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がんばれCIAのジャック・ライアン。007がお暇をいただいている間に覇権をとっちゃえ。

CIA分析官ジャック・ライアンは、トム・クランシーの創出したヒーロー公務員だが、映像化となるといろいろ課題が生じてきた。
特に俳優のキャラクター固定困難、小説発行時の国際情勢と現代のギャップが大変だ。小説では大統領にまでなっちゃう合衆国の島耕作ことジャックを、いまの時代のポリティカル・アクション・スリラーに当てはめるにはどうしたらいいか。
答えは簡単だった。007のようにしちゃえばいいのである。JBならぬJRというコードネームでいこう。聡明な分析官が見つけちゃった国際陰謀に対し、「おまえが提案したんだから」と現場に送り出される設定にすればなんでもできちゃうぜ。これが今回の発明。「ウィズアウト・リモース」観ちゃったので、とりあえず追っかけます。
911以降の現代世界、中東に於ける不審な資金移動に気づいたJRは、それが新たなテロリストの陰謀と確信。現場に繰り出されて容疑者を捕獲するが、敵の襲撃により取り逃がしてしまう。そこから、なんとサリンやエボラウィルスを使った集団テロ行為との追撃戦が始まる。
元々海兵隊出身でアフガンにも出征していたので、戦闘力が高いJBは、真相に迫るべく世界中を飛び回る。上司グリーア、恋人キャシーらとも仲良く喧嘩する。
つまり、小説版とは異なるJBである。CIA分析官というお仕事だけ共通ってわけだ。こだわらないのは、むしろよかった。
今回の事件はCIA側だけでなく、テロ組織の内部や首長の家族などのドラマ、別軸でドローンオペレーターの葛藤など、テレビらしくいろいろな盛り込みをしていて飽きさせない。8話完結の「24」みたいだ。テレビサイズにしては豪華なスケールだが、結局やっぱりテレビのドラマ…と弾着するので、これまたなんとも「ちょうどいい」のだ。
一見、ひ弱そうなJB=ジョン・クラシンスキー。奥さんエミリー・ブラントと「クワイエット・プレイス」で監督としても成功した。ヒロイン役のアビー・コーニッシュ。どこかで観たことあるな、と調べたら「エンジェル・ウォーズ」の一員でした。ずいぶんポチャった。
「ん?お前の出番はそれで終わりか?」な登場人物もあり、全編観た印象では「普通」。でもこのくらいのストーリーテリングとカタルシスがあれば、テレビドラマは十分なんじゃないかと思う。
最近のっていろいろ問題提起が重くて疲れる。もう少し気楽に見られるアメリカ製アクションドラマは歓迎だった。

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