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Whisky Tasting Note vol.2_山﨑(NA)


前置き

個人の趣味で飲んだウイスキーのテイスティングノートを記録しており、それらを記憶に残しておくため、そして好みの味を探っていく助けとするためにウイスキーに関する情報と個人の主観を書き綴っていきます。なお、Tasting noteは私が実際にテイスティングをしたもののみ書いていきます。

山﨑(NA)について

山﨑と言えば日本で最も有名なウイスキーのうちのひとつで、日本人の成人であればだれもが一度は聞いたことがあり、飲んだことがある人も多いでしょう。その一番の特徴は何といっても甘く芳醇な香りだと思います。公式のテイスティングノートでもワイン樽由来の華やかな香りと、ミズナラ樽由来の甘く煌めくような滑らかな拡がりが特徴として挙げられています。大阪と京都の間の名水地に建立された蒸留所では、140万樽にも及ぶ原酒を保有していると言われています。一つの蒸留所でここまでの量を保管している例はないのではないでしょうか。山﨑のブレンダーの一日を映した動画がYoutubeにアップされているので興味がある方はご覧ください。

数万にも及ぶ樽の風味をかぎ分け、オフィシャルボトルの味をキープし続けている同蒸留所のブレンダーの職人技は尋常ではありません。そのうえ、近年では、年熟物に加えて特定の樽熟成の味わいを強調したものや、原酒そのものにピートを効かせたものなど、さまざまな味わいを出しています。(そのあたりもいつか味わい紹介をできればと思っています)

Tasting note

こちらも残念ながら殆ど定価では入手できません。私は近所のチェーン酒屋に通い続けた結果、何とか定価で入手できたのですが奇跡でした・・・。味わいもやはり、NAとは思えないほど完成された味わいです。もともと昨年までは4,000円台で売っていましたが、7,000円であっても他の同価格帯のスコッチやジャパニーズでここまでのクオリティは楽しめないと思います。味わい深さや香り高さでいうと、1万円以下なら割安と考えてもいいかもしれません。

個人的な味わいで点数をつけていくなら以下のようなイメージです。

樽感:   ★★★☆☆
ピート感: ★☆☆☆☆
果実味:  ★★★★☆
華やかさ: ★★★★☆
穀物感:  ★☆☆☆☆
スパイス感:★★☆☆☆

NAという割には比較的樽感もあり、ストレートやロックで飲んでも全く嫌味を感じずにいただくことができます。また、山﨑の特徴でもあるミズナラ樽の香りもするとは言われているものの、そのえぐみはあまり感じさせずに舌ざわりの滑らかさや濃厚な味わいを表現できている印象があり、とてもバランスが良いです。香りの印象としては、熟したイチゴ、キャラメルのようなイメージがありつつ、味わいは濃厚なはちみつ、シナモンといったスパイシー感もありつつ甘味もあるといった印象です。

恐らく、イチゴやキャラメルのような甘い香りはシェリー樽由来のもの、濃厚かつ甘味のあるバターのような風味はミズナラ樽由来のもの、スパイス感はスパニッシュオーク樽(もしくはスパニッシュオークのシェリー樽)から来ているものでしょうか。多彩な原酒を実験的に組み合わせて進化を続けていけるからこそ守れるであろうこの伝統の味わいは毎度感動します。

余談ですが、私の尊敬する例のマスター曰く、「最近は伝統的なスパニッシュオークのオロロソシェリー樽がとても希少になっているからか、シェリーを基調とするオフィシャルの長期熟成物であっても、以前と味わいの複雑さに変化がある」そうです。おそらく山﨑も例にもれずですが、昔と同じような味わいを出すためには、同じクオリティの樽や原酒を使わなければいけないことから、限定品や超長期熟成物でないともったいない(出す側からすると割安で出してしまう)ことになるという解釈です。オールドボトルが人気沸騰しているのはこうした背景もあってのことかと思います。

バーなどで機会があれば、同じオフィシャルボトルで新旧比較をしてみても面白いかもしれませんね。正直、私もいくつかの長期熟成ウイスキーで10~20年前のリリースと現行版を比較してみましたが、味わいにそれなりの差を感じました。もちろん、味わいの変化は一長一短あると思うので、必ずしも改悪というわけではないですが、「昔のウイスキーは・・・」という人が一定数いることには相応の理由があるということです。

最後に

やはりというべきなのかはわかりませんが、こうした香り豊かで味わいに甘味があるウイスキーはコーヒーとも大変相性がよいと感じました。自宅で実験的に風味付けをしてみたところ、生豆の品種によっては大変おいしく濃厚に仕上げることができました。

ウイスキーの香りも、「豊かで香り深い」ものもあれば「スモーキーでパンチが効いている」ものもあれば「素朴で木のナチュラル感の強い」など、様々あります。様々な出会いを通じて、香りと味わいのギャップを発見する中で面白い風味を見つけていきたいなと思います。


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