Tasting note

まず、香りはレーズンやドライフルーツのような、濃厚なシェリー樽熟成ウイスキーに似た雰囲気を感じました。続いて、ひとくち味わってみると、スプリングバンク10年の塩キャラメル感を、「塩を弱くしてキャラメルを強くした」ように感じ、香りに違わず濃厚な味わいという印象を受けました。一方、フィニッシュでは白州のようなさわやかなリンゴ感もしっかりと感じることができ、バーボン樽の影響なのか度数と香りの印象の割には後味がかなりあっさりしていました。開けたての段階では、樽感をそこまで感じることもなく、非常に飲みやすいウイスキーです。

個人的な味わいで点数をつけていくならば、以下のようなイメージです。

樽感:   ★★★☆☆
ピート感: ★★☆☆☆
果実味:  ★★★★★
華やかさ: ★★★★★
穀物感:  ★☆☆☆☆
スパイス感:★★★☆☆

恐らくここから数か月かくらい経過したタイミングで空気と液面が触れることでさらにまろやかで濃厚な味わいになり、樽感も出てくるのだと思います(そのように希望しています)他の観点では、正直シェリー樽を含むカスクストレングスというのでスパイシーさに割と期待感を持っていたのですが、その部分に関してはやや期待外れでした。とはいえ良かった点として、15年のようなどこまでも透き通るような完成された甘苦い風味はないものの、10年で感じた金属感は消えておりストレートでも癖なく楽しめる印象はありました。つまり、バーボン樽のシングルカスクのカスクストレングスほど酸味やふわふわした包み込むような味わい強いわけではなく、かといってシェリー樽のシングルカスクのストレングスほどの濃厚な余韻が後まで残る感触もなく、かといってスプリングバンク10年やタリスカー10年のようにピートがはっきり味わいに感じられるというほどに効いている様子もなく、非常に滑らかな舌触りでバランスのいいモルトであると感じました。

シェリー樽の中にスパイス感をあまり感じなかったのは意外でしたが、結局それだけスパニッシュオークのオロロソシェリー樽が世の中で貴重であり、別の類のシェリー樽が用いられているということなのであろう、と個人的に解釈しました。また、バーボン樽70%だからこそ、フレッシュで酸味もあり甘いフルーツのようなひとくち目を味わうことができるとも理解し、トータルで考えて少し迷った挙句バッチ25を購入してよかったと思いました。

最後に

とうとう12年カスクストレングスのボトルまで買ってしまいましたが、バーで何度か飲んで家でも飲んでようやくスプリングバンクの味がなんとなくわかってきました。味の特徴として、個人的に三つ感じています。表現するのなら、①焼き塩を一振りしたカラメルプリン(もしくは塩をまぶしたべっこう飴)のような甘苦さ②甘味の強く凝縮されたドライクランベリーのような爽やかな酸味③じっくり焚き込んだピート由来の奥深いスモーキーさ、でしょうか。これらの3つの風味・ニュアンスの強弱で、スプリングバンクやロングロウのオフィシャルラインナップをある程度語れる気がします。(ヘーゼルバーンはノンピートなので例外として)

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