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連載小説『秘密の屋上 出会い2』

出会い2

すっかり、課に馴染んだマイは自然と実力を発揮できた。
世界一真面目な上司はこの課の室長で、炭崎 浩太38歳独身という情報も入ってきた。
マイは結構気にかけて意識していた。
仕事は程よく、緊張感があって時間の過ぎ方が速く感じるほどだった。

マイは生活が引き締まり、充実感があった。
そして、仕事から帰ると毎日のように屋上へ行った。毎日の報告をレイタにするのが楽しみだった。
今日もいつもの通り屋上へ出た。早速、マイは

「レイタさん、ただいま!」

と声をかけると、レイタがユラユラとして、

「お帰りなさい!」

とニコニコしながら言った。マイは

「今日はね、おにぎりなんだ。」

と一口食べながら、今日はレイタのことを聞こうと思いついた。
そして、むしゃむしゃ食べながら、

「レイタさん、聞きたいことがあるんだ。」

と言い、お茶を一口飲んだ。レイタは相変わらずユラユラしながら、

「何か問題が起きましたか?」

と聞いてきた。マイは首を振りながら、

「そうじゃないの、私の生活はとても充実しているのよ。今日聞きたいのは、レイタさんのことなの。」

と言った。それを聞いたレイタは体の動きを止めて、

「なんでしょうか?」

と少し身構えて言った。マイは、

「レイタさんって、生前は何してたの?手相占いだったの?」

と聞いた。レイタは

「私は、、、」

と言いかけてちょっと困った表情で、

「何をしていたかということは今度お話します。今日はどうして手相を知っているかをお話しします。」

と言った。マイはどうして?とは思ったが、

「うん、わかった。じゃあ教えて。」

とレイタを見上げた。レイタは

「このマンションに来るまでに、2年ほど手相占い師のところにいたんです。その方は私のことが見えました。私がみんなに怖がられ、困っている姿を見て、ここにいなさいと言ってくださったんです。」

とそこまで言うと、マイが、

「ねえ、家に入ると二度と姿を現すことができないって言っていたよね?」

と口を挟んだ。するとレイタは、

「その方は、外で占いをされていたんですよ。私は毎日、後ろで手相鑑定を見ていました。そこで、少し覚えたんです。その方はとても人気がある方で連日お客さんが列を作っていました。穏やかなとても良い人でした、、、。」

と懐かしそうにレイタが言った。マイは

「ふーん、じゃあ、どうしてその人を気に入ってたのに、ここに来ちゃったの?」

と不思議そうにマイが聞いた。レイタはちょっと辛そうに

「実はその方は亡くなったんです。」

と言った。マイは

「そうなんだ、、、お気の毒に。具合が悪かったの?」

と聞いた。レイタは

「まあ、お年でしたからね。私もとても残念でした。色々なことを教えていただきました。その方は、私と違い亡くなってすぐに彼方の世界へ旅立つことにしました。」

と悲しそうに話した。マイは

「わかる、、、私は2年前に大好きだったおばあちゃんを亡くしているの。すごく仲が良かったんだよ。今だって、おばあちゃんを思い出すと、涙が出ちゃうくらい大好きだったの。」

と涙を拭いながらマイが言った。そしてマイは、

「私はここに3年前に越してきたんだけど、その後すぐにおばあちゃんが亡くなってしまって、きっと私がいなくなったせいだと、随分引っ越したことを悔やんだの。」

としみじみ言った。するとレイタは、

「マイさんは優しいですね。おばあちゃんは今の言葉を聞いて、喜んでいますよ。でも、おばあちゃんの死はマイさんのせいではありませんから心配はいりません。」

と自信たっぷりに行った。マイは顔をレイタに向けて、

「なんでそんなことわかる?手相からわかるの?」

と聞いた。レイタは

「マイさんには神秘十字線があるじゃないですか。その線がある人は特に先祖、つまりマイさんの場合はおばあちゃんがちゃんと見守っている印なんですよ。ではその印がない人は守られていないかというとそうではありません。印がなくたって、誰にでも守護霊はいます。ただ、印がある人、特にマイさんのようにはっきりとした十字線がある人は守護霊の守りがとても強いのです。」

と言った。マイは真剣にレイタの顔をじっと見ながら聞いていた。レイタは再びユラユラしながら、

「マイさん、ちょっと手を見せてもらえますか?」

と言い、レイタはマイの両手をしっかり見た。そして、レイタは

「マイさん、小指の下側面の横線、これはご存知でしょ?結婚線です。前はこの線が薄かった
ですね。今、とてもはっきりしてきました。」

とマイの顔をしっかり見ながら言った。
マイは暗い中でもわかるくらいに頬が赤く染まった。


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