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【MLC】ミッドライフクライシスを乗り越えた先に

僕がミッドライフクライシスに陥っていると自覚した時から、この心の感覚や時間の流れ方が一体何なのか、事実を客観的に把握したいと思った。なにせ、ここまで自分の気持ちがコントロール出来ないような体験や、この世で一番ままならないのが自分の心だと心底思ったのは初めてのことだったからだ。僕に何か精神的もしくは身体的・肉体的な問題や弱さがあるからなのか…それを確かめたく、僕はネットや書籍を読み漁った。

まず、ミッドライフクライシスの輪郭について、次の3点にまとめてみた。
 ①1970年代から発達心理学の中で研究が進められ、例えばユングは40歳前
  後を「人生の正午」と呼び、人生を前半と後半に区分したとともに、中
  年期の危機的状況を含む様々な変化を人間の発達過程の一部と捉えた。
 ②アメリカの心理学者レビンソンによると、40代から50代あたりの8割の
  人が、大きな心理的危機を迎える。(精神科医Tomy氏の記事を引用)
 ③日本においては、例えば男性では42歳を厄年として、中年期の危機的状
  況が起きやすい時期として捉えられてきた。
ここから言えるのは、ミッドライフクライシスは人間の正常な発達過程の一部であり、特別な人だけが体験するわけでは無い、ということだ。要するに、世界中の誰もが、業の深い生命体で(♪)、普通に生きていれば普通に経験する通過儀礼のようなものだとも解釈できる。
(♪)Mr.Children「シーソーゲーム~勇敢な恋の歌~」より引用

とは言え、自身の体験がそうであるように、ミッドライフクライシスを拗らせてしまった人にとっては、決して心躍るような楽しい体験ではない。これについては、ミッドライフクライシスを俯瞰して考察してみる必要がある。参考にしたのはウィリアム・ブリッジズ著「トランジション~人生の転機を活かすために~」という書籍だ。ただ本編に入る前に、金井壽宏氏(キャリア研究の第一人者)の帯の文章を記す。この言葉にまず勇気づけられる。

転機や節目は、しんどいが、ここを越えるたびに、本当の自分が見えてくる。

今現在、僕のこの転機における諸問題が大きく解決・前進したわけではないけれど、自身の価値観の変化や内面の変容は確かに起きている。そう、多分僕は今「本当の自分」が見えつつある段階にいる。その心の奥底には、仏寺のお坊さんが仰っていた「一切皆苦」と「四苦八苦」という生きるうえでの前提が腹落ちしたこととも無関係ではないはずだ。つまり、僕にとってこのミッドライフクライシスは、避けて通ることのできない人生の重要課題だということだ。
…そう考えるともう腹を括るしかない。いや、中年の危機という言葉を「今後、面白おかしく生きるための、新たな人生の関門」という前向きな言葉として捉えた方が健全なように思えてきた。

さて、本題に移ろう。ブリッジズによれば人生の転機、すなわち、トランジションは3つの段階に分けられるという。(トランジション3段階理論)
 1段階:何かが終わるとき
 2段階:混乱や苦悩のとき(ニュートラルゾーン)
 3段階:新しい何かが始まるとき
これは何も順を追って進むとは限らず、各段階を行ったり来たりしながら、最終的に新しい物事の始まりへと収束していくこともあり得るだろう。また、一つのトランジション期間の中に、中年の危機を含めたいくつかの終わりやニュートラルゾーン、始まりが存在する…なんてこともあるだろう。多くの場合は、外的な変化(例えば、突然の事故や自然災害による被災であったり、コロナ禍のように生活が一変してしまうような出来事等)がこれに当たるかもしれない。このことを踏まえて、今回の僕のトランジションを画に描いてみる。

ダンディのトランジション(2024年)

今回、自身のトランジションをブリッジズの理論に当てはめてみて、気づいたことが何点かある。
・「人生どん底だ~」と混乱・苦悩していた時期が「終わり」の段階にあっ
 たこと。
・仕事をすることから離れ、キャリアブレイクを開始した時からニュートラ
 ルゾーンが始まったこと。
・諸説あるが、混乱(例えば、未だ無職であること等)しているものの、僕
 にとってはニュートラルゾーンが決して不快な状態ではないこと(苦悩は
 していない)。※多分「心のゆとり」と「目標」が出来たからだと思う。
・キャリアブレイクを開始してから現在に至るまでの間に、自身の価値観の
 変化や内面の変容を実感していること。

というわけで、おそらく僕はいわゆる「どん底」という状況からは無事卒業し、次の段階に進んでいるのだということは、この画からも言える。(確かに「どん底」を検索キーワードにYoutubeを見る機会は無くなった)
よしよし…順調に来ているぞ。ただ、ここでトランジションは終わらない。ここからが大事な局面を迎えることになる。それは、何をもって「ニュートラルゾーン」を終え、次の「始まり」に立ち、その上で最終的にどのようにこのトランジションを完了させるか。すなわち、僕が今後どう働き、どう生きることがミッドライフクライシスからの脱却になるのか、ということをまず定義(キャリアデザイン)することが課題として見えてきた、と言うことだ。これには、引き続き自分と向き合う事、自己との対話が必要だな…取り急ぎ、そんなことを思う次第である。

…そう言えば、今日はずっと家にいたなぁ。無職だと今日が月曜日だと言うこともすっかり忘れていた。会社勤めの頃は毎週のようにマンデーブルーだったと思うと、この生活がずっと続けられないものか…と甘ったれた気持ちになってしまう。いやいや「一切皆苦」に「四苦八苦」上等じゃないか。もういっぺん自分のケツを叩いて、明日はとある会社の面接に臨むとするか。


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真昼間のダンディ
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