連載小説『秘密の屋上 手相3』
手相3
はは〜ん!と納得したレイタは
「残念ですが、手相が宝くじ大当たりを示すことはありませんよ。ただ、金運に縁があるかないかぐらいは手相でわかります。手相というのは、毎日変わります。そして、手相は必ず、両手で見ます。総合的に見るんです。強いて言えば利き手の手相が変わりやすいのですが、、、」
と講釈を始めたので遮って、マイはジリジリしながら、
「そんなこといいから、早く見てよ!」
と、催促した。レイタは
「まあまあ、落ち着いて、そんな気持ちでは金運は逃げますよ。それでは見てみましょう。」
と言って、マイの両手をじーっとのぞいた。レイタは、
「今現在、特別金運に縁はないようですね。」
と、言った。マイは
「ウソ!よく見た?ちゃんと見てよ!」
と食い下がった。レイタは笑いながら、
「手相が良いからと言うだけで、人生を歩んだら、手相はどんどん貧弱になります。よく覚えておいてください。」と前置きしてから、
「さて、小指の下の膨らみがあります。それを水星丘と言いますが、そこに現れる縦線を財運線と言います。まず、マイさんの小指の下には残念ながら、はっきりとした線がありません。でも、その線があるからといって宝くじにつながる訳ではありません。そこにはっきりした線があっても、ある場所や方向で微妙に違います。例えば、お金を運用する力、お金を貯めるのが上手、お金に執着する人など、財運に関係することを示すのです。」
とレイタはマイの顔を見た。マイは自分の手を見ながら、
「ほんとだ無いね、、、そうなんだ〜、、、がっかりだな〜」
と、自分の手のひらを恨めしそうに見ていた。レイタはマイを見ながら、
「手相は毎日の行動で変わります。今、マイさんが気をつけた方が良いことを言いましょう。マイさんの水星丘には薄い縦線が5、6本あります。これは特に良い線ではなく、お金を使うのが大好きな人です。つまり浪費家です。しかしそれを知っていれば、日々お金を使いたい時に一瞬、本当にここで使って良いものかと一度立ち止まれば、浪費を避けられます。小指のお隣、薬指の下を見てください。ここは太陽丘と言ってそこにある縦線は太陽線です。たくさんの意味の中に財運アップも含まれます。マイさんにはとても綺麗な線があります。浪費家の人にこの線があると、入ってくるお金もある、つまりお金が回るという意味があります。」
と言った。レイタの長い説明を一生懸命聞いていたマイは
「そうなの?じゃあ、お金はどんどん入ってくるのね?」
とすぐに上機嫌でレイタに言った。するとレイタは
「安心し切っていたら手相は変わってしまいます。では、結論を言いましょう。当たる確率が稀な宝くじを本当に買って良いのか?自分に問いかけてください。浪費家はお金の使い方をよく考えることです。使った後に何か残るような使い方をしましょう。」
と言った。すると、マイは
「後に残るって?洋服とか、指輪とかのこと?」
とレイタを見上げた。レイタは
「まあ、指輪は物によっては、財産となることもありますね。安いものを買って満足を得ようとすることは、ザルに水を入れるようなことになってしまいます。と言って浪費家の人はお金を回して運を進めているので、止めるのも良くないんです。何か残ることに使えば無駄遣いではないのです。例えば、自分に財産として残る何かの資格をとる、つまり自己投資のようなお金の使い方もその一つです。」
とレイタは言った。マイはちょっと考え込んでから、
「なんだか、わかった気がする。私、買い物した時、すごく幸せ感じるの。でも、買ったものをよく見ると、いらなかったな〜と思うことよくある。だから今度から買った後で思うのではなく、買う前に買うか買わないか迷えばいいんだね?」
と最後には笑顔でレイタに言った。レイタは
「マイさんのいいところは、素直なところですよ。ちなみに、薬指の下の綺麗なその線は人気運でもあるんです。マイさんの明るさ、素直さがその線をはっきりさせていると思いますよ」
と付け加えた。
マイは本当にレイタと知り合って良かったと思った。
そして、これからはお金の使い方に気をつけようと、今まで思ってもみなかったことを決心した。
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