GenAI killed the idea man
これまで企業や組織、日常生活においてアイデアマンが出すアイデアは重宝され、人々を驚かせ、楽しませてきた。しかし、生成AIの登場により、彼らの優位性は今後ますます低下していくだろう。
そもそもアイデアマンとは、単に面白いことを考えつき、みんなを驚かせる存在ではない。真のアイデアマンは、頭の中で斬新なアイデアを想像できることに加え、思いついたアイデアを他人が理解できるように言葉やクリエイティブを使って表現できる能力を兼ね備えている。面白い発想をしていても、それが誰にも伝わらなければ、単なる変わり者でしかない。
ところが、生成AIの登場によって、そんな変わり者に光が当てられることになった。彼らは頭の中では素晴らしいアイデアを持っているものの、それを上手く表現できずにいた。しかし今や、生成AIの力を借りることで、日の目を見ることのなかったアイデアが息を吹き返すチャンスを得たのだ。
その結果、アイデアマンが量産される時代が到来しつつある。面白い発想力に加えて、それを表現する力を手に入れた人々が続々とアイデアマンの仲間入りを果たし、やがてアイデアは飽和状態に陥る。誰もがユニークなアイデアを考え、それを発信できる時代において、アイデアだけを出せる人間の価値は以前ほど高くない。
こうした状況下で真に求められるのは、アイデアを実現できる人材である。アイデアを単なる思いつきで終わらせることなく、形にして実行に移す能力こそが、これからの時代に不可欠なスキルとなる。組織においては、プロジェクトを立ち上げ、チームメンバーを巧みに指揮してアイデアを形にし、最後までやり遂げられるリーダーが高く評価されるだろう。一方、アイデアは出すが後は関与しないといった人々は、淘汰されていくに違いない。なぜなら、彼らの出すアイデアにはもはや希少性がないからだ。
生成AIが当たり前の時代、最も重要な能力は何か。それは、生成AIで作り出したアイデアを現実のものとして結実させる力である。アイデアを実行し、継続的に運用し、完成まで導ける。そのためには、人と組織を動かすリーダーシップが不可欠だ。インターネットがビジネスにおいて必須のインフラとなったように、生成AIもまた欠かせないツールとなるだろう。そんな時代を生き抜くために、私たちが身につけるべきスキルは明確だ。アイデアを実現するための行動力と、人を巻き込むための組織力である。
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