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連載小説『秘密の屋上 屋上の秘密4』

翌日の昼休み、有美に昨夜のことを話した。有美は

「え〜、それって幽霊?あんた、大丈夫?」

と最初から、疑ってかかった。マイは

「有美!嘘だと思ってんの?私はビールひと缶くらいで酔っぱらわないよ!本当なんだって、ねえ、今度絶対来てよ!今日とは言わないから、お願いだから来てよ。紹介するから、勇崎 レイタさんに!」

と勢いよく、有美を誘った。有美はマイがあまりにも真剣なので、

「う〜ん、わかった〜。じゃあ、明日の帰りに行こうか〜?」

とマイの顔を見ながら渋々言った。
マイはすごく嬉しかったので今日、屋上に行ってレイタさんに報告しようと思った。でも明日レイタさんを驚かせようと、思いつき今日は行くのをやめた。

そして約束の日。二人は、マーケットに寄って冷凍ピザとワインを買い、マイのマンションに向かった。マイは、

「今日晴れてよかったね!星と月が見えるよ。レイタさんにも会えるしね。私たち普段の行いが良いからだね!」

とウキウキした様子で有美に言った。
有美はその言葉に輪をかけて、

「そうだね。二人が美人で、仕事もできて、真面目なんだもの、雨が降るはずないよね!」

とどこまでも、この二人の呑気さには呆れ返るほどである。
マンションに着き、有美までラフな洋服に着替えピザも温め、すっかりリラックスムードでクッション抱えて屋上に向かった。
今日も階段に出るまで、誰にも会わなかった。
15階の階段を上がる頃になると、有美は

「ねえ、怖くないよね?」

と少し弱気なことを言い出した。マイは

「怖くなんかないよ、大丈夫!すっごくいい人だから、きっと有美を連れてきてくれてありがとうって言うと思うよ。」

と言い、赤いドアのドアノブをくるくると音がするくらいに回した。
やはり、鍵はかかっていた。
その後、かちゃっと音がしたと思うとドアはあっち側にスーッと開いた。マイは勢いよく、

「こんばんは!レイタさん!友達の有美を連れて来たの!」

と元気にドアを押し開けながら言った。
すると、驚くほどの光で、勇崎レイタは二人を迎えてくれた。そしてレイタは、

「こんばんは、有美さん初めまして。」

と言いながら、お辞儀をした。有美は、

「ねえ、その人どこにいるの?あら、ここなかなか良いじゃない?星見えるね。
あっ、あそこのコンクリートだね、ねえ、どうしたのマイ早くおいでよ!」

とレイタのことはそっちのけで、コンクリートの方へ向かった。マイは

「あんた、失礼じゃない?レイタさんが挨拶してるじゃない。なんとか言ったら?」

と怒って、有美を見ながら言った。有美は

「えっ!マイ大丈夫?どこに人がいるの?誰もいないじゃない。
あっ!わかった私のこと、からかってるんだ。怒るよ〜!まあ、いいや、こんな素敵なところだから、許してあ・げ・る!」

とマイの顔を見ながら、ウキウキして言った。マイはブツブツっと聞こえないような声で

「有美には本当に見えないんだ。こんなに光り輝いているのに、どうして?」

と不思議そうにレイタを見ながら呟いた。
すると、レイタは何も言わずにスーッと消えた。
マイは、あっと言いかけたが言葉を飲み込んだ。

とても残念だったし、どうしてだろうと一瞬思ったが、有頂天になっている有美を絶対説得できそうもなかった。
有美の様子を見てマイも深刻に考えるのをやめた。
今夜は、このまま楽しもうと自分に言い聞かせた。

そして、気を取り直して、その後はレイタの話はせずに有美と夜空を見ながら屋上ピクニックを思いっきり楽しんだ。

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