父が入院した、余命1ヶ月。
父が入院した。
母からそう連絡があった。
自宅でなんとか過ごしていたが、ついに動けなくなったらしい。一週間考えて、訪問診療の医師に告げたそうだ。入院したい、と。
肺がん宣告後、初めて父に会ってからも、2回ほど会いにいった。会うたびに悪くなる父。でも、いつも最後は、部屋から、わたしと母が見えなくなるまで手を振っていた。
入院する前から、母は毎週、仕事が休みの日に会いにいっている。ずっと、一方的に喋って、父は聞いているだけ。家でもよく見ていた光景。
父は、電話をすると頻りに母への感謝を言っていた。
色々あって、結婚はしなかった2人。
でも、確かな絆はあって、これはいったい、何と形容するべきか。
わたしは、息子を寝かしつけながら、ぼろぼろ泣いているが、息子はそれに気づかない。
こんな日が来ると、ずっと感じていたからか、思ったより、ショックではなくて、ついに来たか、という感じ。この日に向けて、12月から準備をしていたのだ。心の。
次は息子を連れて、会いに行く。
きっとそれが、息子にとっては最後の祖父との時間。
きっとわたしは泣いてしまう。母はわたしに泣く姿なんてほとんど見せたことないけど、きっとわたしはボロボロ泣くんだ。これを書きながらも泣いている。
ベビーモニターの先で、息子は意味不明な歌を歌っている。
ああ、ライオンのおやつに出てきた人々のように、穏やかに死を迎えてほしい。
色々と考えることはあるだろうけど、パパが残したわたしと、わたしの家族は、ずっとパパを愛しているよと伝えたい。