Whisky Tasting Note vol.1_スプリングバンク10年
前置き
個人の趣味で飲んだウイスキーのテイスティングノートを記録しており、それらを記憶に残しておくため、そして好みの味を探っていく助けとするためにウイスキーに関する情報と個人の主観を記載します。なお、Tasting noteは私が実際にテイスティングをしたもののみ書いていきます。
スプリングバンク10年について
このオフィシャルボトルは同名称の蒸留所でボトリングされており、世界的にも「拘り」を持った家族経営の蒸留所として有名です。製麦からボトリングのプロセスまでを全て蒸留所の管轄で一貫して行う、フルプロセスの蒸留所です。他にも有名なフルプロセス蒸留所では、ロッホローモンドやキルホーマン等が有名ですが、両者ともスプリングバンクほどの二次流通価格はついていません。いずれの蒸留所も全て自前というわけではなく、大麦に関しては他から仕入れているものを使う場合が多いと言われており、完全自前生産はスプリングバンク蒸留所独自の製造プロセスです。下図は一般的なウイスキーの製造プロセスですが、同蒸留所では製麦を自社で行い、発芽~乾燥を「人力で麦芽をならし、発芽状況を逐一確認するフロアモルティング」に拘り、乾燥方法を「ピートを焚き込むことで発生した熱で乾燥させるプロセス」に拘る等、ところどころで他社が真似しにくい手間を掛けています。ゆえに、その製造プロセスが独特な熟成環境(気候条件や周辺環境)と相まってここがリリースするウイスキーは他にない味わいを出すと言われています。特に、ピートが効いているタイプのスプリングバンクやロングロウは、アイラウイスキーとはまた違った重厚かつ甘みもあるどっしりとした風味が楽しめます。
中でも、スプリングバンク10年は同蒸留所のフラッグシップで、味わいとしては、「塩キャラメル」「焼きプリン」と言われています。独特の塩味や焦げ感が他にないと言われており、この拘りの製造プロセスと味わいが人気の所以です。スプリングバンク蒸留所の魅惑の製造プロセスを詳しく知りたい方にはこちらの動画がおすすめです。
昔ながらのウイスキーってこうやってつくるのか、というのがわかります。
Tasting note
言わずと知れた名品ですが、定価で手に入れることができないことで有名です。個人的にずっと気になっており、どうしても飲んでみたかったのでよく行くバーで出していただきました。初めて飲んだときに抱いた感想は、塩キャラメルの中の後味として残る独特な金属感、でした。飲み進めると、甘くてしょっぱい香りの中に、重厚なピートが効いていることがよくわかりました。個人的にはロックが好きです。
個人的な味わいで点数をつけていくならば、以下のようなイメージです。
樽感: ★★★☆☆
ピート感: ★★★☆☆
果実味: ★☆☆☆☆
華やかさ: ★★★★☆
穀物感: ★★☆☆☆
スパイス感:★★★★☆
10年の割には口当たりが濃厚で、甘さもある一方で果実のようなさわやかな甘味というよりは、チョコレートやドライフルーツのような濃厚な甘味というような印象でした。この感覚にしたがい、香りの華やかさと味わいのスパイシーさを感じたと評させていただいています。ちなみに15年を飲んだ時は金属感がそっくりそのまま抜けて、完全なる雑味ゼロの塩キャラメルスパイシーウイスキーという印象でこれはさらに衝撃的でした。(雑味と呼んでいるものは敢えて存在した方がおいしい場合もあるので、必ずしも悪いものではない)
私の尊敬するマスターが、「原酒がうまいところは間違いない」と言っていたのですが、ここは間違いなく原酒がおいしいうえに熟成環境が独特だからこういう味わいになるんだろうな、という解釈をしています。(ノンピートもピート原酒も恐らく拘りレベルが違うからとてつもなくおいしいはず)
ちなみに、現代の2020年代は日本のクラフトウイスキー界の黎明期であり、各蒸留所が"New make"と称して樽熟成前の原酒を販売していることも多々あるので、現地やバーで飲んでみることをお勧めします。その蒸留所のポテンシャルを垣間見ることができます。ちなみに、3年の熟成期間を経る前の、ジャパニーズウイスキーを正式に名乗れない段階での"New born"も存在するので、ぜひご賞味ください。
最後に
スプリングバンク10年をバーで飲ませていただいてから家でもぜひ味わいたいと思い、なんととうとうボトルを買ってしまいました・・・。(定価に近い価格で買うのに苦労しました)いつかコーヒーの世界でも重厚かつやや塩味のあるような、何とも言えない唯一無二の味を生み出せるよう頑張ります。また、珍しいボトルを集めてウイスキーの量り売りも今後していこうと思っているので、好みの味をみんなで見つけていければと思います!