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連載小説『私はカコキュウ 時空越え5』

「い、今の言葉?」

と研究者は少し落ち着きを見せて、質問をしてきました。私はまた短く

「こ と ば わ か る」

と言いました。
短い言葉だったからか、伝わったようです。そして、相手はまた聞いてきました。

「ど、どこの星から来たの?」

と言ったのです。私が

「ち きゅ う」

と答えると。相手は

「えっ!!」

と、絶句してまじまじと私を見つめていました。私は続けて長いフレーズで

「わ た し は せ い れ き 5150ね ん か ら と ん で き ま し た。わ た し は あ な た が た の み ら い の す が た で す」

と言いました。
相手は後ろにのけぞって机に手をついて倒れるのを防いでいました。しばらくしてやっと、相手が

「そ、そうですか。ちょっ、ちょっと驚きましたね〜、ほ、本当に地球人なのですね? ほ、本当に私たちの未来の姿なのですね?」

と何回も、同じことを私に聞いた後、

「は、初めまして!」

と研究者は丁寧に頭を下げました。
私はこの動作は好意を示すことだと判断して芯からほっとしました。
そしてそれからはスムーズに意思疎通ができるようになったのです。


この人を選んで本当に良かったと思いました。それからは、私のぎこちない発生音を録音したり、放射能量を測ってみたり、せっせと研究材料として、私をひとしきり調べました。
私も、速やかに終わるように出来るだけ協力をしました。

ひとしきり検査が終わると研究者は研究所にどうやって知らせるかを考え込んでしまいました。
なぜなら、研究者は私のことを知らせた途端に、私を隔離するだろうと心配したからです。その挙げ句の果て、私は色々な試みを体にされ、隔離をされ、おそらく西暦5150年には戻れない、

「いや、もう二度と戻れないだろう」と教えてくれたのでした。私は

「そ れ は だ め !し ら せ な い で!」

と頼みました。研究者は困っていました。ただでさえ、厳重な管理のこの建物から未来の人類を連れ出すのは至難の業だと頭を抱えて必死に考え込み、座り込んでしまいました。
しばらくすると、研究者が気を紛らわすように、

「名前を教えてください。」

と言いました。私は

「な ま え な い」

と言うと、研究者は

「それじゃあ、何か簡単な呼び名を付けましょう。」

と言いました。

そして、研究者が

「私のことは、『CP』と呼んでください、current person(現在の人)の略です。」

と言いました。続けて、

「あなたのことは『FP』と呼びましょう、future person(未来の人)の略です。」

と言ったのです。私は

「F P わ か った あ な た は C P」

と答えた瞬間!、私は自分が姿を消すことができることを思い出しました。そしてそれを伝えると、

「それはいいですね!、FP」

と、言ったあと

「その機能を使って、とりあえず私の家に行きましょう」

と、とても嬉しそうに言い、早速資料などをまとめ始めました。
そして、備え付けてある電話で、

「研究室3です。全てのデータ整理を済ませましたので、私、今日は帰らせていただきます。後をよろしくお願いします。」

と誰かに伝えていました。そしてC Pが

「FP姿を消してみてください。」

と言うので私は姿を消しました。CPは

「お〜っ!!」

と笑顔で言って手を叩いて喜んでいました。

私は発生や音も立てないように気をつけてCPの後ろに着きました。
そして私たちはFPの家へ向かったのです。

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