偉大なる「日常」に、豊かさを。
こんにちは。コーミン入江です。
今、大事に温めているプロジェクトがあります。JR学研都市線「四条畷駅」から東側(山側)に歩いて5分ほどのところにある大東市営飯盛園第2住宅の建て替えを契機としたまちづくりです。市役所や地元の方達と話し合いを重ねた結果、公園に面したゆとりのある敷地を生かし、低層木造の賃貸住宅や商業施設を建築することで、エリアに新しい風を吹き込み、若い人にとっても「住みたいまち」に向けて舵を切ることとなりました。
2020年4月のまち開きに向けて、入居予定のテナント企業が大切にされていることをお聞きしながら、歴史ある飯盛山のふもとのこのまちで、どんな暮らし方が提案できるか考えているところです。
家での “暮らし” は「着る」「食べる」「寝る」にはじまり、子供が育つ、休日を過ごすなど家族の成長のベースとなる場所です。趣味のものや家具・家電を配置し、お客さんをもてなし、日々家事をする、様々なアクティビティがシームレスに繋がる場所でもあります。そして、住まい方は「働き方」や「遊び方」「考え方」までもを含めた、その人の「生き方=ライフスタイル」とも密接に連動しています。
ここは、人々の“日常”に目を向け、その延長線上にある豊かさを感じて貰えるようなエリアになるではないかと思っています。
先日亡くなられた絵本作家、かこさとしさんの「あなたのいえ わたしのいえ(1972年)」という絵本は
こうして、いえは ひとが かんがえ くふうして つくった おおきな くらしの どうぐです。 …中略… そして、これからも もっと くふうして もっと もっと べんりに なることでしょう。
という一文で終わっています。大好きだったこの絵本のように、今なっているのでしょうか。
いつしか私達の手を離れ、設計者なのかゼネコンなのかメーカーなのかディベロッパーなのか金融なのか、よく解らない世界のものになってしまった家や建築を、いつかもっと身近な暮らしの道具の一つとして取り戻したい、価値観、世界観を共有出来る人に暮らし方を丸ごとを提案したい、テナント企業と建築家と、そんな漠たる思いをぶつけ合っている日々です。
東京・両国のビルの1階にある、街の家事室「喫茶ランドリー」です。外から見ればお洒落なカフェなのですが、中に入ると、奥のスペースでミシンを使っている女性がいます。十分人から見られることを意識して、の家事。
店内はどこかから持ってきたような家具や雑貨に溢れ、作り過ぎない空間が、地域に住まれる個人やグループの能動的な利用を促しています。もちろん、「ノールール、ハイ秩序が理想!」と笑う運営者田中元子さんの、特定の利用者だけの空気を作らない気配りがあるからこそなのでしょうが。
喫茶ランドリーの設計者であるブルースタジオの大島芳彦さんは、これからは「消費者」じゃなくて「当事者」に向けて商売をしていかなければいけない、と仰います。
そう言えば、コーミンのロゴは「目玉焼き」。偉大なる日常の象徴です。
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