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大企業という選択
就活を終え、人生の方向性が見えてきた。
自分がした選択にはポジティブな要素もネガティブな要素も混在している。
ポジネガを考える際は事実ベースで考えなければならない。特に語る人間のバイアスを取り除くことがとても大切な要素であることは間違いない。
ただ、ほぼ万人に当てはまるファクトベースの見解がある。しかもそれはほぼ万人が語る不思議な主張だ。
「なるべく大きな企業に行け!」
これから就活を始める人には、声を大にしていたい。なるべく大企業に就職するべきだ。それは以降に記述する、ゲイリーベッカーの人的資本論に由来する。
ただ残念ながら、私は大きな企業でもなく、歴史ある企業でもなく、とある新興企業に就職することを決めた。それも人的資本理論ゆえである。
ベッカーの人的資本理論
人的資本を知るもっとも簡単な方法は、いまの収入から逆算することだ。サラリーマンなら、退職金を含むおおよその生涯収入を試算できる。それを現在価値に割り引けば(未来のお金をいますぐ手にすることができたらいくらくらいになるか計算すること。本題ではないので詳しい話は省略)人的資本の額が導き出せるはずだ。
このようにして計算したサラリーマンの人的資本は、びっくりするほど大きい。サラリーマンの生涯収入を三億円(年収は入社時二五〇万円、退職時一三〇〇万円、退職金三〇〇〇万円)とし、現在価値への割引率(リスクプレミアム)を株式投資並みの八パーセントとすれば、入社時の人的資本は約一億四〇〇〇万円、四十歳で一億三〇〇〇万円、六十歳でも八〇〇〇万円以上ある(年を取っても思いのほか人的資本が減らないのは、年功序列で収入が増えるのと、給料の後払いである退職金が大きいからだ)。
一流企業に入社できれば、二十代の若者でも数億円の人的資本を持つことになる。
上記の引用が全ての説明を担ってくれている。
大企業勤めのサラリーマンという人的資本は新卒が思う以上に大きい。特にそれはローンを組めるか?という30代以降の壁で思い知らせることになるのだろう。銀行やメーカーの信用はぶ厚い。反対に、ベンチャーには信用のシの字もないのだ。(泣きそう)
また、大企業に就職するメリットは他にもある。
人的資本の副次的効果
人が社会的な動物であることは下記の記事で述べた。今回のアップデートは大企業に就職することは人的資本を最大化するだけでなく、その他の人間関係的な観点の効果もあるということだ。2つの書籍から引用しよう。
そして面白いことに、困ったときにほんとうに役に立つのは強い絆の「コネ」ではなく、弱い絆の「紹介」なのだ。
また、メグジェイもこんなことを述べている。
フェイスブックに先駆けること二五年以上前、社会学者でスタンフォード大学教授のマーク・グラノヴェッターは、最初にして、もっとも有名になったソーシャル・ネットワークについての研究を発表しました。彼はネットワークがいかにして社会移動性を育むかという点、いかに人を新たなチャンスに導くかという点に興味を持っていました。そして、ボストン近郊で転職した人たちを調査した結果、仕事探しを助けてくれたのは、(もっとも助けてくれそうな)親しい友人でも家族でもなかったことがわかりました。新しい仕事の四分の三以上が、むしろ「たまにしか」、あるいは「めったに」会わない人物のつてによってもたらされたのです。
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2012/04/pdf/008-011.pdf
上記の2つの引用からわかる通り、広くて浅い人間関係は批判されがちな一方で、とても有用であることもわかっている。それは相対的に人が多い大企業には特に当てはまる。
大企業勤め良いことが多い!
私がこんなにも大企業を薦めるのは理由がある。あくまでもファクトベースと話したが、実は全くそうではない。大変偏った自分に利がある主張である。もちろん、ベッカーの人的資本理論は存在し浅い関係から生まれる成功も存在する。
ただ、それはこれから少なくとも20年は存在するであろう、資本主義の前提から少し外れてしまっている。あくまでも外れ値であることに留意しなければならない。
資本主義はリスク中立的およびリスク愛好的なプレイヤーがリスク回避的なプレイヤーから搾取する構造で出来ている。つまり、人的資本理論にはリスク嗜好性という概念が抜け落ちており、実際はリスクプレミアムを考慮しなければならない。
そこで私は上限が決まってしまっている人的資本にリスクプレミアム、つまり市場で言う株式を掛け合わせることにした。リスクプレミアムはリスク回避的なプレイヤーがいればいるほど、増加していくので大企業勤めが増えれば都合が良いというわけである。(実際はこんな単純ではない)
0に何をかけても0なので、新卒を経ずしての起業は厳しい。(新卒にならなければ人的資本は0なので。)
かと言って、大企業に入ったままではリスクプレミアムを享受できない。
というわけで、ハードスキル獲得というわかりやすい人的資本向上につながる新興起業に白羽の矢がたったわけである。
とある格言に模したこんな言葉で締めたい。
「普通の人こそ大企業へ行け!」